出版社 : 早川書房
「百物語の夜」から20年後。ふたたび干ばつで湖底から現われた廃校に、かつての事件関係者たちが思い出を語り合うために集った。が、彼らを待ち受けていたのは、信じがたい悪夢の再現だった!クラスメートを一人また一人と屠っていく“復讐者”とはだれか、その動機は?“折原ワールド”の全ガジェットが総動員され、深まる謎。前作『沈黙の教室』を上まわる複雑極まりない叙述トリックが生み出す眩暈と戦慄の傑作。
1881年10月26日。歴史に残るガンファイトがアリゾナ州トゥムストーンの町で行なわれた。クラントン兄弟を中心としたカウボーイたちと、町の治安を預かるアープ兄弟が、正面から激突したのだ。決闘の場となったOKコラルは銃声と硝煙、そして血に覆われた…歴史に名高い「OKコラルの決闘」。その中心となった伝説の男、ワイアット・アープの真実の姿を、スペンサー・シリーズの巨匠が、史実と自由な発想を交えて描く、入魂の本格ウエスタン。
東京湾から英国人女性の死体が!日本で暮らした気鋭の女性作家が甘美な罠を仕掛ける心理サスペンス。ルーシーによって語られる禎司、リリーとの恋愛をめぐる歪んだ感情と悲劇。そしてその語りの中に仕掛けられた甘美な罠。東京を舞台に描く芳醇な心理サスペンス。2001年度英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作。
スーパーヒーローが独裁者から世界を救う!いとこ同士のジョー・カヴァリエとサミー・クレイは、『スーパーマン』の登場で黄金期を迎えたコミック業界で名をあげようと野心を抱き、究極のヒーロー“エスケーピスト”を生みだした。ナチスの魔手が迫ったプラハからここニューヨークへ逃れてきたジョーの体験を投影したエスケーピストはたちまちアメリカじゅうを席巻し、二人は頂点を極める。物語作家のサミーと、卓越した画才を持つジョーは、性格は違うが気も合う最強のコンビだった。しかし非情な戦争が強い絆で結ばれた二人を引き裂き、彼らを別々の運命へと導く…。野心的なふたりの青年の波瀾万丈な人生をパワフルに描くピュリッツァー賞受賞作。
暗い森に迷い込んだ11歳のハリーと妹は、夜の闇の中で何物とも知れぬ影に追い回される。ようやくたどり着いた河岸で二人が目にしたのは、全裸で、体じゅうを切り裂かれ、イバラの蔓と有刺鉄線で木の幹にくくりつけられた、無残な黒人女性の死体だった。地域の治安を預かる二人の父親は、ただちに犯人捜査を開始する。だが、事件はこの一件だけではなかった。姿なき殺人鬼が、森を、そして小さな町を渉猟しているのか?森に潜むと言われる伝説の怪物が犯人だと確信したハリーは、密かに事件を調べる決心をする-鬼才が恐怖の原風景を描き、最高の評価を得た傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
リンジ・チェン公安委員長による裁判の結果、惑星ターミナスにファウンデーションが設置されるのが確実となった。百科辞典編纂者である全銀河から選抜された10万人の最優秀な人々は、着々と移住の準備をすすめている。これまでセルダン計画を推し進めてきた天才数学者ハリ・セルダンは、その役目をすべておえ、人生の終末期を迎えていた。だが、そんな彼のまえに、ひとりの無名人が現われた。彼は、宇宙気流の分布と混沌世界の分布との一致を発見したと言うのだ。無聊の日々を過ごしていたハリ・セルダンは、それを証明する旅に同行することになる。だが、はじめはほんのささやかな冒険のつもりだったこの旅は、やがてキャルヴィン派とジスカール派のロボット間の抗争、精神感応者のみで構成された惑星ガイア計画。セルダン計画を破壊しかねない混沌世界の誕生など、全銀河の命運をかけた驚くべき冒険の旅へと変貌していった…。
