小説むすび | 出版社 : 早川書房

出版社 : 早川書房

瓦礫の都市瓦礫の都市

ユーゴスラヴィア連邦は分裂し、ボスニアでは内戦が勃発した。かつて民族融和の象徴であった首都サラエボは、包囲するセルビア人勢力と、クロアチア人、ムスリム人が鉾を交える最前線と化す。街には砲弾が撃ち込まれ、高台からは狙撃手が無差別に市民を銃撃してくる。そのサラエボの一画にある高層アパートで、腐乱した女性の他殺死体が発見された。だが、現場は戦闘の激しい地区で、警察といえども近づくことが出来ない。戦闘の激化とともに弱体化したサラエボ市警は、すでにその組織の大半が崩壊し、機能を停止しかけていた。だが、刑事部長のロッソ警視はあきらめなかった。そんな状況でも、法と秩序は守られねばならない。部下は動けず、鑑識もなく、写真班もいない。電話もコンピューターも使えない。検死すらも困難だったが、彼は敢然と捜査に赴いた。だが、事件の裏には思いもかけぬ巨大な影がうごめいていた…。常識の通用しない戦場で展開される、捜査と闘いの四日間。かつて内戦下のサラエボに駐在した気鋭ジャーナリストが、その体験を活かして描く、異色の警察小説。

シングル・ショットシングル・ショット

それは確かに手負いの雄鹿のはずだった-。だが、銃声がおさまったあと、野薔薇の茂みの向こうに倒れていたのは、まだ若い女性の死体だった。山中にひとり住み、密猟で生計をたてていたムーンにとっては、逃げ場のない罠にかかったような事態だった。前科があるので、通報すれば刑務所入りはまぬがれない。だが幸いにも、現場は人影のない山奥の石切場、彼女もどうやら家出でもしてきたらしく、この近辺の人間ではない…ムーンは手近の洞窟に死体を隠し、知らぬ顔を押し通すことにした。近くにあった彼女の持ち物のなかには思いもかけぬ大金があったので、これも持ち帰った。こうすれば、事件が表沙汰になることもなく、そのまま忘れさられるはずだった。しかし、彼女の恋人と思われる男が出現し、事態は一変する。あわてて死体を隠した洞窟へと走ったムーンは、そこで愕然とする…。一発の銃弾をきっかけに、徐々に追い詰められてゆく男の、恐怖と焦燥。人跡も稀な山中で展開される、異色サスペンス。

射程圏射程圏

組織の資金を横領した会計士が、ホテルで射殺された。殺したのは、ガンビーノ・ファミリーのボスにして、五大ファミリーをまとめる“ボスのなかのボス”ヴィンセント・ジェネロ。高級コールガールのニコール・バスは、折悪しく現場を目撃するが、会計士のブリーフケースを奪い、かろうじて脱出に成功した。そのブリーフケースの中には、会計士が横領した巨額の金を預けた口座を記すフロッピーも入っていた。ジェネロは即座に部下に指令を下し、その行方を追わせ始めた。冷酷非情な部下たちは、あらゆる手段を用いてバスに迫っていく。一方、ニューヨーク市警では、市警情報部組織犯罪監視班の辣腕刑事ジャック・カービイが捜査を開始した。自分の不注意から娘を死なせ、それがもとで離婚した過去を持つ彼は、以来ジェネロの逮補だけを生きがいにしてきた。懸命の捜査で事件を目撃した人物がいたことを突き止めた彼は、バスに接触、やがて彼女の護衛にあたることになる。だがその時、業を煮やしたジェネロは、第一級のスナイパーにバスの抹殺を依頼した!壮絶な闘いをサスペンスフルに描く待望のハード・アクション巨篇。

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