出版社 : 春陽堂書店
宗教は札束なり、数百万の信徒、数千万の札束をめぐって教団同士の暴力団まがいの抗争が展開する。それに麻薬がからみ、本物の暴力団や似非右翼との癒着が生まれる。しかもその背後に、教団を最大の票田と頼む悪徳政治屋どもがひかえている。新興の教団が目をつけたのは、新たに日本の絶好の市場とねらい、進出をくわだてる台湾マフィアだ。-宗教という隠れミノをかぶって麻薬を持ち込む新興教団の正体を暴く竜崎精強軍団。
銀座の有名画廊『蒼林堂』社長宇津木義則から、妻知佳の素行調査の依頼が椿探偵事務所にあった。が、現在、所長の椿隆司は断酒道場に入っていて、アルバイトで留守を預かるのは小劇団『街頭劇場』の看板女優である姪の永瀬弥生と、これまた別の劇団で演出助手をしているという押しかけ助っ人自認の日高仁という若者の二人きりであった。さっそく二人ははりきって調査に乗り出したが、知佳は神奈川県下相模湖畔の雑木林の中から絞殺死体となって発見されたのだった。殺人事件となっては興信所の出る幕ではないが、事態はさらに意外な展開をみせて贋作事件へと…。-シアター女優が演出助手の演技指導で事件の謎を解く書下ろしソフト・ミステリー。
織田信長が天下を掌握した天正期、伊賀国の忍者の頭領として君臨していたのは藤林長門と百地丹波の2人であった。しかし、この長門と丹波が実は同一という秘密を探り出した人物があった。その男こそ出羽月山の修験者霧法師の倅、旅の忍者霧隠才蔵であった。その才蔵の背後に、百地忍党中で5本の指に数えられる手錬者、伊賀下忍石川文吾(後の五右衛門)の恐るべき殺刀が迫っていた。呼吸をのむ驚天動地の忍者合戦!そして、その隠し砦と、それを取り巻く迷路の秘密を才蔵に奪われた伊賀忍者の報復は、才蔵の新妻淡雪を奪い去ることであった。淡雪のうえに迫る怪しの忍法“夢殿しばり”、-猿飛佐助も登場。大坂城落城に至るまでくりひろげられる壮烈なる戦国忍法絵巻。
京の柳馬場の町医者猶崎将作宅を、ふいっと訪ねてきた風采のあやしげな若者があった。それは江戸での“黒船騒ぎ”を目撃して帰郷の途上にあった土佐の郷士坂本竜馬だった。この幕末の風雲児と、その妻となる将作の長女お竜との奇しき初対面のときであった。梅田雲浜を初めとする京の勤王家が一斉検挙され、将作とその仲間も囚われの身となり、しかも将作は遺体となっての帰宅だった。非運に陥った一家を支えてお竜は奉公に出た。そんなお竜に目をかける船宿『寺田屋』の女将お登勢との間に、いつしか竜馬をはさんでの女の葛藤が…。薩長を結んだ竜馬とお竜を媒酎したのは西郷隆盛だった。-“青春坂本竜馬”姉妹編。
すげえやつが帰ってきた。6年前に神奈川県警からパリの国際事機構に派遣され、そのままNY市警本部特別検察官に任命されていた伴大六警視が、日本に帰ってきたのだ。東京には警察庁の竜崎三四郎・壇竜四郎が、そして横浜には伴大六がにらみをきかすのだ。その伴大六が、帰国早々に県警本部の刑事部屋で外国人殺し屋集団に襲われた。何者?アメリカの大統領諮問委員会(PSB)のリタ・グレイからの通報によれば、その諸計画のことごとくをつぶされたマフィアの大ボスが、面子にかけて伴の生命をねらい、つぎつぎと屈強な殺し屋を日本に派遣しているというのだ。PSB日本支部も危うい緊急事態へ…。-熱血三四郎、快男児竜四郎、痛快大六の豪快極まる三者そろい踏みの快作戦だ。
出世を夢見て二本松城下から江戸入りした二人の若侍国枝喬太郎と高力信吾が、浅草奥山の見世物やれつけ小屋で、示源流動場主阿弥亀九郎、師範代進藤典膳らの一行に難くせをつけられた危ういところを、南蛮秘薬のねむり粉を撒いて助けてくれたのは、小唄師匠のお艶とその手先の仙太郎であった。日本橋の丸見屋伝兵衛から借りた二十両の返済を迫られ困っているお艶を救うべく、喬太郎は仙太郎とともに賭場に出かけたが博奕に負けてしまった。喬太郎はそこで浪人小山田陣十郎と出会った。徳川を倒す陰謀をめぐらす怪人物が乗っている回天丸に陣十郎に案内されていった喬太郎の運命は。一方、信吾は長屋でおきよと過ごしていたが、阿弥道場の面々に可憐なおきよを暴力をもって奪い去られていた。
