出版社 : 早川書房
“近ごろでは、むかしよりも階段の勾配がきつくなった気がする。電話帳もこまかい活字になったし、家から駅までの距離が倍になったのは言うまでもなく、靴ひもを結ぼうとすると、足元がむかしよりも遠くなってきている-。”中年男性諸氏にとってあまりに身につまされる話のために、何人ものにわか作家による盗作騒ぎがまき起こった、幻の名作「あなたの年齢当てます」のほか、手にとったあなたに、思わずチェシャ猫の笑いを浮かべさせる日常生活のスケッチ19篇。しゃれ笑いにごぶさたしているあなたに、笑いの達人コーリイ・フォードからの最良のプレゼントをお贈りしましょう。
時は2220年。植民衛星ローターの天文学者ユージニアは、太陽からわずか2光年のところに未知の恒星を発見した。おりしも地球からの独立を望んでいたローターの指導者ピットは、秘密裡に太陽系脱出を計画。独自に開発したハイパー・アシスト駆動を利用して、衛星の住民ごと新世界へ旅立った。だが、人類の新たな故郷になるはずのこの星ーネメシスは、やがて太陽系におそるべき打撃をもたらすことになる災厄の星だった。
平穏な軌道を描いていると思われたネメシスは、実は太陽に向かって直進しつづけていた!太陽系に達するのは5000年後だが、人類の避難はすぐにも始めねばならない。だがローターの独立に拘泥するピットは、この事実を地球に報告することを拒否。対立するユージニアとその娘をネメシス系の衛星エリスロに追放してしまう。しかし、そこには新たな驚異が…巨匠アシモフが未来史の設定を離れて描いた最後の本格宇宙SF。
かつてのアル中弁護士ギャルヴィンは、今や一流法律事務所で出世街道をひた走っていた。ある朝、巨大製薬会社相手の勝ち目のない薬害訴訟を、若い女性弁護士ティナに持ちこまれる。だが、訴訟の相手が事務所の顧客だったため断わらざるをえず、彼は年老いた恩師をティナの陣営に送りこんだ。そして、心ならずも自分は製薬会社側の弁護に立つがー名作『評決』に続き、硬骨の弁護士ギャルヴィンが活躍する法廷サスペンス。
CIAの協力者が未発表の回想録を遺して死んだ。その葬儀の直後から、息子の元刑事グラニーの周囲の状況は急変した。父の愛人、旧友が殺され、CIAと匿名の人物が回想録の買収を申し入れてきたのだ。内幕暴露を恐れる者が暗躍しているらしい。命をも狙われ始めた彼は、回想録を餌に反撃の罠を張るが…虚々実々の駆け引きをスリリングに描く巨匠屈指の傑作。
21世紀なかば、ナノテク技術の飛躍的発展と人格矯正の義務化によって、ついに人類は地球に疑似ユートピア社会を形成するにいたった。おりしもAI搭載の無人探査機が返送するアルファ・ケンタウリ探査報告に沸く巨大都市ロスエンジェルスで、ありうべからざる凶悪犯罪が発生した。高名な詩人が8人の弟子を惨殺、謎の失踪をとげたのだ。特命を受けたLA公安局生え抜きの女性捜査官、マリアは事件の捜査にのりだすが…。
美貌のLA公安官マリアはナノマシンを駆使して詩人の足取りを追い、カリブ海の独立国に潜入するも突然の国交断絶でとらわれの身に。一方被害者の父親の要請で、異端の心理工学者マーティンは詩人の精神へ禁じられたサイコダイブを敢行、異様なる心の迷宮に分け入っていく。そのとき遙か宇宙の彼方では孤独なAIに自我の萌芽が…めくるめくナノテク文明のヴィジョンを人間意識の深淵に重ねて描く、巨匠待望のSF巨篇。
十八世紀、フランス革命直前のヴェルサイユ、ルイ十六世の治世。欲望渦巻く宮廷社交界では「洗練されたエスプリ」が重んじられ、才気のない、風流を欠いた人間は除け者にされていた。そんな時代の風潮のなか、故郷の窮地を王に具申するためヴェルサイユにやって来たポンスリュドンという青年がいた。田舎貴族の彼の前には次から次に困難が立ちはだかるが、持ち前の才気と率直さで切り抜けていく…滑稽かつ痛快な諷刺劇。
「リトル・シャムロック」のバーテンダー、ディズマス・ハーディは、地方検事局時代の同僚ラスティから、かつて二人が刑務所送りにした凶悪犯ルイスの出獄を知らされる。出所したら二人を殺すと脅して、さらに刑期を延長された男である。やがて、ラスティの愛人が射殺された。ラスティもまた射たれ、死体は海に流されたらしい。死体があがらず、捜査が進まないのに業をにやしたハーディはみずから事件解明に乗り出すが。
1915年、第一次世界大戦のさなか優秀な海兵隊員を輩出する名門ブラックウッド家の当主で、海兵隊砲兵部隊の大尉ジョナサンは、英国海軍軍艦リライアント号に乗りダーダネルス海峡をめざした。英仏連合軍が、黒海と地中海とを結ぶ戦略上の要衝ダーダネルス海峡を攻略しようとしているのだ…ガリポリ上陸作戦、さらには凄絶な塹壕戦が展開される西部戦線と最前線で勇猛果敢に戦う海兵隊員を迫真の筆致で描く、戦争小説。
