出版社 : 早川書房
人類初の恒星間宇宙船〈ディオゲネス〉は片道5万光年の旅に出た。だが、人類の壮挙ともいうべきこの旅の出発式は、驚くほど小規模なものだった。人々はすでに宇宙開拓への意欲を失っていた。フロンティア・スピリットにみちあふれ、選び抜かれた先鋭たち、とはいいがたいクルー6名が搭乗した〈ディオゲネス〉-しかし、それを見守っていたのは人類だけではなかった。異星生命体・見張り(ウォッチャー)もまた、人類監視のため、注視しつづけるのだった。異星体とのファースト・コンタクトを描く本格SF「見張り」ほか、7篇を収録。
アメリカは占領された!急激な軍備縮少と敵の策謀で、戦わずして敗北したのだ。ホワイトハウスの翻訳官ヒュウリットは、スラブ人司政官ザリンスキイの命令で占領軍への協力を強要される。やがて彼が見たものは、厳しい言論統制、ユダヤ系市民に対する弾圧などの過酷な占領政策。だが祖国奪還のため密かに活動を開始した者たちがいた。アメリカ最高の頭脳を結集した抵抗グループ〈ファースト・チーム〉。彼らの狙いは、恐るべき破壊力を持つ核ミサイル搭載原子力潜水艦を敵の手から奪取することだった。悪夢の事態を迫真の筆致で描く冒険大作。
綿密な計画の下、原潜奪取作戦は開始された。敵の裏をかき、潜水艦〈マグサイサイ〉は無事港を脱出。だが、敵も死にもの狂いで捜索を開始した。〈マグサイサイ〉が敵国を射程内に収めるには、難関ベーリング海峡を抜けなければならないのだ。一方、〈ファースト・チーム〉はヒュウリットを通じて敵に最後通牒をつきつける。アメリカから撤退しなければ、核ミサイルを敵国に発射するというのだ。だが敵はすでに潜水艦を発見、撃沈したと発表した。果たして〈マグサイサイ〉とアメリカの運命?占領者の圧制と戦う人々の勇気を描く感動の巨篇。
モスクワでアメリカ人を狙った連続殺人事件が発生した。アメリカは元CIAモスクワ支局長スターチャーを現地に派遣、彼はサーカスの花形である女性工作員と共に調査を開始する。そんな折、驚くべきことが起きた。闇の勢力の支配者ジャルコフが死の淵から甦ったのだ。彼は崩壊状態にあったソ連の秘密情報機関ニチェヴォを再建、再びその長官となる。一方、創造神ブラフマーの再来たるジャスティンは、ジャルコフ復活の報を知るや厳しい修行を積み、仇敵を倒すべくモスクワへ向かった…。MWA賞受賞作『グランドマスター』の待望の続篇登場。
連続殺人事件で揺れるモスクワに、さらに重大な事件が起きようとしていた。失脚した前書記長が、再び政権を握るべく陰謀をめぐらし始めたのだ。彼には強力な味方がいた。その人物、恐るべき魔力をを持つ少年シラーイはジャスティンの命を狙っていた。連続殺人事件を追うスターチャーと運命の再会を果たしたジャスティン、その彼を倒すべく執念を燃やすジャルコフ。-古来からの奇しき縁によって続けられた二人の抗争に、今、悪の化身シラーイが加わり、闘いはさらに、激化する。ファンタジィとスパイ小説を巧みに融合した一大エンターテイメント。
美術品密輸業のギルバート・ケンプにとって、それは朝飯前の仕事だった。ニカラグアの女富豪が、ヨーロッパ各国で買い集めた名画を輸出規制のないスイスまで運び込んでくれというのだ。高価なセザンヌの絵を抱え、ケンプはさっそくチューリッヒへと向かった。ところが駅に到着するやいなや、何者かの襲撃を受け、不覚にも輸送中の絵を奪われてしまった。あまりにも手際のよい襲撃の背後に潜むものは何か?プロとしての意地をかけ、ケンプは見えざる敵へ反撃を開始した。冒険小説の雄が美術界の裏側に生きる男の闘いをスリリングに描く。
ロンドンのビジネス街にあるささやかな煙草屋の二階に、切手商が間借りしていた。間借りといっても、切手商は週に二回しか部屋に来ず、しかも部屋には家具もカーテンも絨毯もなかった。ある日切手商のことを調べに刑事がやってきて、煙草屋の主人は俄然好寄心にかられた。切手商は、なんのために部屋を借りたのか。空っぽの部屋で何が行われているのか…築二百年を経た建物の意外な来歴が惹き起こした犯罪を描く表題作はじめ、ブラック・ユーモア、とぼけた味わい、あざやかなツイスト等、さまざまな趣好の逸品16篇を収録した初短篇集。
