出版社 : 春陽堂書店
青梅街道田無村外れの疎林の中で、着流しの浪人者と若侍とが必死の刃を交えていた。若侍三波雪之介には浪人山根大四郎は父の仇であったが、その剣では敵すべくもなかった。丸岡藩普請奉行の三波兵衛を斬ってしまった義父の勘定奉行堀三左衛門の身代わりとなり、罪をかぶって藩を捨てた大四郎だったが、その陰には三左衛門の企みが…。江戸へ向かう山根大四郎の孤影に小唄の師匠お柳が道連れになった。そのお柳には跡を追う怪しの一団が、追われる身の大四郎は、さらに高遠藩3万3千石をめぐる世継ぎ争いの渦中にまき込まれていった。流浪の剣鬼秋山要介、本所深川の“すね者”勝太郎(勝海舟の父)、“おしかけ子分”怪盗ねずみの小次郎らの支援を得て、山根大四郎とお柳の運命は。
正徳(1711)のころー、江戸に“両国の三奇人”といわれる奇妙な男たちがいた。それは回向院前の魚屋太吉に薬研堀の聴雨堂なる老人、3人目の男が聴雨堂近くの裏店に“よろず指南所”の看板を下げる多賀甚三郎なる25、6歳の男で、この男なにか特異な感覚があるらしく、八丁堀が手を焼く難事件を快刀乱麻を断つごとく解決してしまう。聴雨堂平右衛門の娘お蝶が泉岳寺に参ったとき、内匠頭の墓所にぬかずく頭巾の武士は、大石内蔵助と名のった。そして、白黒だんだら染めの印羽織をまとった大高源五の死体が出現したが、それは何者かに殺された魚屋太吉であった。さらに矢頭右衛門七の死体が。-江戸の街にふたたび出没する赤穂浪士47士の謎に敢然と挑戦する多賀甚三郎。
大奥女中を絹夜具の上で姦している前髪立ての若衆…すさまじい筆勢で描かれた秘戯画を深川いろは橋のたもとで密かに売っていたやくざ男の後を追っていた岡っ引きの万蔵が、やくざ男と浪人の一団に無惨に殺害された現場に出現した白羽二重の孤影は破月樹太郎。徳川12代将軍家慶の愛妾お以登ノ方の養父押田伊勢守石翁の向島下屋敷を訪れたのは、心形刀流の使い手雑賀隼人であった。権力者石翁とその腹心雑賀がたくらむ陰謀とは?破月樹太郎と名乗った若侍こそ、北町奉行白木左京将監を父とする白木峻太郎であった。人呼んで“きまぐれ峻太郎”ともいわれる颯爽たる若殿が秘戯画にまつわる江戸の怪事件に挑戦!狩野派絵師と京風土佐派絵師との争いの行方は?-興趣満点の時代長編快作。
ルポライターの村瀬浩一が六本木のラブ・ホテルで殺害された。隣室にいた親友のTVディレクター伊沢亮は、けたたましくドアを開けて飛び出した全裸の女と剃髪頭の男を目撃した。村瀬はなぜ殺されたのか…?伊沢はその謎の犯人を追う。だが、何者かに襲われ、気がついたときには彼の横に女の絞殺死体が横たわっていた。村瀬殺害の犯人を追いながら、自らも殺人犯として追われる身となってはもはや警察の助けは求められない。伊沢は、ついに恐るべき事実に突き当たった。暴力団幹部二人を自由に操る組長情婦とその裏で糸を引く利権屋、そして、その陰には悪徳代議士が…。-金と女に狂奔する残忍なサディストたち、単身挑戦する伊沢の前に意外な結末が。
