出版社 : 朝日新聞出版
「自閉症者のもどかしさをここまで情緒的に綴る文章は僕には書けない」--『自閉症の僕が跳びはねる理由』著者・東田直樹氏推薦! 自閉スペクトラム症のサンデーは白いものしか口にしない。他人のかかわりは暗記したマナーブックの指南通り。自分のルールを守りながら、娘のドリーと二人ひっそりと暮らしている。しかし、ある夏の日、唐突に現れた自由奔放で謎の魅力をもつ隣人によって、これまでの日常が侵されていく。一方で、ドリーは隣人に惹かれていく。幼い頃から母親にその特性をみとめてもらえなかったサンデー。現在も、唯一の愛する家族である娘との関係に悩み続けている。自身も同じ特性をもつ著者の初めての作品にして、ブッカー賞ノミネート作。 <本書の内容> 火は光と見紛う/輝く魚/冬の蜂/大きな声で話して、普通に話して/辿れない心/精巧に作られたおもちゃ/個人の邸宅/やわらかい羽と鋭い目/この見せびらかすようなキス/猫の眠り/所有欲に似た愛情/際立って違うもの/ある種の告白/イーヴィは水が大好き
第11回林芙美子文学賞発表/【新連載】井上荒野/久坂部羊/伊藤比呂美/渡部泰明/浜辺祐一/【創作】村木嵐/【好評連載】伊東潤/木下昌輝/綾崎隼/武内涼/あさのあつこ/神林長平/穂村弘/高橋源一郎/【評論】鴻巣友季子/倉本さおり/水上文
中学受験も、親友との関係も、家族のことも、絶対に後悔したくない。なのに小学校最後の夏休み、十和の感情は大爆発する。だから……! 全力で受験に向かっていく。『店長がバカすぎて』山本猛店長(武蔵野書店吉祥寺本店)推薦「当店いち押しの感動作。私も大活躍しております!」【内容紹介】小学6年生の十和は、家族の幸せの形がわからない。楽しい母、やさしい父、かわいい妹。それなのに、どうして心がこんなに荒むのか。苛立つ十和に対して、母はなかば強引に中学受験を決めてしまう。このわだかまる気持ちをぶつけられるのは、LINEで繋がる「あの人」だけだーー。ここから逃げ出したい。その思いは大阪で一人暮らす祖母へと向かい、十和は大阪の私立中学に進む決意をする。4人が離れて暮らすことに父は反対するが、あることを条件に十和の希望を受け入れるのだった。バラバラになりそうな一家は、この問題を解決することができるのか? 中学受験を通して家族の成長を描く感動作。45万部突破の人気シリーズ『店長がバカすぎて』の山本猛店長も登場?
死んでほしいと思っていたパワハラ上司が死んだらしい。容疑者はーー部下、全員。無能なパワハラ上司に苦しめられながら毎日深夜まで働き詰めの生活を送る28 歳の主人公・青瀬。突然失踪したパワハラ上司・前川から届いたメールの件名は「私は殺されました」。本文には容疑者候補として「総務経理本部」全員の名前があった。限界会社員・青瀬と妙に頭の冴える派遣社員・仁菜は二人で真相解明に取り組むのだが……。発売前から「一気読み」「怖すぎる」と話題沸騰の、新しいストーリーテラーがおくる恐怖の”限界会社員ミステリ”!********知りたくなかったこんな真相なら。仕事で疲れ、心が死んでしまったら、人は悪魔になってしまうのか。限界が悲劇を起こす。がんばれよ、青瀬。ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん限界アラサー会社員・青瀬は、きっとあなたの近くにもいる。予想を裏切り続ける展開に振り回されるべし!啓文社岡山本店 三島政幸さん超絶パワハラ上司。いつまでも終わらないたくさんの仕事。そんな環境を諦めて死んだ目をしている同僚たち。どうして私はこんな救いようのない会社にいるのだろうか………?絶対に働きたくない職場で繰り広げられる人間模様の渦に、あなたの理性が試される。ぜひ最後のページまで見届けてほしい。大盛堂書店 山本亮さん雪に閉ざされた山荘じゃなくても、絶海の孤島じゃなくても、ヒトを極限状態に陥らせることはかくもたやすいものか……。