出版社 : 早川書房
天才分子デザイナーでテロリストのボーアが作った違法な分子機械ボーア・メイカーは、適応性人工知能をもち、宿主の肉体まで自由に改変できる。使い方しだいでは、連邦の存在さえ危うくしかねない驚異の極微機械だ。このボーア・メイカーが盗みだされ、偶然のことからスラム街の女性フォージタのものになるが…究極のナノテクがもたらす未来世界の驚異を描く、ローカス賞処女長篇賞受賞作。
女性考古学者ヒルディがスコットランドで発掘した遺跡には、ヴァイキングの大型船が完璧な形で保存されていた。だが、保存されていたのは船や財宝だけではなかった。なんとヴァイキングの英雄たちも完璧に保存されていたのだ!彼らは、邪悪な魔法使いの王の魔手から世界を守るため、一千年にわたる長き眠りからいま目覚めたのだという…古代の英雄たちが巻き起こす奇想天外の大騒動を描く傑作ユーモア・ファンタジイ。
今日はなんだか変な気分。気がつくと、ジョン・トムはなんと青ガニに変身していた!まもなく元に戻れたものの、魔界全体にさまざまな異変が広がっていた。どうやら、宇宙を自由に漂う“無”が何者かによって閉じこめられたのが原因らしい。ジョン・トムは、エスカレートしていくやっかいな現象に手こずりながら、師匠の魔法使いクロサハンプらと共に異常事態の打開に乗り出した!抱腹絶倒のユーモア・シリーズ第5弾。
双子の姉と暮らすミス・オイスター・ブラウンは、五十歳を迎える現在までいつも汚れなき生活を心がけてきた。ところが、姉の留守中に犯したささやかな犯罪をきっかけにオイスターは思いもかけない窮地に立たされることに…模範的市民の中年女性に降りかかった皮肉な運命を描く表題作をはじめ、ブラック・ユーモアや洒落た味わいなど短篇巧者ラヴゼイの魅力が堪能できる18篇を収録。『煙草屋の密室』に続く第二短篇集。
ある秋の晩、ロンドンのスティーン診療所の地下室で、事務長のボーラムの死体が発見された。彼女は心臓をノミで一突きされ、木彫りの人形を胸に乗せて横たわっていた。ダルグリッシュ警視が調べると、死亡推定時に、建物に出入りした者はなく、容疑者は内部の者に限定された。尋問の結果、ダルグリッシュはある人物の犯行と確信するが、事件は意外な展開を…現代ミステリ界の頂点に立つ著者の初期の意欲作。
女はバークの手を借りたがっていた。彼女の名はボンディー。職業はヌードダンサーだ。しかし、ダンサーとはいっても、彼女が踊るのは酒場のステージではない。場所は高級アパートメントの一室。そこには、ハイテク装置を駆使した専用ステージが配置されている。観客はただひとり、向かいのビルの窓から彼女のプレイを覗き見る、変態野郎だけだ。ボンディーの依頼は、その変態野郎に一泡吹かせてやることだった。男はボンディーのプレイをひとり愉しんでいるのではなく、友人と一緒に眺めながら、嘲笑っていたというのだ。やつに復讐してやりたいの-それがボンディーの願いだった。バークはファミリイとともにボンディーの背景を調べはじめる。やがて彼女の背後に、オレンジ色の目の女ボディーガードを従えた、謎の弁護士カイトの存在が浮かび上がる。ボンディーはカイトがバークに放った餌に過ぎなかったのだ。やがてカイトは、莫大な金を積み、バークにある「調査」を依頼するが…現代社会に巣喰う唾棄すべき悪をアウトロー探偵バークが断つ、シリーズ堂々の第九弾。
『酔いどれの誇り』のミロ・ミロドラゴヴィッチと、『さらば甘き口づけ』のC・W・シュグルーという二大探偵の競演がついに実現した。親の遺産を持ち逃げされたミロと、謎の刺客に襲われ九死に一生を得たシュグルーの二人は、それぞれの思惑を胸に一路メキシコ国境を目指すが、その過程で一人の謎の女の存在に突き当たる。
帝国暦955年、幻炎作戦によって圧倒的勝利をおさめた「アーヴによる人類帝国」は、残存する「人類統合体」の艦隊を制圧すべく、新たに艦隊を再編し、狩人作戦を開始した。いっぽう、狩人第四艦隊に所属する「バースロイル」艦長ラフィールは、艦隊司令長官ビボース提督によってまたも領主代行を命じられ、ジントとともに惑星ロブナス2へと向かった。だがまさかその惑星が…新時代のスペース・オペラ待望の第2巻登場。
かつて一世を風靡したオペラの花形歌手でありながら、今は酒に溺れ場末の酒場で歌うルイーザ。高名な外科医の祖父と優秀な弁護士の姉を持ち、そのコンプレックスゆえに家を飛び出したティーンエイジャーのマーラ。医療の理想と現実の狭間で苦悩する精神科の青年医師ヘクター。そして、駐車場脇の塀から聖母マリアが血の涙を流しているという妄想に取り憑かれたホームレスのマデリン-生まれも育ちもまったく違う四人の孤独な男女が街角で出会う時、シカゴの街を大きな感動で包みこむ奇跡が起こる…。V・I・ウォーショースキー・シリーズで人気のサラ・パレツキーが混迷の世紀末に贈る、愛と奇跡と感動のストーリー。