故郷の土佐を出立して江戸は京橋桶町の北辰一刀流千葉貞吉道場へ入門した坂本竜馬は、いまだ19歳の夢多き青年であった。“魔羅”もでかけりゃ“夢魂”もでかい。野放図な竜馬のその人並みはずれた言動は、“ほら吹き竜馬”の異名のとおり、ことごとく道場仲間のど肝を抜く。だが、図らずも時代はこんな男の出現を必要としていた。相州捕賀の沖に異国の“黒船”がやって来たのだ!騒然たる風雲の中を、若き竜馬はゆくー。竜馬の青春を彩る女性は、千葉道場の美しい娘さな子、札差屋の女まさりお富士、そして郷里の幼なじみの妹の加尾、さらには新橋の美妓小蝶と多情多彩。-竜が天駆ける夢の中から生まれ出て、維新回天の原動力となる“天下の傑物”、でかい男の痛快青春物語。
ここはいずこの国であろうか、唐か天竺か。風吹き荒れる嵐の山頂に出現した白髪白髯の老仙人の手から、一振りの長剣が暗黒の空へと投げ上げられた。と、不思議なことに、その長剣は十振りの剣に分かれ、東西南北の各方面へと飛翔していったのであった。それぞれが持つ帯刀の中心に飛竜丸と銘の入った名刀の魔力に操られて運命の出会いを果たす戦国の若者たちー猿飛佐助・霧隠才蔵・由利鎌之助・穴山小助ら十人の武芸者たちがそろって信州上田城の知将真田幸村配下に集結してきた。これぞ魔剣飛竜丸の奇しき因縁によるものであった。-真田十勇士誕生を新解釈で描く会心作(「魔剣飛竜丸」)、黒田騒動を背景に、下級侍十郎太とその愛犬の運命は?(「いぬ侍」)他、全7編収録。
正徳(1711)のころー、江戸に“両国の三奇人”といわれる奇妙な男たちがいた。それは回向院前の魚屋太吉に薬研堀の聴雨堂なる老人、3人目の男が聴雨堂近くの裏店に“よろず指南所”の看板を下げる多賀甚三郎なる25、6歳の男で、この男なにか特異な感覚があるらしく、八丁堀が手を焼く難事件を快刀乱麻を断つごとく解決してしまう。聴雨堂平右衛門の娘お蝶が泉岳寺に参ったとき、内匠頭の墓所にぬかずく頭巾の武士は、大石内蔵助と名のった。そして、白黒だんだら染めの印羽織をまとった大高源五の死体が出現したが、それは何者かに殺された魚屋太吉であった。さらに矢頭右衛門七の死体が。-江戸の街にふたたび出没する赤穂浪士47士の謎に敢然と挑戦する多賀甚三郎。
ルポライターの村瀬浩一が六本木のラブ・ホテルで殺害された。隣室にいた親友のTVディレクター伊沢亮は、けたたましくドアを開けて飛び出した全裸の女と剃髪頭の男を目撃した。村瀬はなぜ殺されたのか…?伊沢はその謎の犯人を追う。だが、何者かに襲われ、気がついたときには彼の横に女の絞殺死体が横たわっていた。村瀬殺害の犯人を追いながら、自らも殺人犯として追われる身となってはもはや警察の助けは求められない。伊沢は、ついに恐るべき事実に突き当たった。暴力団幹部二人を自由に操る組長情婦とその裏で糸を引く利権屋、そして、その陰には悪徳代議士が…。-金と女に狂奔する残忍なサディストたち、単身挑戦する伊沢の前に意外な結末が。
伊予松前5千7百石の城主加藤嘉明は、慶長5年9月15日、いわゆる天下分け目の合戦“関が原の役”で徳川家康に味方し、一躍20万石の大名にのし上がって新城を構築せんと画策し、勝山の地に三層の天守閣をもつ城下町を建設することになった。普請奉行足立右衛門重信は、主君の意を受け、この地の土質や降雨量、さらには樹木の種類に至るまで調べるという充分な考究を重ねて築城に当たっていたが、小天守の石積みで意見の食い違いをきたしていた。亡き母に代わって父の世話に務めるひとり娘の千波は、そんな父の疲労を肌に感じ取っていた。とある日、せっかくの土塁を何者かに爆破されるという事件が出来した!-“金亀城”構築をめぐっての普請奉行父娘の剣と恋の物語。
世界10カ国の首脳が集まる大規模サミット警備の間〓@68D2をぬって異常な事件が頻発する。新宿高層ホテルでの外国人襲撃!二度、三度にわたる竜崎軍団襲撃!そして…。彼ら命知らずの殺人集団は、竜崎軍団の壊滅こそ、日本に麻薬密輸の橋頭堡を築く唯一の手段と信じているのだ。従って、どんなに無茶な攻撃でも平気で仕掛けてくるのだった。折しもアメリカから大統領諮問委員会(PSB)の腕利き美人捜査官リタ・グレイが来日。が、ついに竜崎・壇両警視の防弾車にロケット弾がぶち込まれた。小型甲装車なみの装備とはいえ、その威力の前にはひとたまりもない。辛うじて脱出した両警視の恐りの拳銃が火を吐く!-警察庁最強部隊“鬼の竜崎軍団”は総力をあげて対決に立ち上がった。
