出版社 : 早川書房
常ならぬ悪夢にさいなまれた夜、ローズマリーは身ごもった。その時から、彼女の平穏な日々は奇怪な様相を呈しはじめる-巨匠が悪魔崇拝をテーマに、都会に住む現代人の孤独と狂気を描いたモダンホラーの金字塔。
西暦2109年、太陽に接近しつつある未知の小惑星が発見された。その後の観測の結果、怖るべき事実が判明、この天体は八カ月後に地球と衝突するというのだ!そうなれば爆発の被害はもとより、粉塵による太陽光の遮断と硝酸雨のため、地球は今後数十年間居住不能な死の星と化してしまう。この危機に際し、最新鋭の宇宙船「ゴライアス」は特殊任務を命じられ小惑星へと向かったが…巨匠が満を持して放つ迫真の宇宙SF。
オレゴン州の片田舎ウィタカーで公選弁護人を務めるピーター・ヘイルは、数週間前まで父が経営するポートランドの大手法律事務所で働き、経済的にも父の援助で何不自由ない生活を送っていた。ところが、自らの無知と過信が招いたミスで大切な訴訟に惨敗。怒った父から、勘当同然でウィタカー行きを命ぜられたのだった。そんなある日、地元の女子大生が惨殺され、殺人容疑で知的傷害を持つ青年ゲイリーが起訴された。世間の注目を集めるこの裁判を勝利に導けば、莫大な報酬を手にすると同時に、父に自分の実力を認めさせることができる。不純な動機からゲイリーの弁護を引き受けたピーターだったが、天衣無縫な被告の人となりに接するうちに、次第に弁護士としての自覚と誇りに目覚めていく。だが、検察側の態勢は磐石。ピーターは不利な証拠の数々を突き崩すことができるのか!?人間ドラマの魅力とけれんたっぷりのミステリ趣向。“読者を眠らせない作家”マーゴリンがその真骨頂を発揮した疾風怒濤のサスペンス。
オイルスター社の超大型タンカー、ゾロアスター号は、到着を目前にして操船不能に陥り、ゴールデンゲート橋の橋脚に激突した。この事故でタンカーの原油百万バレルがサンフランシスコ湾内に流出しはじめた。オイルスター社はただちに原油回収作業を開始し、自功保護団体のボランティアたちも必死で活動するが、ほとんど効果はあがらない。マスコミは対応の遅いオイルスター社を非難しだしたが…話題のバイオ・サスペンス。
サンフランシスコ湾内に流出した原油のために、ラッコやアシカ、カモメなど湾内の生物がつぎつぎと死んでいく。早急な解決策を求めるオイルスター社は、開発したばかりの原油を食べる微生物プロメテウスを使うことにした。ところが、この微生物が原油だけでなく、ガソリンやプラスチックなどあらゆる石油製品を分解しはじめたのだ。世界を破滅の危機に陥れた微生物がもたらした恐るべき運命を描く、バイオ・サスペンス。
ノール国の王女ヘジは、唯一神として君臨する強大な河の神の支配から逃れようと、都からの脱出に成功した。そこには、彼女の思念による呼びかけに応えて、はるばるやってきた北の部族の青年ペルカルの助けがあった。一行は大河の神の力の及ばぬ、西の砂漠をめざす。だが、大河の神によってよみがえらされた暗殺者が、彼らの後を追ってせまりつつあった。期待の俊英が描く傑作ファンタジイ。『水の都の王女』の続篇登場
ヘジは裡に秘めた能力から呪い師としての訓練をうけはじめ、その実力をめきめきと上げていった。一方ペルカルは、このままでは世界中の神が大河の神に呑みこまれてしまう、という大鴉の神のことばを信じ、大河の神の息の根をとめるために、その源をめざす。だがそれを阻止しようと、よみがえった暗殺者をはじめとする、大河の神の手のものによる妨害が次々と一行に襲いかかる。壮麗なる異世界ファンタジイの傑作巨篇。
エリザベス女王が使用人の死体を発見するなんてー居合わせたメイドのわたしは、事の真相を密かに探るよう命じられた。死んだ男は、つい先日も女王の居室近くにいたという。なぜそんな畏れおおい所にいたのか?やがて宮殿で働く者たちの秘密が明らかに…女王陛下の小粋なメイド探偵ジェインの活躍を描く、カナダ推理作家協会賞最優秀処女長篇賞受賞作。