出羽三山といえば羽黒山・月山・湯殿山を指すが、その昔は山伏修行の聖地の一角を葉山が占め、長恵院では奪れた葉山修験道の復興を悲願としていた…(出羽即身仏伝奇)。会津の数ある名産品のひとつに「絵蝋燭」がある。蝋の生産は、藩の貴重な収入源として専売制の下に急伸したものだが、絵蝋燭の開発のうらに…(「会津絵蝋燭奇談」)。-その他、浮世絵師歌麿の「幻の名作」異聞、日本酒造りの「杜氏」秘史、そして木曽の「娘宿」哀話という5話構成になる本編は、著者の曽祖父の弟にあたる竹邑亭雀子と号する文人趣味の人物が遺した草稿を現代文に書き直し、いささかの潤色を施して再話したものというが、1話1話が丁寧な細工物を見るような感興をそそる情趣深い佳編である。
伊予松前5千7百石の城主加藤嘉明は、慶長5年9月15日、いわゆる天下分け目の合戦“関が原の役”で徳川家康に味方し、一躍20万石の大名にのし上がって新城を構築せんと画策し、勝山の地に三層の天守閣をもつ城下町を建設することになった。普請奉行足立右衛門重信は、主君の意を受け、この地の土質や降雨量、さらには樹木の種類に至るまで調べるという充分な考究を重ねて築城に当たっていたが、小天守の石積みで意見の食い違いをきたしていた。亡き母に代わって父の世話に務めるひとり娘の千波は、そんな父の疲労を肌に感じ取っていた。とある日、せっかくの土塁を何者かに爆破されるという事件が出来した!-“金亀城”構築をめぐっての普請奉行父娘の剣と恋の物語。
六郷の渡しの河原で、女にも見まがう若衆が屈強の浪人輩に取り囲まれていた。危ういところを救ってくれたのは、空腹に困ってその場に寝転んでいた若侍倉間勝太郎であった。助けられた若衆は川路鮎之介と名のったが、その正体は女と勝太郎は見抜いていた。事実、川路鮎之介こと鮎姫は遠州掛川5万石は太田備中守盛澄の孫娘であったが、江戸へ向かう道中で、家重代の秘宝“群れ千鳥の懐中鏡”を何者かのために奪われてしまった。それは、ばてれん忍者甲羅弾三郎の仕業であった。忍者を操る恐るべき黒幕とは…。婚儀にまつわるもめごとに反発する鮎姫を助けて、「お鮎ちゃん」、「鮎の字」とまるで長屋の小娘でも呼ぶような気安さで接する倉間勝太郎なる若侍の正体とははたして…。
遠州掛川からぶらりと江戸へ出てきた次男坊ざむらい砂子銀作は、浅草奥山の矢場で奇怪な浪人に連れ去られようとした美女、お雪を救ってやったことから…。幕府転覆の陰謀をたくらむ軍略家愛州若狭守を首魁にいただく怪盗団「迅風連」の跳梁!その逮捕を目指すは幕府御目付鳥居耀蔵に率いられる隠密組と北町奉行遠山金四郎の隠密党であった。お雪の手引きで、銀作は隠密組の配下に属して活躍することになった。小柄の名手銀作であったが、迅風連の怪浪人相手の死闘で危地に陥ったとき救ってくれた宗十郎頭巾の若侍は、“若狭守の討幕の陰謀は偽り”という不思議なことばを残して去った!-乾坤二帳の秘巻をひめた花嫁人形の謎とは!?銀作が突き止めた事件の真相は…。
世界10カ国の首脳が集まる大規模サミット警備の間〓@68D2をぬって異常な事件が頻発する。新宿高層ホテルでの外国人襲撃!二度、三度にわたる竜崎軍団襲撃!そして…。彼ら命知らずの殺人集団は、竜崎軍団の壊滅こそ、日本に麻薬密輸の橋頭堡を築く唯一の手段と信じているのだ。従って、どんなに無茶な攻撃でも平気で仕掛けてくるのだった。折しもアメリカから大統領諮問委員会(PSB)の腕利き美人捜査官リタ・グレイが来日。が、ついに竜崎・壇両警視の防弾車にロケット弾がぶち込まれた。小型甲装車なみの装備とはいえ、その威力の前にはひとたまりもない。辛うじて脱出した両警視の恐りの拳銃が火を吐く!-警察庁最強部隊“鬼の竜崎軍団”は総力をあげて対決に立ち上がった。