タイラーは別れた妻から、誘拐された息子ブライアンを取り戻してほしいと頼まれた。だが、息子は生まれて一年とたたないうちに死んだはず。かつて二人がいた狂信的な殺人者集団「ワイル・グループ」が使っていたドラッグのせいで、妻は錯乱状態なのか、それとも…?調査を始めたタイラーは、やがて精神共有作用をもつドラッグにより悪夢と現実の狭間へと踏みこんでいく…。
やっかいなことになった。よりによってダイディータウンのクローン娼婦から、失踪した恋人さがしを依頼されるとは!どんな快楽にも応じる美男美女のクローンが集う街ーそれがダイディータウンだ。いくら美女でも真民がクローンと恋におちるわけがない。とはいえ、女がさしだしたのは本物の金貨だ。で、おれは引き受けた、地球を揺るがすほどの大事件に巻きこまれるとも知らずに…鬼才が放つ傑作SFハードボイルド。
次々と急患が運びこまれるペイシェンス地域病院の救急治療科。そこに勤める女医アビーにとって、毎日が目のまわるほどの忙しさと緊張の連続だった。アビーがこのカリフォルニアの田舎町にきたのは、恋人のジョシュが巨大企業コルスターの工場に再就職したためだ。しかしコルスターに勤務するようになってから、ジョシュは原因不明の頭痛や倦怠感を訴え、ふさぎこむようになった…『沈黙の病棟』につづく医学サスペンス。
ジョシュの病状が悪化していく一方で、救急治療科にも似た症状を訴える患者が運ばれてくるようになった。コルスターの工場が有害物質を廃棄しているのではないかと疑ったアビーは、同僚の医師と調査を開始。しかしコルスターに生活のすべてを依存する町の住民は、さまざまな手段で悪辣な妨害をしかけてきた!ロビン・クックに比肩するベストセラー作家が緊迫感あふれる医療描写と戦慄の結末で読者をうならせる話題作。
香港のある銀行で起きた奇怪な事件に黄線街分署のファイファー主任警部らは頭を抱えた。なんと九人の行員全員が死体で発見されたのだ。死因は毒入りシャンパンを飲んだためと判明。盗まれた物はない。乾杯しながら集団自殺したとでもいうのか?他殺だとしても強盗でないなら、一体誰が何のために?二転三転の展開、爆笑エピソード満載の奇天烈ミステリ。
鋭い嗅覚をもつ、34頭のブラッドハウンドーそれがジョー・ベスの家族だ。彼女は犬たちを追跡犬として訓練し、警察と契約して行方不明者の捜索や麻薬捜査に携わっている。次々と舞いこむ仕事の依頼に追われるなか、亡き父親の遺言の件で弁護士のウェイドがジョー・ベスを訪ねてきた。彼女の父の死後、遺言がずっと執行されないことに疑問を抱いたという。彼女はウェイドと共に不可解な遺言状に絡む謎を密かに探り始めるが…。
もう40年以上まえの話になる。わたしがまだ12歳だった1948年の夏、モンタナ州の小さな町で、一人のインディアン女性が死んだ。彼女の名前はマリー。わたしは、彼女を愛していた…。12歳のデイヴィッドは、どちらかといえば内向的な少年だった。一年じゅう風のやまないモンタナの草原や川を、一人で歩きまわるのが好きだった。ある日のこと、デイヴィッドの家で家政婦として働くマリーが、高熱を出して寝込んでしまう。それが「事件」の発端だった。町の保安官をしているデイヴィッドの父は、自分の兄で医者のフランクを呼ぼうとするが、マリーはそれをかたくなに拒む。フランクは診療にかこつけて、インディアン女性に性的ないたずらを繰り返しているというのだ。動揺したデイヴィッドの父は、保安官として兄の行状を調べはじめるが、そんな矢先、マリーが突然の死を遂げてしまう…。少年の心に深い傷を残した事件を、静謐で透明感あふれる文体と瑞々しい感性で描き出し、読む者の胸に深い感動を刻む、珠玉のアメリカ文学。
謎の怪物フローリーモンスに導かれ、転送機に飛びこんだローダンたちは、いよいよガンヨの帰還を待ち望むガンヤス人世界へと到達した。だが、一行を迎えたのは武装した11人の老人たちだった!かれら、ガンヨ再臨を望んでいるはずのガンヤス指導者は、おのれの権力を護るため、こともあろうにガンヨを亡きものにせんと黒い陰謀をめぐらしていたのだった。期せずして故郷の招かれざる客となったオヴァロンの運命は…。
ニューヨーク市監察院の死体置場から、射殺されたギャングの死体が盗まれた。何者かが検屍解剖を阻止しようとしているらしい。その行方を追う監察医のジャックとローリーは、ギャングが死の数週間前にアフリカで密かに肝臓移植の手術を受けていたことを知り、現地へ飛ぶ。そこで二人が見たものは、最先端バイオテクノロジーが引き起こした想像を絶する光景だった!医学サスペンスの王者が壮大なスケールで放つ傑作巨篇。
夫のジェフに生物学上の息子が?ジェフの息子と主張するその少年は、わたしの人生を大きく変えてしまった。しかも彼は、刑事のジェフに殺人事件の再調査を頼みにきたのだ。妻を殺した後、自殺を遂げた育ての父親の無実を証明してくれという。少年は本当にジェフの息子なのか。不安を抱きながら、わたしは夫とともに真相究明に乗りだすが…新たな展開で贈る、おてんばなアマチュア探偵ジェニー・ケイン・シリーズ第八作。