出版社 : 早川書房
いとこのターシャがわたしに仕事を依頼してきた。カリフォルニアで三本の指に入る大手建設会社、マレック建設の経営者バーダー・マレックが亡くなり、四人の息子が遺産を相続することになったのだが、そのうちのひとりで、十八年ものあいだ行方知れずになっている次男のガイを捜しだしてほしいというのだ。わたしは簡単にガイを見つけだした。かつて一家の厄介者だったガイは、今ではすっかり更生していて、過去の罪を償うべく教会でボランティアをつとめる真面目で実直な人間に生まれ変わっていた。しかし、父の死をきっかけに家族との壊れた関係を修復しようと一家に戻ってきたガイは、就寝中に殴殺され、無残な死体となって発見されてしまう。わたしがガイを見つけだし、連れ帰ってきたのは間違いだったのだろうか?言葉にならない罪悪感と哀しみに心引き裂かれながらも、女探偵キンジー・ミルホーンの孤独な調査がはじまった…。
機械生命に追われ銀河中心のブラックホールを包む領域に進入した人類の末裔、ビショップ族。その一員トビーは仲間とはぐれ、時空を素材に造られたエスティ空間に迷いこんだ。さまよう彼の前に出現したのはナイジェルと名乗る謎の男。この男こそが人類として初めて機械生命と接触し、以来三万年余も人類を見守ってきたのだ。機械生命に打ち克つ鍵を求め、トビーはナイジェルと共に知識の源「銀河系図書館」に赴くが…。
一方、ビショップ族の長キリーンも、息子トビーの行方を探してエスティ空間を放浪していた。その途上、彼はマンティスと呼ばれる機械生命と遭遇した。マンティスによれば、どうやら機械生命は、キリーンの父を筆頭にした三世代のビショップ族の遺伝子に隠された情報を欲しているらしい。実はその情報こそ機械生命を破滅に導く切札だった…。
弁護士だったわたしはパートナーのロジャーにはめられ、今はしがないセールスマン。その彼の死体がわたしの部屋で見つかり、わたしは逮捕された。そこへ資産家のジーニーが保釈金を出すと言ってきた。かわりに、ロジャーに詐取され所在の知れぬ出資金800万ドルを取り戻すことが条件だ。ロジャー殺しにはこの大金が絡んでいるのかもしれない。わたしは無実を証明するため奔走するが…。
書きかけの原稿が2500枚を越えてもいっこうに収拾がつかず、途方にくれている作家のグラディ・トリップ。彼の長年の編集者でありながら、出版社のリストラでクビ寸前のテリー・クラブツリー。才能はあるがどこかズレてる、創作クラスの生徒ジェイムズ・リアー。三人の神童たちがスラップスティックに繰りひろげる、夜ごとのワイルド・パーティのはてに、一体どんな小説が書きあがるのか?奇才マイケル・シェイボンが、作家をめざすすべての人々に贈る、POPなメタフィクション。
大物政治家の裏の顔に迫る反骨の事件記者。アンソニー賞ノミネートの注目の新人デビュー作。ボストンの市議会議員スチュアートが何者かの凶弾に倒れた。ホームレス救済事業への多大な貢献によって、市民の尊敬を一身に集めていた人物をいったい誰が?解決への糸口がつかめぬなか、『ボストン・ポスト』の事件記者フランク・クローニンは、議員が“聖人”の仮面の下で、数々の不正に手を染めていた事実を知る。政界や上層部からの圧力にも屈せず、クローニンは真実の報道に異常なまでの執念をみせるが…。やがて事件はさまざまな関係者の思惑をはらみながら衝撃の結末へ。
医学博士のホブスンは、死にかけた老女の脳波の測定中に、人間の「魂」とおぼしき小さな電気フィールドが脳から抜け出てゆくのを発見した。魂の正体を探りたいホブスンは自分の脳をスキャンし、自らの精神の複製を三通り、コンピュータの中に作りだした。ところが現実に、この三つの複製のうちどれかの仕業としか思えない殺人が次々に…果たして犯人はどの「ホブスン」なのか?1995年度ネビュラ賞に輝く衝撃の話題作。
その老人は、むせかえるように暑い温室で私を待っていた。私立探偵の私は、暗黒街のボスである老人から、過激な環境保護グループの一員となり家出した孫娘を連れ戻すよう依頼されたのだ。やがて私は、孫娘の居所と彼女が密会する若者が住む小屋を探りあてた。だがその晩、小屋は焼け落ち、さらに私の身辺にも卑劣な罠が…探偵レオが森林開発に絡む邪悪な陰謀に挑む。ハードボイルドのジャンルに新風を吹き込んだ注目作。
この世の犯罪の多くは愛ゆえに起こるもの。あなたの隣で起きているかもしれないそんな愛ゆえの事件をテーマに、ベストセラー作家たちが書き下ろしたのが、本書である。甘く淡い囁きからエロティックな妄想まで、激情にかられた残忍な殺人からヴィクトリア朝の高貴な犯罪まで、最高級の作家たちによる最高級のミステリを、心ゆくまでお楽しみいただきたい。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞作「赤粘土の町」収録。
“暴力、言葉、そして希望に取り憑かれた”作家、ドロシー・アリスン。暴力が日常的である家庭に生まれついた少女ボーンをいきいきとした語り口で描き、フィクションの癒しの力を証明した、全米ロングセラー作。性的虐待に蝕まれた少女のこころ-暴力の日々を生き抜いた著者が半自伝的に綴った処女小説。
