出版社 : 早川書房
英国最大の避暑地ブライトン。光学器械店を営むモスクロップは、海岸でゼナという女性に一目惚れし、やがて彼女と近づきになる。ある朝、水族館で女性の片手が発見された。地元警察はスコットランド・ヤードに応援を求め、クリッブ部長刑事とサッカレイ巡査が駆けつけ捜査を開始する。一方、ゼナを見かけなくなったモスクロップは、彼女が殺されたのだと思い警察に赴くが…英国ミステリ界を代表する著者の初期の話題作。
スペイン統治下の19世紀カリフォルニア。黒マスクのヒーロー、ゾロは、総督モンテロの圧政に苦しむ民衆を救ってきた。しかし独立前夜、モンテロは積年の怨みをはらすため、牧場主ディエゴ(=ゾロ)を投獄した!20年後、再びカリフォルニアに戻ってきたモンテロに復讐するため、ディエゴは脱獄し、ある若者に剣術を教えこむが…スピルバーグが、21世紀に語り継がれるべきヒーローを見事に甦らせた、話題の映画化作品。
二重スパイを抹殺せよーその極秘指令に英国情報部員ジョン・スティードは耳を疑った。上司が当の二重スパイだというのだ。だが一方で、スティード抹殺の命令が別の情報部員に下されていた。いったい何が起きているのか?やがてスティードの歴代の助手たちにまで何者かの魔手が伸び、彼らとスティードは絶体絶命の危機に…世界征服を企む悪にスタイリッシュな情報部員が挑むとびきりおしゃれなスパイ・サスペンス。
ヴェトナム戦争直後のオレゴン州ポートランド。戦争の後遺症により街は荒みきっていた。凄惨な殺人、暴行、コカインの蔓延。元特殊部隊員のパトロール警官ハンソンは、相棒のベテラン警官とともに、次々と起こる犯罪と闘っていく。戦場の悪夢と孤独にさいなまれながらも、彼は暴力も辞さずに街を守る、一匹の盲目の老犬だけを心の友として…現代ハードボイルドの巨匠ジェイムズ・クラムリーが絶賛した話題の警察小説。
美貌の婦人警官に淡い恋心を抱きつつ、犯罪を取り締まるハンソンはある日、特殊部隊の戦友ドクと再会した。ドクは麻薬に取りつかれその売人となっていたが、彼は友情を保ちつづけていく。だが、ハンソンを目の敵にする刑事が彼の経歴を調べているうちに、ドクとの関係に気づいてしまった。さらにハンソンは、異常な憎悪を燃やす一人の男に命を狙われるようになるが…孤高の警察官の壮絶な姿を描く、魂を揺さぶる巨篇。
判事のデボラの前から姿を消していた男たちが突然帰郷したー彼女の過去に影を落とすアレンと、自分の土地に買収話が出たデボラの兄アダム。思いがけぬ再会にデボラは動揺する。そんなある日、地主であるアレンの叔父が殺害された。さらに数日後、第二の殺人が起き、デボラとその一族は事件の渦中に…意外性と滋味に満ちた、アガサ賞最優秀長篇賞受賞作。
1963年11月。イージー、43歳。美貌の女教師アイダベルから雑種の小犬を預ってくれと頼まれたイージー。愛犬が夫に殺されそうだとの懇願に引き取ってみたものの、いっこうになつかない。しかも勤め先の学校の農園で男の死体が見つかった。そのしゃれのめした格好の男の死体はアイダベルの義兄ローマンだという。そして、小犬を引き取りに来ないアイダベルを自宅に訪ねたイージーを待ち受けていたのは、アイダベルの夫ホランドの死体のみだった。誰が二人の男を殺害したのか?さらにアイダベルはいったいどこへ?J・F・ケネディ暗殺時の60年代のアメリカ黒人社会をリアルに描く、ハードボイルド小説の白眉。
パトリック・チャンスはロンドンの証券会社に勤める営業マン。新しい屋敷は手に入れたし、美しい妻とのあいだに生まれた娘は可愛くてたまらないし、人生は順風満帆…なのではあるが、ここにちょっぴり頭の痛いことがある。営業成績があと一歩で目標額に達しないのだ。この目標さえ達成すれば、10万ポンドという超破格の特別手当てが獲得できるというのに-そこでパトリックが強引に計画したのが、週末のテニス・パーティだった。屋敷に友人たちを招いて優雅にテニスを楽しみつつ、手練手管の限りをつくして金融ファンドを売りつけようというわけだ。かくして、社会階級も金銭感覚も人生の目的もまったく違う四組の男女が、ひとつ屋根の下に集まった。思わぬ危機に青ざめている資産家夫婦、貧窮生活に苦しむ学者とその妻、厚顔不遜な実業家とその娘。しかもそこに思わぬ闖入者まで加わって…いかにも英国的な棘のあるイジワルが炸裂する、ブラックな笑いに満ちた悲劇喜劇。