出版社 : 春陽堂書店
コロンビアの麻薬王ラモスと、東南アジア黄金の三角地帯の支配者クン・タンの両者が、メキシコの密売王ベルツの仲介で手を握り、世界制覇を企画した野望が、亮崎軍団によって長崎沖の一大銃撃戦の末に粉砕されて1年足らず、またしても不穏な動きが最大の経済大国日本の市場独占をねらって、血で血を洗う抗争が展開されることとなった。謎の華僑美人、香港の怪紳士、そして両派の精鋭殺し屋軍団が続々と日本へ上陸してくる。彼らを追って、PSB(大統領諮問委)の金髪美女リタ・グレイのひそかな来日、おりしも5年ぶりにアメリカ出向から岩弾健警部が帰国することになった。-熱血警視三四郎、快男児竜四郎ほか、おなじみのメンバー総登場の大暴れ、第21弾。
文久三年騒然たる幕末の風雲に包まれた江戸に出現した怪しの結社卍組、神田お玉ガ池の広大な屋敷に住む卍組の党首は汐見田一笑、副頭領はその息隼人であった。水戸浪士で世に名高き兵学者市瀬右有斎の美しい娘お妙は、岡っ引き蜘蛛の長六にひきたてられ、卍組のもとに拉致された。隼人や一味の赤痣の男法川左近次の魔手がお妙のうえに迫ったとき、金泥をもって「八咫烏」と書かれた黒羽根の矢が飛来した。八咫烏の正体とは。そして、兵学者右有斎の秘書「築地図録」のうち欠損の一枚を入手せんと狂奔する卍組の一党のまえに立ちふさがる正義の若侍は、京より江戸へ下ってきた長門小次郎であった。舞台は日光へ!スケールも大きく展開する伝奇長編時代小説の雄編。
天保七年のころ、大江戸の闇の中で暗躍する隠れ切支丹の一味があった。黒神さまと呼ばれる首領の下に黒衣の忍者刺客団が江戸の町を恐怖のどん底に陥れていた。大伝馬町の太物問屋「桔梗屋」の娘お新を初めとしてつぎつぎに大家の娘たちが黒神さまの手によって掠われていた。六人目に狙われたのが水野家の八重であった。江戸へ戻った女賊女狐のお蝶は、黒神さまの秘密を探るため八重の身代わりに立った。お蝶の父親、目明かしの佐平次が黒神さまに殺されたことを知ったお蝶は、仇討ちのため敢然とこの危難に立ち向かった。島原の乱で滅亡した天草四郎の末孫という黒神さま一党の倒幕の隠謀を阻止するため、西郡伊太郎とその剣友の鬼同心茨三十郎とが立ち上がった。
奥州八戸よりの旅を急いで江戸は飛鳥天王社の境内にさしかかったのは、妻お霜と愛児のおみやを同道した吾妻一平であった。北町奉行となった遠山左衛門尉景元の密命を受けた一兵が、八戸に闇太郎様にまつわる奇怪な謎を探っての帰途であった。江戸に近づいた一兵は、ふと目にした「闇太郎様」と書かれた紙切れに誘導されて踏み込んだ荒れ寺で、墓場のような地獄の闇を思わせる深い穴の中へと落とし込まれてしまった。日本に亡命したイエス・キリストは八戸太郎と改名、その子孫は生きつづけているという。それが妖しの闇太郎様か、黒頭巾に面を包んだ遠山景元は秘かに常磐津文字千賀を訪ね、元大目付松本左膳の屋敷への潜入を命じた。遠山金さん奉行の活躍は、伝奇傑作長編。
連戦即決で解決したはずの人質篭城銀行強盗事件の陰に、意外にも大手不動産会社と与党大物政治家を長とする土地問題等委員会に一大疑獄が隠されていた。特捜の若手検事たちが再三、正体不明の殺し屋に襲われる事態に、ガードについたのがご存じ竜崎軍団だった。一方、パリの国際刑事機構から、警察庁外事課へ麻薬取締まり強化の指令が飛んできた。いまや全世界を恐怖に陥れている新麻薬クラックをめぐっての国際的陰謀が、この日本国のどこかで実現しようとしている。銀行強盗事件・特捜検事襲撃など、一見無関係に見える二つの線がつながってきた。-悪の世界三大組織を敵に回して奮闘するはおなじみの美女リタ・グレイと竜崎軍団、そして伴、アップテンポに展開する激賛、戦慄の第20弾。
