出版社 : 早川書房
エリザベス女王の別邸での休暇が台無しだーティアラまでつけた女王そっくりの死体が、領内で発見されたのだ。最近、王室を攻撃していた過激団体の仕業なのか?メイドのわたしは女王の命令で、密かに調査を始めた。やがて、死んだ女性の謎の多い生活ぶりが明らかになるが、その直後、第二の殺人が!小粋なメイド探偵ジェインの活躍を描くシリーズ第二弾。
32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン-。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ-。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
彼らは最初に白人の娘を撃つ。残りの女たちについては、ゆっくり片付ければいい。オクラホマの片田舎の黒人だけが住むルービィの町外れの修道院に流れついてきた女たちはさまざまな話を紡ぎ出す。男と女、親と子、富める者と貧しき者、肌の色の濃い者と薄い者、さまざまな相克が現れ出てくる。ノーベル文学賞受賞後5年の歳月を経て発表された現代アメリカ文学の頂点。
平凡な会社員だったぼくは、タイラーという奇妙な男と出会う。意気投合したぼくらは過激な悪戯を繰り返し、ストリートファイトの愛好会ファイト・クラブを創設したのをきっかけに果てしなくエスカレートする暴力の渦に巻き込まれていった…。期待の新鋭が現代のヴァイオレンスを描く衝撃のデビュー作。
躁鬱病で入院中の女性ドンナが五階から飛び降り、昏睡状態に陥った。彼女の家族は病院側を過失で訴え、辣腕でならすシェリダンが弁護人を引き受けた。だが、背後に有力者を擁する大病院は裁判を阻止しようと策を弄し、技術も設備も劣る病院へドンナを追いやった。怒りに震えるシェリダンは、微かだが彼女が生きる意志を示しはじめたことに勇気づけられ、闘い抜くことを誓うが…『評決』の著者が放つ、正義と信念の大作。
状況はシェリダンに不利だった。ドンナの父親の虐待が明かされ、病院側はこれが彼女の自殺未遂の原因だと主張し、さらに彼女のカルテが忽然と消えたのだ。一方、ある病院関係者の恋人が、かつて不審死を遂げていたことが判明。病院側との攻防が激化する中、シェリダンは何者かに銃撃された。やがて、彼がつかんだ衝撃の事実は、この闘いを根底から揺るがすことに…正義を求め、苛酷な現実に挑む弁護士の姿を描く感動作。
親友を助けるため潜入したこの国は、私がかつて秘密活動をしていた危険な国だ。案の定、不穏な出来事が続くなか、親友は、没落した富豪の孫と名乗る娘の秘宝探しに、私を引き入れる。だが、その矢先、何者かが私を襲ってきた!秘宝を狙う者が他にもいるのか、それとも私の過去に何か関係が?海洋生物学者ドク・フォードが挑む、謎とロマン満載のサスペンス。
この顔には見覚えがあるわ…アンティーク家具の修復業を営むキャットは、なじみの骨董店の店先でホームレスの若い女性を見かけて驚いた。その女性は亡き娘の親友ジェニーで、しかも彼女はすべての記憶を失っていた。なぜ、新進女優として活躍中だった彼女がここに?同情したキャットは、ジェニーを救うため身辺調査に乗りだすが…行動力あふれる老婦人、“ワイルド・キャット”再登場。注目の痛快シリーズ第二弾。
後悔なんかしてないわ。夫を殺した日から、わたしの本当の人生が始まったのだから。小さな町で暮らすボニータ・フェイは横暴な夫に耐えかね、山頂で夫を射殺してしまった。事件の後、彼女は長年の憧れのパリを訪れ、そこでハンサムな青年と出会って友情を深めていく。が、やがて穏やかな日々に暗い影を落とす事件が…ロマンティックで少しせつない、自己再生を賭けた一人の女性の物語。
大天変と呼ばれる気候の大変動により極地の氷が融け、結果、水没地域のアジア・アフリカからの大量の移民が溢れ返ることになったロンドン。街全体が異国情緒に満ち、ロンドンの裏世界はさまざまな人種によって構成され、毎日騒然とした雰囲気に包まれている。しかも、「ドール」と呼ばれる人工的に合成された肉体に電子チップを埋めこんだ一種のロボットの人権を主張するグループが爆弾テロを繰り返していた。逮捕歴のある遺伝子ハッカーのアレックスは、戦闘用に改造したドールを闘わせる闘技場建設を試みるギャングと、そのギャングに私憤を抱く刑事の間に立っていたが、やがていやおうもなく争いに巻き込まれていった。そして、争いの渦中、現れた謎の美少女ミレーナはアレックスに手伝わせて盗んできたドールのチップを入れ替え、知性を持った「フェアリイ」を造りあげ、フェアリイとともに姿を消してしまった。アレックスはミレーナの後を追ったが…。アーサー・C・クラーク賞/ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した、イギリスSF界最高の有望作家が描く、ナノテクSFの傑作。
