小説むすび | 出版社 : 早川書房

出版社 : 早川書房

睡蓮が散るとき睡蓮が散るとき

中高一貫の私立校で英語を教える女性、和田留奈。単調な生活に退屈し、孤独を感じていた彼女は、16歳の教え子、池田純と関係を持っていた。そんな彼女のもとにある日、差出人不明の封書が届く。中から出てきたのは、「殺してやる」と書かれた手紙と、純といっしょにラブホテルから出てくるところを写した一枚の写真。スキャンダルになることを恐れた留奈は、上海の友人のもとに逃れるため、姉のパスポートを盗み、姉になりすまして神戸からフェリーに乗った。同じ頃、イギリスで小さな画材店を営むラルフは、理想の女性を探すため東京に来ていた。彼は東洋の女性はやさしく従順だと考えていて、タイの女性と結婚したが、破局を迎えていた。結局、東京でも理想の相手は見つからず、彼はインターネットで知り合った中国の女性に会うため、フェリーに乗った。運命の糸に導かれるように、同じフェリーに乗った留奈とラルフ。やがて二人が出逢ったとき、恐ろしい結末に向けて、歯車が静かにまわりはじめた…。英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作『アースクエイク・バード』に続き、気鋭の作家が放つ極上の心理サスペンス。

コ-ルド・ロ-ドコ-ルド・ロ-ド

一月の寒い夜、サンディエゴ市の実力者ピート・ブラガが撲殺された。敏腕のトム・マクマイケル部長刑事が捜査の担当になるが、これは彼にとって皮肉なめぐり合わせだった。ブラガ家とマクマイケル家の間には三世代におよぶ確執があったのだ。1952年、トムの祖父が仕事上の争いがもとでピートに射殺された。それは正当防衛として認められたが、翌年ピートの長男が何者かに襲われる事件が起きた。それ以来、彼の知能は10歳のままになっている。犯人はいまだに確定していないが、それはトムの父親のしわざだと思われている。そしてトムも、ピートの孫娘のパトリシアと10代のころ恋に落ちたが、両家の確執に阻まれて、その恋は終わりを告げていた。トムは、ピートの身のまわりの世話をしていた看護婦のサリー、新空港の建設や港の土地をめぐってピートと対立していた人々、遺産相続に絡む遺族たちなどを調べていく。だが、彼は容疑者のサリーと愛し合うようになり、思わぬ危機を招いてしまうことに…。『サイレント・ジョー』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した著者が、奥深い謎と感動の人間ドラマを描く最新傑作。

獲物のQ獲物のQ

かつてはキンジーを威嚇恫喝し、大いに恐れさせていた昔なじみのドーラン警部補も、寄る年波からか健康を害し、今は捜査の第一線から身を引いている。そんな彼が突然訪ねてきた。聞けば、かつての先輩である元刑事のステーシーが癌に冒され、余命いくばくもない。ステーシーの、そしてドーラン自身の心残りになっている事件の解決に手を貸してくれないかと言うのだ。事件は18年前、偶然にも彼ら二人が第一発見者となった他殺死体遺棄事件。郊外の石切場付近に打ち捨てられ腐乱していた、少女のものと思われた死体で、全身に多数の刺し傷が認められた。だが、多くの遺留品にもかかわらず、ついに死体の身元は判明せず、ジェーン・ドウと名付けられたまま、警察の記録書類のなかに埋もれていたのだ。退屈な日常の調査業務にうんざりしていたキンジーは、依頼を引き受ける。だが、二人の老刑事とともに遺体の発見現場に向かったキンジーは、そこで思わぬ事態に直面する…。1969年8月、サンタ・バーバラ郡で発見され、以来今日に至るまで身元不明のままという、現実のジェーン・ドウ事件にインスパイアされて執筆し、全米で大きな反響を呼んだシリーズ最新作。

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