出版社 : 早川書房
大好きな街ニューヨークが、今は涙で曇ってみえるーニューヨークの財団の所長を務める友人のキャロルが強盗殺人にあったとの知らせに、わたしは現地へ飛んだ。その直前、彼女はわたしの留守番電話に謎の伝言を残していた。しかも彼女は、厄介事をたくさんかかえていたらしい。死因に疑問を抱いたわたしは、キャロルの伝言の意味を調べはじめるが…大都会で独り、友人の死の真相を探るジェニー。人気シリーズ第七作。
判事になったデボラは激務の間をぬって、貧しい家族のために家を建てる活動に手を貸していた。だが建築現場で姪が男に乱暴され、その男が何者かに撲殺された。死体を発見したデボラは事件に巻き込まれ、さらに次々と不可解な謎が。アメリカ探偵作家クラブ賞、アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を受賞した話題作『密造人の娘』に続くシリーズ第二弾。
猫の名探偵フランシスは、飼い主のグスタフの家で、哲学的思索にふける幸福な毎日を送っていた。が、しかし。そこに現われたのが思いもしなかった闖入者。なんと飼い主のグスタフが恋人をつくり、共同生活をはじめたのだ。しかもその恋人というのが、大の猫嫌い。フランシスにたいして、何やらよからぬことを企んでいるらしい。身の危険を感じたフランシスは、自由気儘なひとり旅に出ることに。ところが、旅の第一歩を踏み出したとたん、フランシスは大雨で起こった濁流に流され、下水道に落ちてしまう。そこで遭遇したのが、誰に知られることなく下水道で暮している猫のグループ。フランシスは彼らから、いま凶悪な連続猫殺害事件が起きていることを教えられる。そればかりか、その推理力を見込まれ、容疑者と目されている「黒い騎士」を見つけ出してくれと依頼されるのだが-。
クリスマスまであと二日、という日のこと。八歳になる少年のマークが窓の外を見ていると、ひらひらと雪が降ってくる。そのひとひらを大切に冷蔵庫にしまって、マークはある計画を思いつく。そうだ、この雪を誰かにプレゼントしよう!世界でいちばん美しい心をもったひとに…自分の贈り物にふさわしい人物を探すため、マークはさっそく町へでかけるのだが-。たったひとひらの雪が教えてくれた、人生でいちばん大切なものとは?-誰もが優しい気持ちになれる、珠玉のクリスマス・ストーリー。
1965年、アメリカ一のマフィア・ファミリーのボス、ドン・ドメニコ・クレリクーツィオは、自分の身近な血縁にあたる二人の子ども、ダンテとクロスの洗礼式を祝ったのち、声明を発表した。「いまから20年後、われわれはすべて合法的な世界に埋没しているだろう。二人の幼な児は、われわれと同じ罪を犯したり、同じ危険にさらされたりすることはないだろう…」だが、ドンの強大な権力を持ってしても、運命の歯車を止めることはできなかった。クロスの父、ピッピの引退後、ファミリーの“鉄槌”的存在となり、生まれもった攻撃的気質を武器に、自らの野心を高めていくダンテ。ラスヴェガスで育てられたのち、ハリウッド女優と情熱的な恋に落ち、幹部の意向を無視して、映画産業にかかわっていくクロス。ふたりの生きる道は、やがて非情にも交わりはじめる…。
宇宙空間を故郷とし、強大な星間帝国を築いて、銀河の半分を支配するアーヴ。帝国では、三年前に「人類統合体」に制圧された星々を奪いかえすため、今まさに大規模な作戦行動が始まろうとしていた。戦争を前に、編成される大艦隊。その中に一隻の小さな突撃艦があった。艦の名は「バースロイル」。ラフィールが指揮する最初の船だった。
2028年、6月。いまや国際政治において絶大な権力を誇る国連は、北極海に核兵器を隠匿するシベリア連邦への制裁のため、基地の空爆を行なった。ところが北極の海底には、温室効果をもたらすメタンガスが大量に閉じこめられていたのだ!爆発のエネルギーで大気中に放出されたメタンは、徐々に気温と水温を上昇させてゆく。やがて夏が訪れ、暑さが最高潮に達したとき、北太平洋にかつてない激烈な風が吹きはじめた…。