思い込み厳禁の社畜ミステリ!!佐賀之書店 本間悠さん何のために働くのか。自分の居場所はどこなのか。生きることが麻痺していないか。人の命の尊さを問い、社会問題への警鐘を打ち鳴らす、課題書だ。紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん職場の人間関係がこんなにもおぞましいとは・・・(怖) タダならぬ空気が全編から漂い、胸騒ぎが止まらない! パワフルにしてハラハラドキドキの展開が最高。これぞまさしく「パワハラ」文学だ!ブックジャーナリスト 内田剛さん限界のその先を見た! 社会への警鐘が軽快に描かれたノンストップミステリー!うさぎや矢板店 山田恵理子さん「逃げる」という選択肢はなく、「このまま生きる」か「死ぬ」かの二択しかない。最初から最後までずっと胸糞悪い。なんなんだこれは。紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん全く展開予測不能! 「そんなブラックな会社一刻も早く辞めて!!」と心の中で叫びながら、どんどん悪化していく主人公を取り巻く状況と、積み重なる微かな違和感に不穏さを感じつつ、一体どう着地するのかとハラハラし通し!ジュンク堂書店旭川店 松村智子さん加速する人間不信が最後まで止まらない悪夢の転落劇。一気に読ませていただきました。ときわ書房本店 宇田川拓也さん
本当の近未来の話をしようか。新自由主義台頭の果てに世界は統一され、人類は自由と平等と平和を手に入れた。宗教も、国境もない。争いも存在しない。だが、完全な理想社会は、人間同士をつなぐ《ある力》を奪っていったーー。SF×パンク×世界史の構造=25年後の未来をキッチュに予言するエンターテインメント巨編 * * * * *覇権争いに終止符を打ったアメリカと中国は、完全なる自由と平等と平和を保障する《大同世界》を実現させた。大統一した世界を維持する分散型自律機関=通称《DAI》なる権力装置のもと、国境も、宗教もない理想の社会に人々は安住する一方で、見えない分断が隠蔽されているのではないかという陰謀論が囁かれ、原因不明の自殺者が後を絶つこともなかった。パンクバンドの元ギタリスト・ケイは、ある出来事をきっかけに音楽活動から足を洗い、現在は秩序維持軍に属している。2050年の近未来世界に戦争は存在しない。だが軍は同時多発する小さなコミュニティの儀式に対して、それらが宗教行為にあたるか見極める調査活動を続けていた。信仰の兆しを見せる《故障》した地域が世界各地で発生するなか、対象ゾーンへの《警告・修理・漂白》を遂行する任務にあたっていたケイは、上長のグエンから日本州西部でパンクロック・フェスティバルを開催する《アガラ》なる土地に潜入捜査せよとの指令を受けるのだった。『エアー3.0』の著者による最新の世界情勢とPUNKへの愛に裏打ちされた思索的フィクション
育った家がごみ屋敷となり果て、久しぶりに戻った美佐。家を片づけていく過程で金庫を発見する。そこからひもとかれる、家族にさえ言えなかった叔母の秘密とは……。朝日新聞連載時から話題! 湊かなえが新たに挑む、先が読めない「介護ミステリ」。
高名なゲーテ学者・博把統一は一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出合う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求める旅の先に、行き着いた場所は……。若き才能が描く、アカデミック冒険譚!
急死した伯父の部屋には人懐っこい隣人たちと「幽霊」が付いてきた! 長い内廊下でつながるアパートメゾン・ド・ミルでは、「ふつう」を外れた人が寄り添い生きる。文芸界最注目の著者・王谷晶が描く現代版長屋噺!