錦絵『江戸七美人』に描かれた十八歳のお喜美は、御用聞き並木の仙蔵の愛娘であった。お喜美の住まいの裏隣に、若い浪人佐川重四郎がいた。重四郎とお喜美の二人がまき込まれた大江戸の夜を恐怖に陥れた怪事件とは、娘ばかりをねらう全身真っ赤な幽霊であった!並木河岸の材木問屋、桝屋五郎右衛門の娘お銀が次にねらわれていた。その身代わりに立った気丈なお喜美は、赤いお化けの一味にいずこへか拉致されていった。大身旗本笠松十郎兵衛の屋敷には、八重・雪太郎という美しい姉弟があった。笠松家をめぐる陰謀の元凶長山典膳に一味へ誘われた重四郎は?野州足利一万一千石、戸田家の次男駒之丞とうり二つの重四郎の正体は?-赤屋敷の恐怖は謎をはらんで展開する。
『ラブユー化粧品』のビューティー・インストラクターのバイトをしている野崎美保から、「彼から脅かされてるの、すぐ来てちょうだい」との電話をもらってそのアパートを訪ねた女子大生仲間の矢車ユカは、はからずも殺人事件の死体第一発見者となってしまった。ユカの110番で駆けつけたのは所轄の捜査員と本庁の村瀬刑事だった。彼は5年前に警視庁を退職したユカの祖父である彦之進の元部下で、これで3度目の出会いであった。奔放な美保の性生活の故か?友人晴子と犯人捜しにのり出したユカだったが、晴子の下に奇妙な脅迫電話が。さらに、正体不明の“ホクロ男”の出現。そして、晴子までが。-女子大生仲間にとりついた殺意に挑むお嬢さん探偵ユカの迷推理はいかに…。
「葉隠」とはー“武士道というは死ぬことと見つけたり…”の言葉に代表されるごとく、尚武の思想を説いた哲学的武士道書『葉書聞書』のことである。肥前鍋島藩の穏士山本常朝の口述を同藩の士田陳基が聞き書きし、十一巻の書物にまとめて享保元年(1716)に完成した。別名「葉隠論語」とも「鍋島論語」とも呼ばれた。著者はその戦国以来の武士の死生の覚悟を説示した『葉隠聞書』二千余頃目の中から、特に8頃目を選び抜いて、そこに自らの人生体験などを折り込みつつ、すさまじい武士の日常・生死を語り、会心の士道小説とした。-武士道そのもの、そのもののために生きる士を描く“葉穏士魂”凄絶の物語全八話!
下野国佐野ノ庄を知行地とする新御番五百石の佐野善左衛門政言とその弟の小源太義久の上に、権力者老中田沼主殿守意次と若年寄田沼山城守意知父子の横暴な手が下された。佐野家の系図と七曜の家紋の旗印はとりあげられ、鎮守様の大幟佐野大明神の文字も田沼大明神と書き替えられてしまった。佐野ノ庄をねらう田沼父子の陰謀とは。堪忍袋の緒を切った善左衛門は、江戸城中でついに山城守意知に斬ってかかった。その結果、善左衛門は切腹を命じられたが、“世直し大明神”として世にもてはやされた。一方、能勢家に迎えられた弟の義久は能勢小源太とその名を変え、営中巡察役・大御番組頭として堂々と不倶戴天の敵である主殿頭と対立していった。はたしてその結果は…。
時は八代将軍徳川吉宗のころ、尾張六十一万石の殿様宗春の周辺には奇怪な影があった。牛込水道町の酒問屋「兵庫屋」を襲った怪盗五人組は、必死に追う捕方の目をくらまして、屋張家市ガ谷御殿の辺りでその姿をかき消した。つぎつぎに豪商が五人組に襲われたが、米問屋の奸商田島屋伝兵衛方の地下金蔵から五人組が奪った四千両は偽金であった。吉原に遊ぶ尾張宗春を警護する近習頭は浜島庄兵衛であったが、その正体とは…。歌舞伎でおなじみの“白波五人男”-弁天小僧菊之助・赤星十三・南郷力丸・忠信利平、そして日本駄右衛門、この怪盗五人男が大江戸を舞台にくりひろげる豪華絢爛の物語。“白浪五人男”を新解釈で描いて、第二回日本作家クラブ賞受賞の記念碑的作品。