北太平洋に発生した史上最大のハリケーンは、ハワイ諸島に深刻な打撃を与えたのち、次々に新たな嵐を生み出しながら、北半球全域で猛威をふるっていた。嵐の発生に最適な気候自体を変えないことには、人類の居住域は破壊しつくされてしまう!この危機に際し一人の宇宙飛行士に託された大胆きわまりない作戦とは…?情報ネットワーク網と地球環境問題を背景に、未曾有の災厄に立ち向かう人類を描く近未来サスペンス。
ハーディの若い友人エディ・コクランは、夜の駐車場で拳銃を片手に頭を撃ち抜かれ、横たわっていた。車には書き置きめいたものがあり、警察は自殺との見方を強めていた。だが、その夜彼は妻フラニーから妊娠を告げられていた。前途洋々とし幸福なはずの若い夫がなぜ自殺を?自身中年の危機にあるバーテンダーのハーディは原因調査に乗り出したが…『物的証拠』『十三人目の審判』の主役ハーディの輝かしい初登場作。
奇妙な酒を飲んで意識を失ったアンダーソンは、気がつくと何者かに湖で殺されそうになっていた。彼は危うく難を逃れるが、ふたたび恐怖に襲われる。テレビで自分が殺されたというニュースが報じられていたのだ。いったい何が起きているのか?別人になりすまし調査を進める彼を、やがて正体不明の男が襲撃してきた!新鋭が放つ謎と戦慄のサスペンス小説。
クープはシェヴィに乗って、夜の街を狩りに出ていた。彼は夜盗にして殺人者だった。本屋やギャラリーで、内気で孤独そうな女性を見かけると声をかけた。読書会に来ていたハリエット・ウォナメイカーもそんな女性のひとりで、クープの誘いにのった。女はナイフで腹を切り裂かれ、見るも無残な死体となってごみ収容器に捨てられた。深夜、クープはセーラ・ジャンセンの部屋に忍び込み、宝石を盗んだ。そのときベッドルームで眠る彼女のあられもない姿を覗き見て、火のような恋心を抱いた。彼女は証券業界で働く三十代の魅力的な独身女性で、クープはかつてないほどの性的興奮を感じた。その想いが他の女性への殺人衝働となって彼を駆り立てていった…。
もし、あなたがコンピュータとモデムを持っているとしたら、あなたはすでに、殺人者を自宅に招いてしまっているのかもしれない…。ヴァーバ-コンピュータとモデムを持つものであれば、誰もが接続し参加することのできる、ヴァーチャルな電子会議室。だが、ひとりの殺人者がそこに侵入して、殺しの獲物をさがしているとは、誰も気づきようがなかった。警告・あなたの生命は危険にさらされている。これを読みながらも、あなたは殺人者の手の届くところにいる-そんな殺人メッセージを電子掲示板で見たとき、ほとんどの人はただの悪質ないたずらだと思った。やがて、ヴァーバの利用者たちが次々と異常な方法で殺害されはじめるが、非力な警察は何の手がかりも見つけることができない…。コンピュータ・ネットワーク上を徘徊する、顔のない殺人者の恐怖をあますところなく描き、全米を震撼させたサスペンス話題作。
スコットランドの片田舎でテクノロジーを拒否して、信仰を守りながら暮らす人びとがいた。彼らはラスケンタイアリアンと呼ばれた。癒しの超能力を持つ19歳の少女アイシスはこの教団の次期指導者である。4年ごとの「愛の祝典」が間近にせまったある日、従姉のモーラグから手紙がきた。改宗して教団を離れるという。モーラグを翻意させるため、教団はアイシスをロンドンに派遣することにしたが…テクノロジーの産物である自動車を使うことを禁じられているアイシスは、タイヤチューブの筏に乗って旅に出ることになった。教祖である祖父サルヴァドルの秘密、モーラグの真の生活の秘密、教団創設の秘密、消えた大叔母の秘密、アイシスの超能力の秘密。さまざまな秘密がやがて真実の姿を現わしてくる。
