出版社 : 早川書房
女だって城砦ノ太守になれるー野心を胸に秘め、縁談を断わって城砦を飛び出したテルガー城砦ノ太守の姉セラ。男まさりの彼女はやがて無法者たちを従え、近隣の集落を襲撃しはじめる。ある日、竜の声を聞くことができる少女の噂を聞いたセラは、この少女を味方に引き入れようと奸策をめぐらすが…“反逆の女太守”が引き起こす事件を軸に、南ノ大陸の探険を続けるピイマアの活躍などを描く、人気シリーズ正篇第七弾。
聖騎士スパーホークーエレニア国の女王エラナの夫にして、剣と魔法を駆使して王国守護にあたる異能の戦士。かつて世界を統べる力を持つ宝石をめぐって神とさえ対決した彼の名は、世界じゅうに鳴り響いていた。その彼のもとに大帝国タムールから救いを求める使者がやってきた。超常的な力がからんでいるらしい帝国内の騒乱を鎮めてほしてというのだが…ベストセラー作家が贈る波乱万丈の新シリーズ、いよいよ開幕。
若い医師の夫婦、デイヴィッドとアンジェラは、ヴァーモント州の平和な町バートレットの病院に高給で引き抜かれた。だが、現実のバートレットは理想の町どころではなかった。病院のもと院長は、何者かに惨殺されており、病院の駐車場では連続レイプ事件が起こっていた。しかも、デイヴィッドの担当の入院患者が原因不明の病気でつぎつぎに急死していく。やがて夫婦を襲う悪夢のような事件とは…話題の医学サスペンス。
青い海に囲まれた楽園バハマで雇われ船長を務めるニックは、ある日、弾痕も生々しい無人のヨットを発見した。残された海図の記入は“殺しの島”という名前の島で途絶えていた…。やがてニックは米国議員の子供を麻薬中毒から更生させるための航海に出る。だが海には卑劣な罠が待ち構えていた。船と友を失い、恋人も行方不明になったニックは、事件の黒幕が“殺し島”に住むことを突き止め、島を戦場に変えると誓う。
いかがわしいグリーティング・カードを作って暮らしているアート・ドッジは、離婚歴のあるプレイボーイ。双子の美人姉妹に惹かれた彼は、自分も双子だと偽って、姉と妹に取り入っていく。そして二人の心をつかむと、彼女たちが相続する莫大な遺産までも手に入れようとたくらみ始めた。ところが、一人二人は問題だらけ。果たして、彼の計画は成功するのか。
彼女は、恋愛で結ばれたエリート・ビジネスマンを夫に持つ高校教師。子供が二人いて、快適なアパルトマンに暮らしているが、結婚生活に失望している。いわゆる主婦の役割を期待されて、買い物、食事の支度、子供の世話、その他の家事に明け暮れるうち、生きる意欲や、外界への好奇心が、自分のなかで錆びついていくのを感じるしかない。自由と自立のなかの幸福を志向していたはずなのに、そういう状況にはまり込んでしまうとは。自らの軌跡をたどって、彼女は、幼少時、思春期、学生時代、恋愛の時期、結婚後を語る-「女の子」として、「女性」として、どう生きてきたかを語る。『シンプルな情熱』三部作で話題を呼んだフランス文学界注目の女性作家が、自立への意欲と結婚生活への失望を描く、自伝的小説。
太陽系に侵入したカピンはその特異な能力ーペドパイルングをもちいて、テラナーの精神を乗っ取り自在に操れると判明した。しかも旗艦『インターソラー』にカピンのひとりが潜入したらしい。すでに太陽系帝国の要人が乗っ取られた可能性すらあった。ローダンでさえペドパイルングの前には無力なのだ。アトランは極秘裡にグッキーたちミュータントからなる特別コマンドを編成すると、カピンの捜索に乗りだしたが…。
東京から青森までー緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車でツーリングする中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。ひょんなことから自衛隊の陰謀さわぎに巻き込まれ、特別隊に追跡されるはめになった。道中で出会ったヒッチハイクの家出少年、桐沢、自衛隊の尾形三佐ー追う者と追われる者の対決、冒険とサスペンスをはらみつつ、男たちは北へ。男たちのロマンをさわやかに描く傑作ロード・ノヴェル。
好奇心が強すぎて神学校の落ちこぼれになっていたわたしは、教授からある課題を与えられた。突然失踪した学生クロズリイを捜せというのだ。敬虔と評判だった級友の足跡を追い始めたわたしは、やがて彼が詩人キーツの末裔を名乗る老女に金策を頼まれていたことを知る。が、その老女が殺され、行方不明のクロズリイに殺人の容疑が。若き神学生オーエンの苦闘を通して不安定な青春の哀歓をリリカルに描く、シリーズ第二弾。
SF界のカルト・ヒーローが紡ぎだす、驚異の世界へようこそ。あやしげな慣性巻き取り機の作動で月と地球が激突の危機にさらされる「慣性」、ゲームおたくの情熱が恐るべき事態をまねく「パックマン」など、ラッカーの多彩な魅力を満喫できる作品群を結集。そのほか、サイバーパンクの旗手スターリングとの合作「クラゲが飛んだ日」、抱腹絶倒の日本旅行エッセイ2篇も織りまぜた、ファン必携の日本版オリジナル短篇集。