嘉永5年の春、八丁堀同心吾妻一兵の娘おみやは17歳の美しい娘に成長していた。浅草観世音に詣でたおみやは、町家の番頭が持っている唐草模様の風呂敷をねらうならずものと、怪しげな娘の姿を目撃した。その風呂敷に包まれていたものは折り鶴散らしの振袖であった。風呂敷を奪った怪しの娘がならずものの鍾馗の三次に襲われた危ないところを救ったのは、おみやの小坂流吹き針の妙技であった。時の南町奉行は遠山左衛門尉景元であった。大江戸を騒がす振袖娘の誘拐事件の捜査に当たる稚児同心佐川左内は、女のような美男子であった。紫のお高祖頭巾の美女振袖お柳の出現によって謎はさらに深まっていく。-金さん直属の部下、吾妻一兵の活躍は。
大江戸の盛り場、金竜山浅草寺ー俗に浅草の観音さまで親しまれる仲見世通りは仁王門近く、年のころは27か8のおっとりと育ちのよさそうな若侍に、お助け屋の粂三が声をかけた。もちろん、その懐中物をねらってのことだったがすっかり魂胆を見透かされて、子分になることになった。若侍は久世喬之介といい、ある事情により浪人していた。その久世喬之介は腰元風の美女に託された書状を目明かしの絵馬徳親分に届けるべく訪ねたが、絵馬徳は何者かの凶刃に倒されていた。そして、喬之介の前には恐るべき黒覆面の怪剣士が出現した。粂三ともども“お助け屋”稼業を始めた久世喬之介の行く手は…。-根岸藩をめぐる騒動に、颯爽たる十万石の“お助け屋”喬之介の破邪顕正の剣の舞。
激動の幕末、京の都を震憾させた“誠”の組織を、風雲児藤堂平助を中心に据えて描く。元治元年(1864)秋中旬、下谷御徒町にある伊勢津藩32万4千石は藤堂家の江戸家老立花監物の屋敷を、家紋の「蔦」の紋付きの黒羽2重を着た若待が訪ねてきた。若待は、その名を藤堂平助といい、藤堂和泉守高猷が、側妄綾瀬に産ませた子であった。新選組の猛者平助は、隊内では“ご落胤”の渾名で通っていた素姓の正しい待であった。近藤勇に従って東帰していた平助は、「文武館」道場主の伊東甲子太郎や、その門下で円明二刀流の達人服部武雄らと会うことができた。やがて新選組に加入してきた伊東一派は?-京の隊内では、副長山南敬助と土方歳三との対立が、ことごとに表面化していった。
シャムロ(タイ)国の灼熱の原野で、シャムロ兵とビルマ兵との壮絶な戦いがくりひろげられる中に、日本義勇隊員を率いた山田長政の姿があった。その隊員の中には、“へのへのもへじ”の刺青をしたへのへの茂平次と名のる快男児がいた。そしてまた、前髪の美貌の若者山柿甚吾もいた!茂平次は長政から、「甚吾は危険人物」との注意を与えられていた。-山田長政の活躍するシャムロ国から物語は始まる。戦国、海の男たちのロマン。
傷ついた美女知香を救い出したへのへの茂平次は、意識を失った彼女を懸命に看護しながら、六右衛門爺の黒瀬丸を待っていた。強敵山柿甚吾がそんな二人を秘かにねらっていた。恐るべき重四郎のふるう投石器に相対した茂平次は、負傷しながらも重四郎と組み打ちのままに、怒涛逆巻く海中へと転落していった。茂平次と知香の運命やいかに…。-海と戦国の男たちを描いて息もつかせぬおもしろさに満ちた一大伝奇扇代長編会心作。