あなたの力をぜひとも貸していただきたいの-セント・ポールの私立探偵ホランド・テイラーは、美貌の州知事候補C.C.モンロー下院議員から驚くべき秘密を打ち明けられた。かつて遊び半分で撮影したポルノ・ビデオをネタに、元恋人が一万ドルを要求してきているという。知事選も終盤の今、このスキャンダルが暴露されれば彼女にとって致命的な打撃になる。テイラーはビデオを取り戻すべく元恋人のもとを訪ねるが、男はすでに何者かの手で射殺されていた。はたしてモンローを陥れようとする政敵の仕業なのか?事件の背後関係を探り始めたテイラーは、やがてモンローの身辺で不可解な死が相次いでいることを知る…。スポーツをこよなく愛し、コンピューターを自在に操る探偵テイラーが政界を覆う黒い霧に挑む。ハードボイルド新時代の到来を予感させる、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。
死の衛星を破壊する準備がととのった3434年7月、ローダンのもとに凶報がとどいた。皇帝ダブリファがついに太陽系の所在をかぎつけたのである。ATGフィールドの効果を相殺する新兵器を開発したダブリファは、いままさに5万5千の大艦隊をもって襲いかかろうとしている。死の衛星による太陽のノヴァ化プロセスも激化をはじめた。未曾有の危機に挾み撃ちにされた太陽系を、ローダンはいかにして救うことができるのか。
体の中の野獣が今にも腹の皮を突き破り、心臓をちぎろうとする。狂っている内なる自分を感じながら、「そいつ」は冷静にライフルの照準を騎手の脇腹に合わせた…競馬場を切り裂くその轟音とともに、都会で挫折し村に逃れてきた元ロックシンガーの鮎子は、果てしない恐怖の旅へと連れ去られる。ハヤカワ・ミステリ・コンテスト受賞の気鋭作家がカントリーを舞台に異常な連続殺人を描く入魂のノン・ストップ・サスペンス。
何者かに誘拐された、いとしのペルシャ猫を探しだしてほしいーそんな奇妙な依頼が、よりによって、大の猫ぎらいのわたしのもとに舞いこんでこようとは…。だが、やむなく調査を開始したわたしを待ち受けていたのは、愛すべき隣人たちをも巻きこむ、残忍で非道な殺人事件だった。L・サンダーズが新境地を拓き、全米ベストセラー・リストを驀進し続ける「秘密調査員マクナリー・シリーズ」が、文庫オリジナルで登場。
国税庁からの通告が、イージーの平穏な日々に終止符を打った。彼の隠し財産を至急申告しないと逮捕するというのだ。窮地に立たされた彼は、FBIにおとり捜査の協力を約束する。彼は著名な活動家の行動を探るが、やがて恐るべき陰謀の渦中に…赤狩り旋風が吹き荒れるロスの街で、黒人探偵イージーが労働運動絡みの殺人事件の真相を追う。
金持ちが集まるリゾート地、オレンジ郡ゴールド・コースト。元警官でアル中のウィニーがテスに会ったのは、酒ゆえの事故を起こし、判事にさんざん絞られてようやく保護観察になった夜のことだった。性懲りもなく足をむけた酒場のカウンターにすわっていた、美しい上品な女。事故の記事を読んで、ウィニーに興味をもったのだと彼女は言い、明るく微笑んだ。テスは、金持ちの夫と離婚し、次の結婚相手を捜している有閑マダムの一人だったが、こんないい女がなぜおれなんかを、と思う間もなく、ウィニーは恋におちていた。だが、めくるめく情事のあいまに、彼は不思議なデジャ・ヴュを何度も経験する。テスとは初めて会ったはずなのに…。
ぼくにとってミステリは愛であり信仰の対象だった。シルヴィアにとっての詩人エミリー・ディキンスンのように…18歳のぼくが43歳の人妻シルヴィアと出会ったのは、砂漠の真ん中だった。ぼくは新興宗教の教祖である母親から逃げだし、シルヴィアはディキンスンの生家を見るため、夫と息子を家に残してドライブの途中だった。気意投合したぼくたちは、ニュー・メキシコ、テキサス、シカゴへと旅をつづけ、ぼくはシルヴィアのエキセントリックな魅力のとりこになっていく。しかし、ある日突然、彼女はぼくを置いて夫のもとへ帰ってしまった。ディキンスンの詩集と別れのキスだけを残して。いったいなぜ、彼女はディキンスンへの情熱を失ったのか?ぼくは謎めいたシルヴィアの真の姿を追い求め、独りで旅をつづけるが…1970年代のアメリカを舞台に、作家志望のミステリ・ファンの少年と詩を愛する人妻が織りなす、不思議でほのかにエロティックな関係。ミステリ、恋愛小説、ロード・ノヴェルなどさまざまな要素が自由奔放にとけあう、新しいかたちの青春小説。