小説むすび | 出版社 : 早川書房

出版社 : 早川書房

謎の蔵書票謎の蔵書票

1660年、王政復古直後のロンドン。そこで20年近く書店を営むインチボルドは、アレシアと名乗る貴婦人から行方不明の稀覯本探しを依頼された。清教徒革命中に屋敷を荒らされたときに紛失した『迷宮としての世界』を取り戻してほしいという。それは1620年代のプラハで帝国図書館のために書籍の買い付けにあたり、蔵書家としても名高かった彼女の父アンブローズ卿が遺した貴重なものだった。破格の報酬に不審の念を抱きながらも、インチボルドはアレシアの屋敷から密かに持ち出した謎の暗号文を手がかりに蔵書探しを開始する。彼が試行錯誤の末に暗号を解くと、『迷宮としての世界』を思わせる言葉が浮かびあがった。はたして、この言葉には何の意味が?謎が深まっていくなか、蔵書の行方を追うインチボルドは、自分でも知らぬうちにアンブローズ卿と三十年戦争の時代に遡る恐るべき陰謀へと呑み込まれていった!1660年のロンドンと1620年代のプラハ。40年の歳月を経て一冊の稀覯本から繙かれる壮大な謎。“博聞と好学の徒をもって任じる”書店主アイザック・インチボルドを道案内に、書籍に関する蘊蓄をちりばめて贈る話題の歴史ミステリ。

誇りへの決別誇りへの決別

1913年、表面は平穏でもヨーロッパは戦争に向けて水面下で熾烈な駆け引きを操り返していた。なかでも、統一後いまだ政情が安定しないイタリアは危険な状態だった。外国の手に落ちている領土の奪回を求める急進派は、中央政府の思惑とは別に、様々な策をこらしていた…情報局にリクルートされて一年余、ランクリンとオギルロイはロンドンに戻り、新人教育や書類仕事で平穏に過ごしていた。だが、急進派のイタリア上院議員ファルコーネの警護を命じられたことで、平穏の日々は終わりを告げる。イタリアの失われた領土回復を叫ぶファルコーネは、軍のための兵器調達に飛び回っており、対立するセルビアやオーストリアに命を狙われているのだ。そんな彼が調達に躍起となっているのが、実用化されたばかりの飛行機だった。飛行技術の先進国であるイギリスに渡ってきたファルコーネを追い、危険な刺客も放たれているらしい。さっそくランクリンは一計を案じるが…激動止まぬヨーロッパを駆けめぐる、草創期のスパイたちの活躍。

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