出版社 : 早川書房
カリフォルニアの空の下、21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイは孤独な人々に出会うー“マイケルにさようならと伝えて”アーロンの今度の仕事は自殺した女性の最後の言葉を伝えることだった(「ハンバーガーの土曜日」)、郊外の食堂で電話中の少女が凶弾に倒れる現場に居合わせたアーロンが通話相手の依頼を受ける(「時には星の下で眠る」)等、青春の切なさとハードボイルドが見事に融合した青年探偵のシリーズ全11篇。
大金持ちの有名人、ハイディ・ブラッドショーがスペンサーを訪れ、娘の結婚式で自分のそばについていてほしいと頼んできた。奇妙で曖昧な依頼を怪しみつつも、スペンサーはスーザンとともにマサチューセッツ沖のハイディ所有の孤島へと赴く。豪華な顔ぶれの招待客が島に集まってくるなか、スペンサーは思いがけない人物を見かける。かつてスペンサーを殺しかけ、のちに協力しあったこともある因縁のガンマン、“灰色の男”であった。華やかな結婚式にはそぐわない殺し屋の存在に不吉な予感がみなぎる。ハリケーン級の嵐が荒れ狂うなかで式は強行されたが…。式がクライマックスにさしかかったそのとき、招かれざる客・灰色の男はマシンガンで武装した部下を率いて現れた。銃撃、誘拐そしてスーザンを守ることを最優先したスペンサーを残し、灰色の男は大型ヘリコプターで逃走する。灰色の男の彼らしからぬ劇的な犯行。また、依頼人ハイディは非常事態に取り乱した様子もない。灰色の男が現われる場所にスペンサーが呼ばれていたのは本当に偶然なのか。不審を抱いたスペンサーは、独自に調査を開始した。死闘を演じた過去にもかかわらずお互いを理解し合ったかに思われたスペンサーと灰色の男。やはり相容れぬ敵同士でしかありえないのか-。謎の男の核心へ分け入るスペンサーの調査は、意外な真実へとたどり着く。
命運を賭けた決戦に大敗し、満身創痍となった艦隊を敵本拠星系から無事に脱出させたギアリー大佐。次々と策を用いて敵の裏をかきながら故郷をめざす途中、シュトラー星系で捕虜収容所を発見、救出に成功した!だが、その捕虜のなかには、ギアリー同様“伝説の英雄”と讃えられるファルコ大佐がいた。野心家の彼は艦長たちを扇動し、39隻の艦をひきいて艦隊を離脱、一路故郷の宙域をめざすが、そこには怖るべき敵の罠がー。
人面魔獣事件で重傷を負ったジョウには長期の治療が必要だった。その入院生活もようやく終わろうとした頃、病床のジョウは不可解な襲撃を受ける。それは暗黒邪神教事件以来消息を絶っていたクリスからの死の挑戦状だった。エスパーの国、神聖アスタロート王国をうちたてた美しき魔王は、銀河系の新たな支配者となることを宣言し、全人類の滅亡を予言してきたのだ!わずかな手懸りからジョウたちは捜査を開始するのだが。
CIA最高のスパイ、アフメドが裏切り、ロンドンへの大規模なテロを計画している。陰謀を阻止するため、力を貸してほしい。元SAS隊員のウィルは、MI5とCIAから極秘任務を依頼された。ウィルの妻子が死んだ二年前の爆弾テロ事件がアフメドの仕業だと聞かされて、彼は依頼を受諾、SASの精鋭たちと行動を開始する。だが、アフメドは想像を遥かに超えた強敵だった!知力・体力の限りを尽くした死闘を描く冒険アクション。
アビーは故郷の南アフリカ-差別と呪術の国-を離れ、アメリカ人の男性と結婚し、常夏のハワイへ移住した。雨漏りする車庫や不親切な隣人たちに悩まされながらも、夫と甘えん坊の愛娘とともに平穏な暮らしを営んでいた。しかしそれは、束の間の幸せに過ぎなかった。友人に預けていた娘が、空飛ぶ凧を追いかけ路上に飛び出すまでの。アビーは娘を失い絶望の底をさまよった。救いはどこにもないように感じていた。だが、生まれ育ったケープタウンへの旅が、神秘的なアフリカの大地の鼓動が、彼女の人生を甦らせる。感動のデビュー長篇。