ゲームクリエイターのニコラは、恋人イングリッドから突然別れ話を切り出された。一目惚れして以来、彼女とその息子ラウルとは幸せに暮らしてきた。なのに、彼女は別れの理由も言ってくれない。ラウルも生意気になってきて、ニコラが語り聞かせる妖精の話を信じやしない。そんなニコラの唯一の慰めは、毎日スーパーに通うことだ。そこでは、大学進学を夢見てイラクからやって来た若い娘が、レジのアルバイトをしている。彼女は入学許可がおりず落胆していた。はじめは心の内を探り合っていた二人だが、ある日、互いが直面する現実を語り合ったことから、奇跡が起きる…。愛とユーモアのマジシャンが紡ぐ、フランス発ファンタスティックな新しい恋愛小説。
侍女のオブフレッドは、司令官の子供を産むために支給された道具にすぎなかった。彼女は監視と処刑の恐怖に怯えながらも、禁じられた読み書きや化粧など、女性らしい習慣を捨てきれない。反体制派や再会した親友の存在に勇気づけられ、かつて生き別れた娘に会うため順従を装いながら恋人とともに逃亡の機会をうかがうが…男性優位の近未来社会で虐げられ生と自由を求めてもがく女性を描いた、カナダ総督文学賞受賞作。
1876年、建国百年記念万国博に沸き立つフィラデルフィア。だが会場の警備に就いている警官マクリアリーは失意に沈んでいた。事件解決の失敗で刑事の職を追われたのだ。おまけに今夜は金持ちたちを歓楽街へ案内しなければならない。渋々夜の街へ出るマクリアリーだが、退廃と虚飾に彩られたそのツアーの最後に、まさか少女の惨殺体を発見することになるとは…刑事魂がマクリアリーの胸に甦った。だが、上層部は彼を捜査から遠ざけようとする。事件の裏に何かが潜んでいるのか?力感溢れる筆致で描かれ、MWA賞に輝いた歴史ミステリの傑作。
メンフィスの黒人探偵スモーキーを訪ねてきた若い白人女性ローラはいきなり尋ねた-亡くなった母は、なぜあなたにお金を遺したの?彼にとっても、寝耳に水の問いかけだった。だが、ローラの両親の過去を調べるうち、そこに大きな秘密があることに気づく。その秘密は、彼自身の過去にも何らかの関わりが…そんなおり、人種差別撤廃運動が熱を帯びる街へ、スモーキーの幼な友達であるキング牧師がやってくることになった。爆発寸前のメンフィスを、スモーキーは奔走する!アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作となったハードボイルド巨篇。
全米が注目する大型新人が軽妙な筆致で映し出す、小粋なニューヨーク・ストーリー。ロマンチックなはずのハネムーンに、なんとも不粋なスカンクの闖入者が現われた。ところがジェイコブとレイチェルの場合は、この邪魔者こそが二人の仲を伝説の愛にまで高めたのだった。スカンクがとりもつ不思議な夫婦愛を綴る「ジェイコブの風呂」。美しい女性を誘っては、高価なドレスを買い与えて高級レストランに連れていき、その気にさせておきながら、触れもしない男の奇妙な愛の儀式を描く「マンハッタンでキス」などなど、個性豊かな男女が織りなす都会の人間模様をウィットにくるんで贈る、洒落た連作短篇集。
通りで遊んでいた3人の少年に近づいてきた車から降り立ったのは、警官を思わせる男だった。男は3人を叱りつけ、デイヴを車に乗せると、相棒とともに走り去る。あとに残されたジミーとショーンは、遠ざかる車の中に囚われたデイヴを呆然と見送った。四日後、誰もが内心ではデイヴの帰還を諦めていた時、彼は自力で脱出してくる。だが、囚われの4日間に何があったかは、誰の目にも明らかだった。ジミーもショーンも、それを痛いほどに感じていた。25年後、いったんは犯罪社会に身を落とし、今は更生したジミーを、悲劇が襲った。彼の19歳の娘が、何者かに惨殺されたのだ。事件の捜査を担当するのは、刑事となったショーン。そして捜査線上には、かつての友人デイヴが浮上した。必死の捜査を展開するショーン、犯罪社会のコネを使って復讐をはかるジミー、妻にも告白できない秘密を抱えるデイヴ。そして、彼らの家族もまた苦悩する。親を、夫を、子供を、友人を失う畏れに苛まれながら。新たな悲劇の幕は、すでに上がっていた…。