隅田川につり糸をたれていた二人は、平賀源内と桜兵之介であった。川岸へ視線を向けた源内と兵之介が見たものは、無頼の男どもに追われているひとりの娘であった。兵之介は娘を救ってやった。その可憐な娘は、烏山の浪士泉川作太郎の娘多喜であった。多喜は芝愛宕山寂光院門前の茶屋の主忠兵衛を訪ねたが、まもなく、上州館林六万一千石松平藩の重職菅沼右兵衛の命をうけた紋次の手で、いずことなもなく連れ去られた。菅沼右兵衛と老女蔦枝に無理に薬をのまされた多喜は、そのまま麻布清徳寺墓地に埋葬された。奇怪なことに墓に記された名は楓であった。楓というナゾの女の身代わりに葬られた多喜の運命とは?兵之介・源内の活躍は。興趣満点、角田喜久雄時代長編大作。
バラバラ事件発生ー!男の切断された片腕が、九州宮崎の西都原古墳公園の土中から発見された。血液型と指紋照合の結果、この腕は鎌倉の古美術商『悠雅堂』の主人伊良子為三のものと判明したが、鎌倉の人間の片腕がなぜ九州の地に…?生前、その指には、“男女交合図”の彫り込まれた奇怪な指輪がはめられていたという。悠雅堂の捜索をその息子から依頼されていた『週刊スクープ』の事件記者岬大助と美人と評判の易者ギャル桃花堂桃花の前に、古美術ブローカー、新興宗教の美人教祖など怪しげな人物が浮かび上がってきた。なにやら、悠雅堂が九州のどこかに隠されていることを突き止めた古代インド王朝の莫大な秘宝をめぐって…。シャンドラの秘宝は実在するのか?青春ミステリー。
悪党どもから裏金を奪い、その首領をひそかに屠る、-それが“闇狩り軍団”だ。ある夜、闇狩り軍団行動隊長の影丸慎也は2人の部下とともに、世間を騒がせ黒い巨富を蓄えた実業家の隠し金を強奪した。そこへ、強奪金を狙う謎の黒覆面集団が出現した。この一味はその後、財界の重鎮を誘拐し、五大都市で軽機関銃を無差別に乱射するという狂気の事件を惹起した。その凶器は、ソ連製と思われた。敵は特殊部隊か…?影丸たち“処刑戦士”は、60億の身代金をせしめた犯人グループに迫った。その途端に襲いかかる外人武装団、謎のクーデターと、一連の事件には複雑なからくりが…!-これは今日の劇画か、明日の現実か?大型新人が贈る衝撃の“超活劇”の決定版。
東南アジア歴訪の帰途、非公式訪日中のフラリア共和国大統領夫人が何者かに銃撃された。そして、日本を東西に二分する暴力組織ー尾藤組・北関総業、それに第三勢力の極西連合に所属する下部組織が次々に撃われる事件が頻発していた。折しも、アメリカはマンハッタンの盛場で白昼、マフィアのボスを刺殺した日本人らしき殺し屋を追ってきたPLB(大統領諮問委員会)の2人も、警察庁の玄関先で襲撃された。その裏には、ますますエスカレートする暴力組織の国際化という深刻な問題があった。そして、ついにはこれら暴力組織の跳梁に敢然として立ちはだかる警察庁特命部隊“鬼の竜崎軍団”その人、竜崎三四郎までが刺された!悪辣なる陰謀に軍団の怒りが爆発する。
天正10年(1582)6月、京都本能寺で、織田信長を倒した丹波国の領主明智光秀は、たちまち羽柴秀吉軍に敗れ、光秀は小栗栖村で落人狩りに襲われ落命した。光秀の重臣であった斎藤利三も捕えられ、京六条河原で処刑され、その首は晒首になった。利三の妻あんと4歳の娘ふくは、宗我部村の弥助とその甥の弥九郎に助けられ四国土佐へと逃れた。肥後24万石の大名に出世した小西行長の世話で13歳のふくは京の三条西実条の元へ預けられ、18歳に成長して稲葉正成の後添いの妻となった。ふくの波瀾に富む運命は好転し、二代将軍秀忠の嫡男竹千代の乳母に任命された。大奥髄一の権力者春日局の65年の生涯を描く話題の歴史時代長編作。
浅草寺境内で易を立てる評判の美人易者ギャル桃花堂桃花と『週刊スクープ』の事件記者岬大助の二人が湘南へドライブに出かけ、暴走族のバイクに囲まれ、乱闘となった。その暴走族はブラックスターと名乗り、占星術星命教教祖のお告げによって動いているという。暴走族と易者、彼らは一体どこでつながるのか?桃花の好奇心が頭をもたげた。事件から1週間ほど過ぎて、教祖の公文黒星が江ノ島の岸壁から海に突っ込んで死んだ。桃花と大助は黒星の妹と称する麗花の星命教2代目襲名披露パーティーに、信者を装ってまぎれ込んだ。2人がそこで目にしたものは…!?(運命星の女)-事件記者と女易者探偵のコンビが殺人事件の謎に挑む青春ミステリー連作全6話!