男は、フロリダ・キイズの湖のほとりに一人で住んでいた。フィッシング・ガイドとフライ作りをなりわいとして。恋人がいたが、その女にも、ほかの誰にも心を開いたことはなかった。生まれたばかりの時に自動車事故で両親を失い、その事実を十代の終わりに知らされた時、彼は復讐を決意した。この湖で相手の男を殺し、事故に見せかけて逃亡してから、人目を避けるように生きてきたのだ。そして、母親代わりに男を育ててきた女性が、いま釣り船の中で殺された…。環境破壊の進む島々を舞台に、孤独な男の闘いを描く全米書評子絶賛のデビュー作。
倒産寸前の音響メーカーに革命的な新スピーカーを売りつけた老人が殺された。殺人の現場は完全防音された実験室で、密室も同然の状況だった。しかも老人が何者であるのかを知る者はなく、犯人の動機さえわからないー投資会社の社長でやり手の父親と哲学者で世間知らずの息子の凸凹親子が不可能犯罪の謎に挑む、ハートウォーミングな本格派パズラーの好篇。
一撃で相手を天国へ送ることから“パラダイス・マン”と渾名される殺し屋ホールデン。彼は請け負った仕事のために幼友達のギャングを殺し、その時助け出した人妻と恋に落ちた。やがてマフィアの抗争に巻き込まれた彼は何者かに命を狙われ、彼女とともに身を隠すが。NYの暗黒街に生きるクールな殺し屋の姿をハードに描き出すクライム・ノヴェルの力作。
異星文化のごった煮と化した都市ヤミナベ・ポリスで開かれた超人サミットに四十数名のスーパーヒーローが集結した。このスーパーヒーロー一網打尽の機会を逃してなるものかと、悪の組織〈希望抜きのパンドラ〉は爆弾テロを敢行。スーパーヒーローの体はばらばらに。だが、天才バイオ科学者ユノ・Kの力により、地球人のホテルボーイ、スイハラ・カズヒコの脳とスーパーヒーローの部分を集めた新スーパーヒーロー〈怪傑ミイラ男〉が誕生した。
子供たちの父は、チャンドラーだった。その友は、フィリップ・マーロウだった。彼らの熱い思いがマーロウをここに蘇らせた。レイモンド・チャンドラー生誕百年記念出版。
現代の気鋭作家たちの新たなストーリーに乗って、フィリップ・マーロウの心と時代が躍動する。画期的な試みで誕生した記念アンソロジー。レイモンド・チャンドラー生誕百年記念出版。
ロデリックは、大作家の父が若い女優の卵に私生児を生まれたときのスキャンダルをよく憶えていた。だがそのときの私生児コーデリアから連絡をうけようとは思ってもみなかった。コーデリアの用件は、いまや舞台の大女優として君臨する母マイラの伝記を書くので、父の所有する母の手紙を見たい、というものだった。だが、本当の目的は別にあった。マイラから虐待されて育ったコーデリアは伝記で母の本性を暴いて復讐しようと考え、それを裏付ける資料を捜していたのである。その意図に気づいたマイラは、ロデリックの家を訪れたコーデリアを追って、自分も小さな田舎に村にやってきた。2人は村のパブの一室にこもり、激しい口論を闘わせていたが、やがて、一発の銃声が轟いた。愛と憎しみが錯綜する人間関係を鋭い筆致で描き、イギリス本格の魅力を満喫させる、実力派作家の最新作。
人類文明発祥の地、エジプト。今なお古代文明の残り香が漂うこの土地に、エイリアンは興味を示した。やがて彼らの壮大なプランが実行に移されたとき、エジプトは天地創造以来の大激変に見舞われた…新たな神話の誕生を描く表題作。ひたすら加速しつつ大宇宙を飛びゆく宇宙船の物語「相対論的効果」。冷凍睡眠で未来社会に甦り、ジョン・レノンだといつわってスターの座をねらった男の悲喜劇「ドゥーイング・レノン」など、現代ハードSFの旗手のバラエティ豊かな傑作中短篇を一堂に結集したベンフォード・ユニバースへのガイドブック登場。