不気味なヴァレンタイン・カードが送られてきた日から、人気ミステリ作家ジリアンは恐怖にさいなまれ始めた。彼女は私立探偵に調査を依頼するが、今度は身の毛もよだつプレゼントが届けられ、彼女が診察を受けていた精神分析医が惨殺された。やがて犯人が明らかになった時、さらなる恐怖が!『崖の家』の著者が練りに練ったプロットで描く傑作サスペンス。
あの日から、すべてが崩壊に向かった。ある老人に行方不明の孫を捜してくれと頼まれた日からー家電販売会社で働くニックは、二週間前に突然失踪したアルバイトの少年ジミーを探しはじめた。まもなく彼は、少年が過激なパンクグループの男と謎の美女とともに消えたことを突きとめる。が、失踪事件はやがて麻薬絡みの殺人事件へと発展し…ハードボイルドの次代を担う新鋭が放つ、ノワールの香り漂う話題の新シリーズ。
魔都ニューヨークへ戻ってきたバークの許に、NY市警殺人課の女刑事ベリンダが会って頼みたいことがあると執拗に連絡してきた。一方、バークは幽霊ヴァンの一件以来、ベリンダと同じ殺人課の鬼刑事モラレスにもつきまとわれていた。バークはとりあえずベリンダに会うことにした。彼女の頼みというのは、連続レイプ殺人犯として逮捕されたジョージ・ピアソルは冤罪であり、それを証明するのに力を貸してくれということだった。彼女によれば、ピアソル逮捕の直接のきっかけになった事件には矛盾があり、署内の人物によって細工が施された形跡があるらしい。しかも驚いたことに、その人物はモラレスだと彼女はいう。バークは弁護士も加えてピアソル本人に会ってみたが、そのときのピアソルを見つめるベリンダの視線が妙に気になった。半信半疑のままバークは、馴染みの新聞記者や仲間たちとともにモラレスの過去や行動を調べていくと、たしかに、モラレスが真犯人ではないかと思えるような性向や事実がわかってきた。しかし、どう考えても、バークにはしっくりこなかった。そしてバークは、ベリンダの性急な働きかけとモラレスの圧力をかわしきれないまま、油断ならぬ無気味な空気をひしひしと感じさせられていく…。
自らのパートナーが捜査中に殺されて以来、ジャック・ウォルシュ刑事の人生は落ちていく一方だった。酒に溺れ、自暴自棄になり、ついには酔っ払い運転のあげく、ボストンの暗黒街を牛耳るマフィア・ファミリーのボス、ジョニー・ダンジェロの息子を事故死させてしまう。警官としての職も失い、刑務所で無為に服役するジャック。当然のことながら、そのころ塀の外ではダンジェロが、愛する息子を死に至らせた憎き男、ジャックへの復讐を固く誓っていた。刑期を終えたジャックのもとを連邦検事局のケイト・ハガーティが訪れた。ダンジェロにかねてから目をつけていたケイトは、彼を逮捕するために、ジャックに生き餌となるよう持ちかける。なかばやけになりながらも、囮役を引きうけたジャックは、しかし、パートナーの死とダンジェロが裏で深く関わっていたことを知り、自らの名誉と正義の回復をかけて、いまいちど決死の戦いに臨むことを決意した…。
研究実験施設「イコシエル」事件に端を発したイソギンチャクラーとの闘いが終わって、ひと月。ユリとケイはとりあえずさらなる敵の動向を探るため、薔薇十字学院で毎日を過ごしていたが、そうこうするうちに恒例の修学旅行が行われることになった。行く先は、大宇宙。豪華客船でのリッチでゴージャスな船旅、のはずだったが。前作で活躍した円行、ファン・スーに加えてインド人の美青年ディーバも登場。脇役陣もパワーアップ。
ガンヤス族の痕跡が見つからず焦燥するローダンは、ついに『マルコ・ポーロ』搭載艦艇による50の偵察隊を異銀河各地に派遣した。そのひとつ、アトランの偵察隊はかつてガンヤス帝国の通商拠点として栄えた惑星オフソホナルへ向かう。偵察の結果、戦火の放射能によって突然変異した原住民は、他種族の掠奪をなりわいとするオルコノル人の圧政下にあることが判明。彼らを救うべく、アトランはみずから危地に身を投じるが。
『長いお別れ』で出会った富豪の娘リンダ・ローリングと結婚し、プードル・スプリングスの豪邸に住むことになったフィリップ・マーロウ。だが、妻の金で暮らすことを潔しとしないマーロウは、町はずれに探偵事務所を開いた。最初の依頼人は、借金を返さない男を捜してほしいというカジノ経営者だったが、一見単純な依頼はやがて殺人事件へと発展する。巨匠の未完の遺作をパーカーが完成させた、話題のハードボイルド長篇。
教師のわたしにとって、雨降りの月曜日ほど憂鬱なものはない。しかも仕事を終えて帰宅すれば、同僚のライザの死体が転がっているなんて!ライザは女優としても活躍し、近く地元の名士と結婚する予定だった。わたしを容疑者扱いする生意気な刑事の鼻を明かすため、犯人捜しに乗りだしたものの、やがてわたしは第二の死体を発見することに…美人教師アマンダの、甘くてちょっぴり危険な探偵ごっこ。アンソニー賞最優秀新人賞受賞。