隅田川につり糸をたれていた二人は、平賀源内と桜兵之介であった。川岸へ視線を向けた源内と兵之介が見たものは、無頼の男どもに追われているひとりの娘であった。兵之介は娘を救ってやった。その可憐な娘は、烏山の浪士泉川作太郎の娘多喜であった。多喜は芝愛宕山寂光院門前の茶屋の主忠兵衛を訪ねたが、まもなく、上州館林六万一千石松平藩の重職菅沼右兵衛の命をうけた紋次の手で、いずことなもなく連れ去られた。菅沼右兵衛と老女蔦枝に無理に薬をのまされた多喜は、そのまま麻布清徳寺墓地に埋葬された。奇怪なことに墓に記された名は楓であった。楓というナゾの女の身代わりに葬られた多喜の運命とは?兵之介・源内の活躍は。興趣満点、角田喜久雄時代長編大作。
バラバラ事件発生ー!男の切断された片腕が、九州宮崎の西都原古墳公園の土中から発見された。血液型と指紋照合の結果、この腕は鎌倉の古美術商『悠雅堂』の主人伊良子為三のものと判明したが、鎌倉の人間の片腕がなぜ九州の地に…?生前、その指には、“男女交合図”の彫り込まれた奇怪な指輪がはめられていたという。悠雅堂の捜索をその息子から依頼されていた『週刊スクープ』の事件記者岬大助と美人と評判の易者ギャル桃花堂桃花の前に、古美術ブローカー、新興宗教の美人教祖など怪しげな人物が浮かび上がってきた。なにやら、悠雅堂が九州のどこかに隠されていることを突き止めた古代インド王朝の莫大な秘宝をめぐって…。シャンドラの秘宝は実在するのか?青春ミステリー。
悪党どもから裏金を奪い、その首領をひそかに屠る、-それが“闇狩り軍団”だ。ある夜、闇狩り軍団行動隊長の影丸慎也は2人の部下とともに、世間を騒がせ黒い巨富を蓄えた実業家の隠し金を強奪した。そこへ、強奪金を狙う謎の黒覆面集団が出現した。この一味はその後、財界の重鎮を誘拐し、五大都市で軽機関銃を無差別に乱射するという狂気の事件を惹起した。その凶器は、ソ連製と思われた。敵は特殊部隊か…?影丸たち“処刑戦士”は、60億の身代金をせしめた犯人グループに迫った。その途端に襲いかかる外人武装団、謎のクーデターと、一連の事件には複雑なからくりが…!-これは今日の劇画か、明日の現実か?大型新人が贈る衝撃の“超活劇”の決定版。
江戸は両国の料亭で、年に1度の刺青競艶会が開かれていた。手長猿の刺青を妖しげに白い裸身に彫った蓬莱橋のお源が1番に選ばれようとしたとき、花川戸のゆき路が現れた。ゆき路の刺青は白粉彫りの緋牡丹絵図であった。その見事さにゆき路が1番に選ばれ、賞金百両を獲得した。ゆき路の供の北八が百両を持っての帰り道、突如出現した怪浪人は恐るべき左腕殺法の剣鬼、“名なしの権兵衛”こと海江田前鬼であった。絶体絶命、危機一髪のゆき路と北八の2人を、危うく救ってくれた白羽二重に朱鞘の若侍は“気まぐれ俊太郎”と名のった。そして、下総香取1万石、菊の間詰めの内田伊勢守正容の屋敷に誘い込まれたゆき路の運命は…?