土星の衛星タイタンの軍事司令エドモンド・ポントナクはオヴァロン制御ステーションのコマンド脳に呼ばれた。ポジトロニクスがヴェガ星域でブリー率いる太陽系艦隊と交戦中の貯蔵庫部隊を捕捉、タイタンとグルエルフィン銀河を結ぶペドパイラーを作動させたのだった。待機するポントナクのもとにペドトランスファーしてきたオヴァロンは、侵攻部隊の動向を探るため、貯蔵庫を指揮するヴァスカロを乗っ取ろうとしたが…。
ロシアにタカ派の新大統領が就任し、突如ウクライナに侵攻を開始した。これに反撃すべく、ウクライナ首脳部は、工作員のアメリカ空軍大尉アモンに命令を下す。最新型核ミサイルを搭載した高性能爆撃機B-1を奪え!それを使ってロシアの軍事基地を破壊し、さらにアメリカをこの戦争に巻き込もうというのだ。妻を人質にとられたアモンはやむなくB-1の奪取に向かうが…現役空軍パイロットが放つ軍事冒険小説の傑作。
厳重な警備網を突破し、目的の空軍基地に潜入したアモンは、苦難の末ついに核ミサイルを搭載した爆撃機B-1の奪取に成功する。だが、その裏でアメリカは驚くべき秘策を講じていた。アモンは一路ロシアをめざすが、その行く手には盗まれたB-1を撃墜すべくアメリカのF-16が、さらにロシアの戦闘機スホーイが待ち受けていた!次々と襲いかかる危機、予測不能のストーリー展開ー強烈なサスペンスが貫く話題の巨篇。
突然姿を消したまま行方知れずになっていた姉の夫が帰ってきた。図書館の館長ジョーダンは驚くと同時に、ひどい仕打ちをした義兄への怒りを新たにするが、さらに衝撃的な事件が起きた。昔なじみの新聞記者が何者かに殺されたのだ。翌日、今度は義兄が殺され、ついには友人の警察署長までもが…。不可解な謎に親子の情愛を絡めて描く人気シリーズ第三弾。
四六時中キちゃってます。『トレインスポッティング』よりブッ飛んでるやつらがいる。史上初のレイヴ&ドラッグ小説アンソロジー。イギリスの若者文化を永遠に変えたとまで言われる過去10年のレイヴ&ドラッグに彩られたダンス・ミュージックの歴史を体感し批評してきた女性編集者がぶち上げた、気鋭19人の作家の手による読む快楽。陶酔的トリップ描写に脳が溶け、サウンドに打ち震えるパーティー・シーンの迫力に眼も踊る。
病院の駐車場で倒れているところを発見された若い女は、記憶をすっかり失っていた。身元もわからぬまま、とりあえず無料宿泊所へ収容された彼女は、そこで大女のホームレスと知り合い、彼女の励ましと協力を得て、自らの失われた過去を捜しはじめる。わずかな手がかりを追い、自分が記憶を失った経緯を辿るうち、二人の身辺に怪しげな人物がうろつきはじめた…。「花の街」バースは平和だった。殺人捜査班を率いるダイヤモンド警視も、あまりの退屈さに体調を崩す始末。見かねた上司は、本来は管轄外の自殺事件の調査をダイヤモンドに割り振った。自分の農場で、ショットガンで頭を吹き飛ばした老農夫の事件。市内の由緒あるアパートから身を投げた、身元不明の女の事件。どちらも平凡な仕事に見えたが、百戦錬磨のダイヤモンドの目は、ある事実に引きつけられた。これは、ひょっとすると…。ダイヤモンド警視の刑事魂をくすぐる怪事件続々発生!快刀乱麻の名推理が解き明かす、驚天動地の真相とは。
バーニイが経営する「バーネガット書店」でのある日。カウンターのバーニイが目をあげるとハンフリー・ボガートに関する本を差しだしている絶世の美女が立っていた。一目惚れしたバーニイとその美女イローナは、ボガートの話題で意気投合し、その夜から十五夜連続でボガート主演映画を上映する映画館に通うことになった。ポップコーンを分かちあいスクリーンに魅せられるふたり-でも、もちろんバーニイは泥棒稼業を忘れてやいません。キャンドルマスという変な名前の男に依頼されある高級アパートメントに書類鞄を盗みに忍びこみますが…。
第二次大戦中、毛沢東とチャーチルの間で、香港租借期限の百年延長を記した密約書が調印されようとしていた。がだ書類をのせた飛行機が墜落、密約書は行方不明に。時は流れ1993年、密約書の存在を知ったマフィアは、利益を守るために香港返還を阻止せんと書類を探し始める。その企てを阻むため英情報機関の長ファーガスンは元テロリストのショーン・ディロンとともに、密約書が眠るというスコットランドの城にのりこんだ。