うだつの上がらない「作家」である私の人生の折々に登場してくる、死神。中学二年生で初めて出会ったあいつのことだけは、これまで作品には書けなかったのだが……。芥川賞作家が描く「死」と「家族」。ユーモラスにして、痛烈な新境地。
パンダと生きとし生けるものとアヒルのおもちゃ。すべてをやわらかく繊細にくるむ、小説の秘術ーー大森望ここには、“命をあずかる”というケア責任の普遍性がそっと提示されているーー小川公代 (「一冊の本」2024年10月号より)テロと戦争が常態化する時代の渦中に命をあずかり平和の実現を企てる組織が存在したーー?あなたを思えば世界は救われる。【あらすじ】春先になると花粉症で鼻が利かなくなるモトコは、副業で働くアルバイト先の同僚・村崎さんから自宅で飼う小動物たちの世話を頼まれる。その後、職場を辞めた村崎さんのメールからは、パンダと人類をめぐる狩猟、飼育、繁殖の歴史がひも解かれ、ある目的で海外を転々としていることが見えてくるのだった。モトコが村崎さんの指示を仰ぎながら動物たちの世話をつづけるなか、上野動物園では日本が所有する最後のパンダ・リンリンが亡くなり、中国ではオリンピックを前に、加工食品への毒物混入事件と大地震が起きるーー。命をあずかることと奪うこと。この圧倒的な非対称は、私たちの意識と生活に何を残すのか? 「命をあずかる」というケアの本質に迫りながら、見えない悪意がもたらす暴力に抗うための、小さく、ひそやかな営為を届ける問題作。
幼少時に母の妹に預けられた恵子は、6歳になると両親に呼び戻される。家では父が母に暴力を振るうのだった。やがて恵子にもその矛先が向き、2歳下の弟が小学生になると、弟にも暴力が及ぶようになる。ある日、東京から父の弟が訪れる。東京のおじさんは、自分が大切にしている六つ葉のクローバーを恵子に与え、励ますのだった。やがてやさしかった母も豹変して暴言を吐くようになり、朝ご飯も満足に食べさせて貰えなくなる。学校ではいじめにあう二人。恵子は高校を中退、両親から逃れるため、六つ葉のクローバーを胸に家を出る。隣町でアルバイトを続けていた恵子は看護の臨時職に就き、夢に一歩近づけたことを喜ぶのだった。しかし、同棲を始めた恋人に暴力を振るわれるようになり……。虐げられながらも、明日への希望を追い求める少女の心理をリアルに描く問題作。
代議士事務所立て籠もり事件が発生、犯人2人が逮捕されるが、完全黙秘を貫く。彼らが沈黙を続ける真の理由とは? ラストで明かされる驚愕のメッセージに読者は慟哭する! 巨大ダムに象徴される日本の病巣を抉り出す白熱のサスペンス巨編!!
長寿社会という「最先端」の時代を生きる私たちに、道しるべとなる「老衰介護看取り小説」の誕生!老い、病、死にちかづくこと。じつはたっぷりした意味がある!中島京子さん推薦!老いとの闘い。死支度。「死下手」の一茶の俳句が、認知症のお父さんを支える。家族のじたばた、いらだち、せつなさも、どこか飄々とした俳諧のようだ。*元中学教師の恭輔は80代後半には認知症になり、骨折をきっかけに4年前からは在宅介護を受ける身の上だ。通称「かんたき」看護小規模多機能型居宅介護の看護師、介護士が自宅でのサポートをしているが、妻にとっては老老介護、かかわる子どもたちも還暦前後でらくではない。オムツとトイレの大惨事、認知症の薬などを試みるが、次第に出来なくなってくることが増えていく。万一の場合には救急車をどうする?96歳で息をひきとるまでの20日間、家族や介護者はどのように備えるのか。誰にとってもひとしく迎える最期はどのようなものなのか。死ぬときはどうなるのか。そしてその日は信じられないほど「あっさりと」やってきたのだ。*老いや死も庶民の視線で、見捨てない温かさに満ちた、一茶の句が老境の恭輔を、そして周囲の人々を励まし続ける。自分ごととして必ず来る老い、病、死をやわらかく問いかける、先を照らす小説。目次から 一 三度目の危篤 二 トイレ地獄 三 先生と呼ばれて 四 みんな先に死んでいく 五 何もできない 六 ついのすみか 七 思い出の中の人 八 この世とのつながり 九 死ぬのにもってこいの日 一〇 その朝は、あっさりと