東南アジア歴訪の帰途、非公式訪日中のフラリア共和国大統領夫人が何者かに銃撃された。そして、日本を東西に二分する暴力組織ー尾藤組・北関総業、それに第三勢力の極西連合に所属する下部組織が次々に撃われる事件が頻発していた。折しも、アメリカはマンハッタンの盛場で白昼、マフィアのボスを刺殺した日本人らしき殺し屋を追ってきたPLB(大統領諮問委員会)の2人も、警察庁の玄関先で襲撃された。その裏には、ますますエスカレートする暴力組織の国際化という深刻な問題があった。そして、ついにはこれら暴力組織の跳梁に敢然として立ちはだかる警察庁特命部隊“鬼の竜崎軍団”その人、竜崎三四郎までが刺された!悪辣なる陰謀に軍団の怒りが爆発する。
天正10年(1582)6月、京都本能寺で、織田信長を倒した丹波国の領主明智光秀は、たちまち羽柴秀吉軍に敗れ、光秀は小栗栖村で落人狩りに襲われ落命した。光秀の重臣であった斎藤利三も捕えられ、京六条河原で処刑され、その首は晒首になった。利三の妻あんと4歳の娘ふくは、宗我部村の弥助とその甥の弥九郎に助けられ四国土佐へと逃れた。肥後24万石の大名に出世した小西行長の世話で13歳のふくは京の三条西実条の元へ預けられ、18歳に成長して稲葉正成の後添いの妻となった。ふくの波瀾に富む運命は好転し、二代将軍秀忠の嫡男竹千代の乳母に任命された。大奥髄一の権力者春日局の65年の生涯を描く話題の歴史時代長編作。
浅草寺境内で易を立てる評判の美人易者ギャル桃花堂桃花と『週刊スクープ』の事件記者岬大助の二人が湘南へドライブに出かけ、暴走族のバイクに囲まれ、乱闘となった。その暴走族はブラックスターと名乗り、占星術星命教教祖のお告げによって動いているという。暴走族と易者、彼らは一体どこでつながるのか?桃花の好奇心が頭をもたげた。事件から1週間ほど過ぎて、教祖の公文黒星が江ノ島の岸壁から海に突っ込んで死んだ。桃花と大助は黒星の妹と称する麗花の星命教2代目襲名披露パーティーに、信者を装ってまぎれ込んだ。2人がそこで目にしたものは…!?(運命星の女)-事件記者と女易者探偵のコンビが殺人事件の謎に挑む青春ミステリー連作全6話!
“善意”から生じた悲劇は、“悪意”から生じたそれよりも、よりいっそう恐ろしいものだ。天才探偵神津恭介は、ある日、美しい婦人の訪問を受けた。愁い顔の彼女が語るのは、2年前の恐ろしい殺人事件だった。犯人はすでに死刑の宣告を受け、刑の執行される日を無実を絶叫しながら待っている。神津は女の話から真犯人を推理した。しかし、何らの証拠もない。彼は婦人に、真犯人へ“決闘”を申し込ませるーという大時代奇想天外な策をさずけたのだった…!?(「私は殺される」)-表題作のほか、伝説の女魔術師松菊斎天章が住んだという屋敷で起こった怪奇殺人事件(「鏡の部屋」)など、戦後の不安定な世相を舞台にしてくりひろげられる鬼才神津恭介の、快刀乱麻を断つ名推理のかずかず!
世はあげて財テクブーム。警視庁捜査一課を5年前に定年退職した祖父の元警部矢車彦之進と2人暮らしのユカは、ちょっとおっちょこちょいだが明るく活発な京北女子大の英文科2年に席をおく美人女子大生だ。ユカのクラスでもいま財テクが大流行、なかでも、親友の庄子と奈緒は夢中。2人は庄子が帰省のおり知り合った証券会社の新入社員西野の紹介で買った株で大儲けし、すっかり味をしめてユカにまで財テクをうるさく押しつける。が、間もなく大暴落。なけなしの資金を無にした2人は西野を責め立てた。その庄子が何者かに殺され、解剖の結果、意外や庄子は妊娠2ヵ月、そしてまた殺人が追っかける。-財テクとセックス、清純なお嬢さん探偵ユカは完全な“迷路”にはまり込んだ。