ミドケミアを震撼させたリフトウォーが終結して20年。平和を享受する諸島王国に、隣国の大ケッシュ帝国から女帝の誕生祝賀会の招待状を携えた使者がやってきた。王国の使節として派遣されることになったのは、王弟アルサの19歳になる双子の息子、ボリクとエアランド。王子一行は、意気揚々と熱砂の国ケッシュへと出発した。行く手に恐るべき陰謀が待ち受けているとも知らずに…。若き王子たちが繰り広げる幻想冒険活劇。
1945年7月16日。最初の原爆実験が行なわれたこの日、「ルーズヴェルトがいってしまった」という謎の言葉を呟く若者が、アリゾナの山中で救助された。50年後、老いた世捨て人となったその若者が所持していた認識票が、ペンタゴンに激震をもたらした。最高優先機密扱いとなっているある事件の死んだはずの関係者の認識番号だったのだ。原爆実験に隠されていた驚くべき秘密とは。アーサー・C・クラーク激賞のサスペンス。
第二次世界大戦という試練をへて誕生したアメリカ空軍。その一員となったバンドフィールド大佐たちは、新鋭機の開発に日夜力を注いでいた。音速を越えるロケット機、最新技術を駆使したジェット戦略爆撃機ーアメリカの航空産業は世界最高峰にあるかに思われた。だが、朝鮮半島で戦争が勃発すると、黒人パイロットのマーシャルたちは思いがけぬ強敵ミグ15と相まみえることになる。ジェット黎明期を舞台に描く航空絵巻。
B-47ジェット爆撃機は、革新的な設計ゆえに、多くの問題をかかえていた。さらにロケット技術の進歩によって戦略爆撃機の存在意義自体が疑われるなか、主翼の破断事故が続発。B-47の将来は危機に立たされる。一方、高まりを見せていた黒人差別撤廃運動に反発して、人種差別団体が不気味な動きをはじめていた。黒人たちを挑発し、暴動を起こさせようとする彼らの陰謀を知ったマーシャルたちは、阻止のために立ち上がった。
写真家クレアは放浪の旅を終え、家族の待つ我が家に帰ってきた。顔を合せれば喧嘩ばかりの姉カーメラ、新米警官の妹ジニー、やんちゃな甥マイクリーン、そして愛する父母。ところが、近くの森で少年が惨殺されるという事件がおこる。折しも一家の留守に泥棒が入り、森で憩う人々を撮ったクレアの写真が盗まれた。幼いマイクリーンを気遣いつつ、事件解決に奔走する三姉妹の姿をユーモアたっぷりに描く爽快なデビュー作。
ハーヴァード大学の犯罪学教授クリス・シェリダンは、同棲していた恋人グレイスと別れた後、半年間アイルランドに行き、自分のルーツを調べた。そして、自分の一族と彼女の一族とが三代前から恐るべき敵対関係にあったことを知る…。ダブリンに生まれた祖父のコン・シェリダンは向こう見ずなIRAの大尉で、「血の日曜日」事件に関わった。イギリス側の警察署を襲った際に負傷し、手当てを受けた先で知り合ったアメリカ人富豪の若い妻ハドリと激しい恋に陥ったコンは、駆け落ちを迫るが、相手のほうは夫と別れるつもりは全くない。拒絶してもしつこくつきまとうコンに呆れ返ったハドリは、イギリス側にコンを密告してしまう。IRAの活動家のなかでただ一人捕らえられたコンは、処刑される寸前に仲間の手引きで脱出に成功、ハドリの裏切りに失意を抱いたまま、アメリカへ渡る。ボストンで警察官になったコンは、敬虔な判事の娘メレンを孕ませ結婚、息子が生まれる。そして十数年後、幼女強姦殺人事件の捜査で、コンはハドリと運命的な再会をする…。1973年に『ゴッドウルフの行方』でデビューして以来26作品を発表、ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ等で人気を博してきたハードボイルド作家が放つ、質量ともに過去最高の野心的大作。これまでの集大成ともいうべき自伝色の濃いエンターテインメント。
ズニ族の少年と、その友人であるナヴァホ族の少年が行方不明になった。ナヴァホ族警察のリープホーン警部補は、ズニ族警察と共同で二人の捜索を始めた。が、ズニ族の少年は遺体で発見され、さらに新たな殺人事件が、やがてFBI、麻薬取締官も介入し、事態は複雑な様相を呈してくるが…アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した傑作。
1985年、パリ。新学期が始まった月のある日、下校途中のアリスが誘拐された。エグゾセを継ぐ新ミサイル開発中のアンドレ・ベルナール空軍中佐の一人娘だった。誘拐犯は軍事科学情報の獲得を目的とする、東側とアラブ人からなるテロ・グループで、人質の片目を針でつぶしてから交渉に入る「シュテッカ」だった。この日から中佐の地獄が始まった。『元首の謀叛』の直木賞作家が、残虐なテロ・グループへの反撃を描く迫真作。