無人島に理想郷を築こうとした宗教組織が集団失踪した。そこで何が起こったのか?教団の足跡を取材中の女性フォト・ジャーナリストが発見した不可解な異物。そして彼女の周囲で起こり始める異変。数学者が、教団の教義から数学的に導き出した殺人連鎖とは何か?消滅したはずの教団は?カルト、廃墟、暗号、パラドックスなど、謎の迷宮の暗路に潜む真実を、数学論理が解き明かす、本格論理ミステリ。
遺伝子管理局が統括する12基の知性機械によって繁栄していた人類文明が、キルケー・ウイルスの蔓延によって滅びてから250年。25世紀半ばの中央アジアでは、疫病が各土地で風土病と化し、人々の移動を著しく制限していた。イスラム系のマフディ教団とロシア系の中央アジア共和国が微妙な均衡を保つ天大山系で、旧世界の科学技術を保持するミカイリー一族は、半世紀にわたってマフディ教団と共存してきた。だが、教団の勢力争いにより、次期当主候補の一人であるミルザは、重大な秘密をもつ少女フェレシュテとその母マルヤムとともに、中央アジア共和国へと亡命する。一方、もう一人の当主候補レズヴァーンを擁立した教団幹部のアリアンはミルザらの逃亡を機にミカイリー一族を処刑、XXYのレズヴァーンを“妻”として教団の実権を掌握するのだったが…。『グアルディア』『ラ・イストリア』に続くHISTORIAシリーズ待望の第3作。
中央アジア共和国イリ軍管区の保護下にあるフェレシュテは、精鋭部隊の少女リューダの護衛の下、辺境のクルジャから北部の町へ移送されることになった。だが道中の2人を、マフディ教団の実権を奪取したレズヴァーンと配下の殺戮機械パリーサが襲撃、フェレシュテは連れ去られ、リューダは瀕死の重傷を負う。そんなリューダを救ったのは、西方から侵入してきた騎馬民族カザークの首領ゼキであった。教団の女信徒たちを自爆テロリストに仕立て上げ、共和国との永続的な準戦時体制を維持しようとするレズヴァーンに対し、イリ軍管区司令官ユスフはゼキとの同盟を締結、共和国からの独立を画策していた。古えの知性機械ミカイールに一度だけアクセスできる“階梯”たるフェレシュテをめぐり、複雑にからみあう各陣営の思惑は、中央アジアを大いなる動乱へと導いていく…『グアルディア』を凌駕する近未来の英雄叙事詩ついに完結。
道端で男に殴られていた女子大生美紀を拾ったバイク乗りの幸雄。奇妙な同居は幸雄が美紀に売春をさせたことで終わったかにみえたが…男女の不思議を描く表題作他、ストリップ劇場で理想の女を見つけた男が彼女を探して旅をする「ひと目だけでも」、会社を辞めた男が故郷で恋人の親友に会う「いつもの彼女、別な彼」等、感情を排した乾いた文章がなぜか通常の恋愛小説よりも深く胸に残る名品7篇を厳選。
背中から銃撃され、ホークが瀕死の重傷を負った。彼が護衛していた賭け屋一家も殺され、ホークは静かに復讐を誓う。しかし事件の背後には、襲撃の実行犯であるウクライナ・ギャングだけでなく、旧知のギャング、トニイ・マーカスをはじめ、様々な人物の思惑が絡み合っていた…スペンサーの協力のもと、ホークは真相を追い、復讐計画を練り上げていく。砕かれた誇りを取り戻す、ホークがホークであるための闘いが始まる。
傷を負ったのは、身体だけではない。心も深く傷ついていた…長い療養生活の後でようやく退院したレベッカは弁護士を辞め、故郷のキールナへ戻った。乞われて地元の特別検事の職に就いた彼女が立ち直りはじめた矢先、凍結した湖で女性の惨殺死体が発見され、またも事件に関わることになる。被害者の身辺を調べると、複雑な背景が浮かび上がってきたースウェーデン推理作家アカデミー賞を連続受賞した注目作家の最新作。
