出版社 : 早川書房
植民地帰りの元警官ルークは、列車内でたまたま同席した老婦人から奇妙な話を聞いた。彼女の住む村で密かに殺人が行なわれている、彼女はその犯人を突き止めたので警視庁に訴えに行くという。くだらぬ妄想だと聞き流したルークだったが、翌日の朝刊をみて愕然とした。その老婦人が車に轢き殺されたというのだ…。
牧師の息子ボビイは、ゴルフの最中に崖下に転落した瀕死の男を発見した。男はわずかに意識を取り戻すと、ボビイに一言だけ告げて、息を引き取った。「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」-幼なじみのお転婆娘フランキーとともに謎の言葉の意味を追うボビイ。若い男女のユーモアあふれる縦横無尽の大活躍。
十歳の双子の姉妹が、母親を亡くして初めて迎える夏のこと。屋根裏部屋で、二人は帽子でない帽子“スペシャリストの帽子”を手に入れた…世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、既婚者としか関係を持たないルイーズと、チェリストとしか関係を持たないルイーズー二人のルイーズを描くネビュラ賞受賞の「ルイーズのゴースト」など、米ファンタジイ界最注目作家が軽妙なユーモアにのせて贈る第一短篇集。
もと新聞記者クィラランの親しい友人であるバンバ夫妻がブラック・クリークで宿屋を始めた。クィラランはココと共に陣中見舞に訪れるが、宿屋になっている建物が地元では幽霊屋敷として恐れられているという噂を耳にする。真相を暴こうとクィラランが調査に乗り出した直後、行方不明だった同宿の客が川で死んでいるのが発見され、宿泊客たちに容疑がかけられるが…混迷する事態にココの鋭い爪は真実を捕らえられるか。
セックス中毒の僕は、医大をドロップアウトし、植民地村ダンズボロでエキストラのバイトをしている。カウンセリングに通い、なんとかセックス中毒から抜け出そうと悪戦苦闘しているけど、知り合った売春婦や教師やナースたちの誘惑をやっぱり断りきれない。しかも不幸は重なるもので、母親がいかれてしまって毎月3000ドルの入院費を払わなきゃならなくなった。世の中うまくいかない。しかたなく、僕は毎晩レストランに出没し、「ある演技」をして金を稼ぐことを思いついたんだけど…アメリカ文学界のホープが描く、型破りで切ない、愛と友情とセックスと親子の物語。
名探偵ポアロが出会った美女ニックは、古びた邸の所有者であった。彼女は「三度も命を狙われた」ことを告白するが、まさにその最中、ポアロの目の前で彼女の帽子が撃ち抜かれた!ポアロは真相を探るべく邸に赴くが、手がかりはまったくつかめない。不安が支配する中、邸でパーティが催されることになるが…。
日本企業が出資し、アフリカの密林を切り拓いてコーヒープラントを作ろうとしている現場で、現地の作業員が失踪するという事件が起こった。捜索を続けるにつれ、事件は奇怪な様相を呈しはじめる。一方東京では、ある男が原因不明の皮膚感覚の亢進に見舞われていた。手が触れる道具、肌に当たる風、すべてのものがこれまでにない感覚を伝えてくる。そして一見無関係に見える両者には、実は奇妙な共通点があった!?日本推理作家協会賞受賞の鬼才が、満を持して放つ異常感覚SF。
人生に倦み、最高の刺激を求めていたジョン・ニューハウスは、塵に覆われた異星の海に棲む“塵クジラ”から採取される麻薬“フレア”を探す旅に出た。コックとして乗りこんだ塵クジラ漁船で、翼を持ち、優雅に空を翔ける異星人女性ダルーサと出会ったジョン。漁船で厳しい生活をともにするうちに、激しく惹かれ合っていくふたりだったが…。若き日のスターリングが華麗に描き上げた、ロマンティックな冒険ファンタジイ。
麻薬組織の追跡を振りきり、とある恒星系に逃げこんだミリガン運送のロイドとマージ、そして新任航法士の少女メイ。愛機の故障による窮地から3人を救ったのは、ガス惑星フェイダーリンクのリング上で暮らすコロニーの人々だった。しかし、星系政府が推進するフェイダーリンクの太陽化計画によって、彼らの居住地は消滅の危機を迎えていた。恩義に報いるため、ロイドらは一計を案ずるのだが…傑作ハードSF活劇第2弾。
マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。『カリブ海の秘密』の続篇。
頭部を撃ち抜かれ息絶えた、愛する妻ステファニーの無惨な姿。それが現場に急行したバース署殺人捜査班ピーター・ダイヤモンド警視が直面したものだった。一体なぜ、彼女が殺されなければならないのか?長年連れ添ってきた妻を襲った、あまりに突然の悲劇に絶句し、立ちすくむダイヤモンド。同僚たちはただ遠巻きに見守ることしかできなかった。やがて葬儀も終わり、犯人逮捕に全力を尽くす決意をしたダイヤモンドだったが、被害者の夫が正式な捜査に参加を許されるはずもなく、たった一人で調査を開始する。だがそんな時、ダイヤモンドは、警察の捜査を統括するマガーヴィ主任警部に呼び出され、取調室へと連行される。彼に妻殺しの嫌疑がかけられているのだ。アリバイを追及されたダイヤモンドは激昂し、席を立つ。だが、殺害に使われた可能性のあるスミス&ウェッスンが自宅の庭から発見され、彼の立場は急速に悪化していく…。報復のための罠か?陰謀なのか?哀しみに震えるピーター・ダイヤモンド警視は一人の男として、最悪の事件に立ち向かう。衝撃のシリーズ第7弾。
境遇を越えて友情を育んできた、ショーン、ジミー、デイヴ。だが、十一歳のある日、デイヴが警官らしき男たちにさらわれた時、少年時代は終わりをつげた。四日後、デイヴは戻ってきたが、何をされたのかは誰の目にも明らかだった。それから二十五年後、ジミーの十九歳の娘が惨殺された。事件を担当するのは刑事となったショーン。そして捜査線上にはデイヴの名が…少年時代を懐かしむすべての大人たちに捧げる感動のミステリ。
転地療養のため西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかに過ぎていった。しかし、まもなく彼女を相手に懐古談をしていた少佐が死体となって発見される。以前から少佐は何かを憂いていたようなのだが、いったい何が起こったというのか?美しい風景を舞台に老嬢ミス・マープルが事件の謎に挑む。
ボストン沖のシャッター島に、アッシュクリフ病院という、精神を病んだ犯罪者のための病院があった。1954年、そこで一人の女性患者が行方不明になり、捜査のために連邦保安官のテディ・ダニエルズと、相棒のチャック・オールが派遣された。行方不明になった女性患者は、鍵のかかった病室から抜け出し、誰にも見られずに姿を消したのだという。そして、病室には「4の法則」という謎のメッセージが残されていた。実はテディには、島へ来る別の重要な目的があった。彼のアパートメントに火をつけて妻のドロレスを殺した男がこの病院に収容されていることを知り、彼を捜し出そうと考えていたのだ。病院側のよそよそしい態度にあいながらも、嵐が接近する中、テディはチャックとともに捜査を進めるが、謎のメッセージがさらに発見され、次々と不可思議な出来事が起きる。そして、ついに想像を絶する真相が明らかに!ミステリ界の話題を独占した傑作『ミスティック・リバー』の著者が、大胆な仕掛けで新境地を切り拓く最新作。
パリへと侵攻してくるナチスから逃れるため、若く美しい人妻は二人の子供を連れ“大脱出”の列に加わった。だが、敵の銃弾は容赦なく民間人へも襲いかかる。周囲の人々が無惨にも殺害されていくなか、彼女と子供たちの命を救ったのは灰色の目をした不思議な少年だった。やがて迷いこんだ無人の一軒家で、女は少年とのはかない愛に目覚めてゆく…戦争に翻弄される女心のゆらぎを鮮やかに描きジョルジュ・シムノン文学賞に輝いた愛の物語。
ポアロの旧友スペンス警視は、マギンティ夫人を撲殺した容疑で間借人の男を逮捕した。服についた夫人の血という動かしがたい証拠で死刑も確定した。だが事件の顛末に納得のいかない警視はポアロに再調査を要請する。未発見の凶器と手がかりを求め、現場に急行するポアロ。だが、死刑執行の時は刻々と迫っていた。
田舎屋敷で催し物として犯人探しゲームが行なわれることになった。ポアロの良き友で作家のオリヴァがその筋書きを考えたのだが、まもなくゲームの死体役の少女が本当に絞殺されてしまう。さらに主催者の夫人が忽然と姿を消し、事態は混迷してしまうが…名探偵ポアロが卑劣な殺人遊戯を止めるために立ち上がる。