伝説の女テロリストと少年の交流を描く「ブレイン・キッズ」、瀕死の王国を揺るがす倒錯の愛憎劇「夜舞」、黙示録巨篇『バベルの薫り』の主人公、姉川孤悲のサイキックアクション「ソドムの林檎」、猥雑さと純粋さが同衾する残酷な愛に彩られた、危険なテロ小説集。
老医師には、その夜まで特に変わったようすは見られなかった。だが、勤め先の老人ホームでいつものように職員たちに声を掛けたあと、駐車場から車を出して帰宅の途についたはずの彼は、そのまま煙のように消え失せたのだ。当初は警察も事件性は薄いと見ていたが、その後九週間を過ぎても、その消息はまったくつかめなかった…失踪したダウ・パーセル医師の前妻フィオナの依頼で、マスコミを騒がせたこの失踪事件を調査することになったキンジーだったが、調査は遅々として進まない。老医師の家族関係は二度の結婚で複雑に入り組んでいたうえ、勤め先の老人ホームには医療詐欺の疑いがかかっている。69歳のダウを失踪に走らせたのは、どちらの理由なのか?そもそも、彼は自らの意志で失踪したのだろうか?粘り強い調査を続けるキンジーは、やがてある発見をするが…。ファンの熱い支持を受け、好調にミステリ界のトップを走り続ける人気シリーズ。人生と社会の闇に挑む、最新作。
タイトなジーンズに男ものの白いドレス・シャツ、茶色の髪をポニー・テールに結い大人の色香を漂わせた女性は、バーニイに手紙を盗んでほしいともちかけてきた。これまで正体を隠し続けてきた著名な作家が、正体を暴かれかねない手紙が競売にかけられるのを阻止したいというのだ。女性の魅力に参り依頼を引き受けたバーニイは、手紙の所有者の住むホテルの部屋に忍びこんだ。ところがそこで彼が見つけたのは、こともあろうに他殺死体だった…またもや自分の潔白を証明するために才能を発揮する羽目におちいった泥棒バーニイの華麗な名推理。
西部の小さな町ポットショットから来た美女は、夫を殺した犯人を捕らえてほしいとスペンサーに依頼した。町の近くの鉱山跡に巣くう無法者集団“ザ・デル”が、彼女の夫を殺したと言うのだ。町の警察も保安官も、強大な“ザ・デル”には手を出せない。町へ乗り込んだスペンサーは、はやくも“ザ・デル”と対峙するが、その様子を見ていた町の有力者たちは、驚くような提案をスペンサーにした。「金は出す、方法は問わない、“ザ・デル”を追い払ってくれ」さっそく準備にかかったスペンサーは、各地から腕利きのガンマンたちを集める。敵の勢力は四十人以上だが、ホークをはじめとするスペンサー陣営も凄腕ぞろいだ。西部の荒野に、対決の舞台は整った…だが、スペンサーの嗅覚は、事件の裏にまったく別の構図を嗅ぎ当てていた。対決を前に明らかになる、意外な事実とは?雄大な西部の荒野を舞台に、オールスター・キャストで送る、アクション巨篇。
雪と氷に閉ざされた厳寒のツンドラ地帯の孤島で、地上最大の哺乳類であるマンモスの一族が人知れず生きていた。その一族の若き雌マンモス、シルヴァーヘアがたどる波瀾万丈の冒険を描く話題作。
見分けのつかぬ家がずらりと並ぶロングアイランド郊外の新興住宅地。その一角の朽ちかけた家に、一人のシングルマザーが引っ越してきた。彼女の名はノラ・シルク。8歳の息子と生後11カ月の赤ん坊を連れてやって来た。離婚を罪悪のように考えるお堅い住人は、ノラに冷やかな視線を投げかける。彼女は専業主婦の輪に入れてもらえず、息子は学校でいじめられる。それでもノラはひるまない。おしゃれでセクシー、開放的なその生き方に、やがて大人も子どもも、男も女も魅了され、それまでの人生を捉え直すようになる。そしてある日突然、一人の主婦が家を飛び出してしまった…。自分らしい新しい人生を求めるシングルマザーが平凡な町に吹きこむ自由の風を、マジカルに描く感動作。