浮遊バクテリアが建物を侵蝕し、情報伝達物質により政府が国民統制する都市を舞台に、主人公と女友達の曖昧な一夜を描いた表題作、“野天人”だったという叔父の後妻をめぐる少女の回想「野天の人」、“町”に侵入してくる悪魔と戦う公社職員の挫折と希望「駆除する人々」ほか、期待の幻想小説作家による硬質にしてフェティッシュな7篇を収録。
人類はついに過去への時間旅行を実現した。その技術を利用し、オックスフォード大学は、第二次大戦中、空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂復元計画に協力している。史学部の大学院生ネッドは、大聖堂にあったはずの“主教の鳥株”を探せと計画の責任者レイディ・シュラプネルに命じられた。だが、21世紀と20世紀を何度も往復して疲労困憊、とうとう過労で倒れてしまった!?SFと本格ミステリを絶妙に融合させた話題作。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。
時間旅行の無理がかさなり過労に陥ったネッドは、二週間の絶対安静を命じられるが、レイディ・シュラプネルのいる現代ではゆっくり休めるはずもない。そこで、指導教官ダンワージー教授はネッドをのどかな19世紀ヴィクトリア朝へ派遣する。だが、時間旅行ぼけでぼんやりしていたネッドは、自分に時空連続体の存亡を賭けた任務があるとは夢にも思っていなかった…ヒューゴー賞・ローカス賞受賞の時間旅行ユーモア小説。
軽井沢フィルを率いる美貌の指揮者・火渡樹理と難病を患う新進画家の緑川弦が出会ったとき、三代にわたり二家を縛る不思議な因縁が露になる。第二次大戦中に起きた樹理の祖父の割腹自殺と弦の祖母の密室での縊死事件。短歌と楽譜、そしてロシア文字に隠された美しくも哀しい暗号とは?樹理と弦にのみ聴こえるヴァイオリンの旋律が二人を真実の高みへと導く。現代のサナトリウム文学的恋愛音楽ミステリ。
巡礼団全滅という惨事は、ヨナにとって信仰を揺るがすほどの大きな出来事だった。しかしヨナは、任務を続行することにし、スカールら騎馬の民に守られながらヤガを目指す。実はスカールも、戦うミロク教徒の出現に危機感を抱いてヤガ潜入を画策しており、それに際してヨナの力を借りる代わりに彼の護衛を申し出たのだった。一方、イシュトヴァーンは、カメロンの苦悩などおかまいなしに、勝手にパロへと出立してしまった。
東京で生活する美しいがごく普通の女性が名もなき人々を標的に狙撃を繰り返す「狙撃者がいる」、アメリカの食堂で働く少年を通し銃を射つ崇高さを描いた「心をこめてカボチャ畑にすわる」、体験主義の作家が夫の鍵から推理を重ねる「彼女のリアリズムが輝く」他、日常に突如表出する不条理な暴力と謎を鮮烈に捉えた全8篇を収録。スタイリッシュでクール、独創性に満ちた片岡ハードボイルドの傑作を精選。
アレックス・トレヴンは、シリコン・ヴァレーの法律事務所で共同経営者の椅子を狙う野心的な弁護士。ある日、画期的なセキュリティー・プログラムを開発した依頼人が殺され、アレックス自身も何者かに襲われる。からくも難を逃れるが、見えざる敵は次々と刺客を送りこんできた。はたして彼らの狙いは何か?プログラムにはいったいどんな秘密が隠されているのか?窮地に陥ったアレックスはたった一人の肉親である特殊部隊員の兄ベンに助けを求める。だが、アレックスとベンの間には過去のある悲劇的な出来事によって、けっして埋められない深い溝が存在していた…。生き方も性格もまったく異なる二人の兄弟が、過去の相克を乗り越えて襲いくる敵に立ち向かう、アドレナリン全開のハードサスペンス。