わたしを捨て、若い女性を選んだ彼の弁護を引き受けるなんて。連邦職員を買収した罪に問われた元恋人マットが、わたしに助けを求めてきた。彼はマフィアに関わる弁護士で敵も多い。初の大きな裁判に臨む緊張のなか、わたしは検察側の証人が麻薬取引に関わっている事実を知る。が、その証拠を握る男が他殺体で発見される。理性と感情の間で揺れる弁護士キャスの心情を情感溢れる筆致で描くアメリカ探偵作家クラブ賞候補作。
ニューヨークのスカイラインに、数え切れぬほどのクレーンが聳え立っている。この街は、かつてない建設ブームに沸いているのだ。飛び交う巨額の金。街を駆けめぐる狂躁。やがて、アイルランド系の犯罪組織が、さらなる金を求めて蠢きはじめる。街の空気がさらに澱み、黒くなっていく。暴力と流血の予感に、FBIが動き出す-この街で、ある兄弟の絆が、試練の時を迎えようとしていた。兄である元ボクサーのパディは、悪の道へと足を踏み込み、いまは組織に雇われている。弟のビリーは、弁護士を目指して大学で勉学に励んでいる。百八十度違う人生を歩む二人は、やがて暴力と強欲の抗争に巻き込まれ、互いに死力を尽くすことになる。血の絆を、守るために。
ホープが何者かに狙撃され重傷を負った。現場はめったに一般人が足を踏み入れない危険な歓楽街。彼はなぜそんな場所に居合わせたのか?そしていったい誰に撃たれたのか?私立探偵のチェインバーズら仲間たちは、ホープの事件前の足どりを追い、彼がサーカスの興行主の依頼で用地買収の交渉にあたっており、その権利をめぐるトラブルに巻き込まれていたことを知る。一方、意識不明で病院のベッドに横たわるホープの脳裏には、銃撃前の様々な出来事が去来していた…。ミステリ史上初の“昏睡探偵”誕生。大胆な設定と練達の筆致で贈る第11作。
ニューヨークの公園内の洞窟で暮らしていることから、“ケイヴマン”と呼ばれるホームレスのロミュルス。彼はかねて、悪の首領がクライスラー・ビルを根城にしているとの妄想を抱いている。ある二月の朝、洞窟の前で美青年の死体が発見された。警察は凍死と断定するが、その事件に悪の首領が関わっていると感じたロミュルスは、再調査に乗り出す。期待の新鋭が斬新な人物造形と文体で描くアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。
多額の借金をギャングに返すため、ギャンブラーのジョンは大金を抱え、愛車マスタングでネヴァダ砂漠を疾走していた。だが、突然車が故障した。修理のため彼は、ちっぽけな町に立ち寄るが、強盗事件に巻き込まれて大事な金を失ってしまう。金を返す時間が迫る中、彼は美貌の女とその夫の危険な関係の渦中に引きずりこまれていくが。鮮烈なタッチで描くパルプ・ノワール。オリヴァー・ストーン監督映画『Uターン』の原作。
ロス市警を辞職したジェッシイ・ストーンがはるばるとやってきたのは、アメリカ大陸の反対側、大西洋に臨む小さな町、パラダイスだった。町の警察署長が空席となり、彼がその職に採用されたのだ。パラダイスの町を牛耳る行政委員長ヘイスティは、そんなジェッシイに警戒心を抱いた。裏で不正資金の洗浄を手がけ、犯罪組織とも繋がりがあり、国民軍の名目で私兵までも率いる彼が求めていたのは、なんでも言うなりになる無能な警察署長だった。採用試験で酔っ払っていたジェッシィは、そんな狙いにぴったりの人材だった。そう、そのはずだったのだ。だが、就任早々、町の厄介者を殴り倒して見せたジェッシイは、警察署長として町に馴染んでゆき、その手腕を発揮し始める。徐々にヘイスティの真の姿に迫るジェッシイ。やがで、ヘイスティの愛人が死体で発見されるに及んで、両者の対決は避けられないものになってゆく…。スペンサーに比肩する期待の新キャラクター、警察署長ストーン堂々の初登場。