カリフォルニアのある穏やかな朝。ひとりの女が、見慣れぬ部屋で目を覚ます。かたわらには彼女の夫だと名乗る見知らぬ青年が付き添い、彼女の過去を少しずつ明かしていく。彼女がリズ・サンズボローという名を持っていること、CIAの腕利き工作員だったこと、「肉食獣」という名で知られる国際的な暗殺者に命を狙われていることを。いっさいの記憶を取り戻せぬまま、何者かの襲撃をうけたリズは、コロラドの山奥にあるCIAの極秘訓練所に送られ、カーニヴォアをとらえる作戦指令「マスカレード」に協力すべく、秘密訓練を受ける。が、わずかな記憶がよみがえってくるにつれ、他人に教えられた自分の過去に疑問を抱くようになる。いったい誰を信じればいいのか、どの情報を信頼すればいいのか、そして、ほんとうの自分は誰なのか?この暗闇を手さぐりですすむような狂気の仮面舞踏会の果てに、想像を絶する国際的陰謀が、彼女を待ち受けていた…。
香港からデンバーへ飛行中の大型旅客機から、ロサンゼルス空港に緊急着陸の要請がはいった。空中で異常事態が発生し、多数の負傷者と死者が出たというのだ。かろうじて着陸した旅客機の内部は、壊滅的な惨状を呈していた。シートはつぶれ、裂けた天井のパネルからは配線や断熱材がむき出しになっている。-いったい、何が起こったのか?事故機を生産したノートン社では、緊急会議が招集され、ただちに事故原因究明チームが結成された。ボーイングやダグラスと並ぶ業界最大手のノートンでは、中国との大規模な契約が進行中だった。もし一週間以内に事故原因が究明されなければ、契約が流れることは必至だ。そうなれば、競争の苛烈なこの業界で、ノートンが生き残るチャンスはない。崖っぷちの状況に立たされたチームのメンバーは、必死の調査を開始するが…卓抜なアイディア、無類のストーリーテリング、そして文明批判を含んだ過激なテーマ-つねに時代を揺るがしつづける「超頭脳」クライトンが、航空機事故の急増を予言して全世界を震撼させた大型ビジネス・サスペンス。
香港からデンバーへ飛行中の大型旅客機から、ロサンゼルス空港に緊急着陸の要請がはいった。空中で異常事態が発生し、多数の負傷者と死者が出たというのだ。かろうじて着陸した旅客機の内部は、壊滅的な惨状を呈していた。シートはつぶれ、裂けた天井のパネルからは配線や断熱材がむき出しになっている。-いったい、何が起こったのか?事故機を生産したノートン社では、緊急会議が招集され、ただちに事故原因究明チームが結成された。ボーイングやダグラスと並ぶ業界最大手のノートンでは、中国との大規模な契約が進行中だった。もし一週間以内に事故原因が究明されなければ、契約が流れることは必至だ。そうなれば、競争の苛烈なこの業界で、ノートンが生き残るチャンスはない。崖っぷちの状況に立たされたチームのメンバーは、必死の調査を開始するが…卓抜なアイディア、無類のストーリーテリング、そして文明批判を含んだ過激なテーマ-つねに時代を揺るがしつづける「超頭脳」クライトンが、航空機事故の急増を予言して全世界を震撼させた大型ビジネス・サスペンス。
夏休みに叔母のもとに遊びに来ていたキャシーは従姉と二人でグリーンウェイと呼ばれる小道に足を踏み入れた。ところが、彼女は途中で意識を失い、気づくと従姉は忽然と姿を消していた。そこは村人がけっして近寄らない、怪奇な伝説が残る場所だったのだ。それから二十年、いまだに事件の悪夢にうなされているキャシーは、忌まわしい記憶を払拭しようとその地を訪れる決心をするが、その直後、グリーンウェイでふたたび少女が消えるという事件が!衝撃のニューロティック・スリラー。
モリタトールーすなわちグルエルフィン銀河の語り部をもって任ずる種族。そのひとり、カラバシュが『マルコ・ポーロ』へコンタクトを求めてきた。ローダンは申し出に応じ、相手の本拠惑星モラケシュへ向かう。驚いたことにモラケシュはカピン20万年の膨大な歴史を記録・保存する“文書庫惑星”であり、銀河に君臨するタケル人の干渉も受けつけぬほどの聖域だった。しかし、そこにも密かな陰謀のしのびよる気配が…。
目覚めると、ベッドには見知らぬ男の死体が。そして自分のいるのがどこで、いつの時代なのかさっぱりわからない。いったい何が起こったのだろう…。わたしはモーリン・ジョンソン・ロング。長命族の指導者ラザルス・ロングの母であり、その共同妻。植民星テラス・ターシャスにやってきてからというもの、自分の子孫に囲まれて優雅な生活を送っていたのに、昨夜からの記憶がない。わたしは必死になって記憶を探るが…。
『メトセラの子ら』で登場し『愛に時間を』『獣の数字』『ウロボロス・サークル』でも活躍する、ハインラインの作品中もっとも魅力的なキャラクターであるラザルス・ロング。本書はこのラザルス・ロングの母であり、共同妻のひとりでもあるモーリンを主人公とし、その生い立ちからいまに至るまでを綴ることで、「未来史」シリーズにふくまれるすべての作品を、見事に結合させた。SF界の巨匠、ハインライン最後の長篇。
青葉ヶ丘中学3年A組ー悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。
パームビーチ一の人気を誇る肖像画家が死体で発見された。さっそく捜査を開始したわたしだが、すべてのカギを握ると思われる、ひとりの女性の妖しい魅力に心奪われて、肝心の脳細胞はいっこうに働こうとしない。やがて、事件で証言をした関係者たちが、次々と謎の死をとげはじめて…あらゆる男を惑わす“魔性の女”に翻弄される、プレイボーイ探偵の奮闘ぶりをユーモラスに描く、秘密調査員マクナリー・シリーズ第3弾。