コロナ禍がはじまり、終息に向かった。これは目眩? 日常の隣にある別世界。分別盛りの人々の抱えた困惑と不安をユーモアと活力あふれる文章で描く四つの日常奇譚集。妻は売れっ子イラストレーター、夫は音楽家。30代の夫婦が不動産屋の仲介で移り住んだ理想の家。しかし夫が出張中のある夜、天井から異様な物音が……。気のせい? 事故物件? それとも……。そしてある日、夫婦は隣家の秘密を知ることになる。(「屋根裏の散歩者」)酔い潰れ、夜更けの電車内でヴァイオリンを抱いて眠る老人。慌てて下りていった彼の忘れ物は、なんと遺骨。「才女好き」と噂された男の、四十年に及ぶ家庭生活に、秘められたものはいったい何だったのか。(「妻をめとらば才たけて」)亡き父の後を継いだレストラン経営がコロナ禍で破綻に瀕している。家庭がきしみ始め、しっかり者の母が倒れ、妻は子供を連れて出て行く。負の連鎖の中でどん底の男が、はまったのは、因縁付きの謎の植物。完璧なフォルム、葉の緑のグラデーション。マニアの世界は地獄より深かった。(「多肉」)認知症の義母が亡くなった。ようやく見つけた葬儀用の遺影。しかしその肩先には人の手が写っている。そして切り取られた半分には見知らぬ男が。背景からすると、近くの動物園で撮影されたようだ。慎ましく物静かで、実の娘息子にも本音を語ることのなかった人の心の内にあったものは?(「遺影」)現実と非現実の裂け目から見えた、普通の人々の暮らしと日常の裏側。『鏡の背面』(集英社文庫、吉川英治文学賞受賞作)や『冬の光』(文春文庫)の流れにつながる、人の心の不思議と腑に落ちる人生のリアリティにあふれる力作。
大きな物語がなくなったあとの複雑な時代に、 新しい出会いや発見、悲しみや葛藤を経験しながら成長する子どもたち、 うつろいゆく大切なものもの。それでもなお世代を超えて受け継がれる、 かけがえのない日々を描く新たな成長小説(ジュブナイル) いまほど世の中の仕組みが複雑ではなかった一九七〇年代。 『七夜物語』という不思議な本の世界を冒険した子どもたちがいた。鳴海さよと仄田鷹彦。七つの夜をめぐる冒険は、二人にとって大切な経験となるが、さよも仄田くんも「夜の世界」の出来事を決して思い出すことはなかった。 あれからおよそ三十年ーー。 さよの息子「絵」と仄田くんの娘「りら」は、両親と同じ小学校でクラスメートになっていた。二人もまた『七夜物語』の世界へと導かれるのか? 二〇一〇年の現代を舞台に、十歳から十一歳へと成長する二人の変化の兆しと、子どもたちを取りまく世界を鮮やかに捉えながら、ささやかな人の営みと、そのきらめきを届ける物語は、二〇一一年の「あの日」へと向かっていく。 著者の長編ファンタジー『七夜物語』から十二年、 次世代を生きる子どもたちの物語
第二次大戦後に分断され、再びひとつの国に統一された日本。だが東西の格差は埋まらず、東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍し……。意図せずテロ組織と関わることになった一条昇と、その幼馴染で自衛隊特務連隊に所属する辺見公佑の二人。社会派エンターテインメント巨編。
悲愴な従軍経験による悪夢にうなされながらも、名古屋で探偵社を営む草萊一子地。彼は、流暢な日本語を操るドイツ人女性ハンナから、関東大震災以来、行方の分からなくなった母・貞子を捜してほしいとの依頼を受ける。しかし、調査を進めるうちに、社会主義者との深い繋がりに加え、殺人事件の実行犯としても貞子の名前がちらつき始める。彼女の姿に迫る草萊は、いつしか国を揺るがす禁忌に近づいていたー。乱歩賞作家が13年振りに放つ、渾身の探偵小説。
創作大賞2023(note主催) 朝日新聞出版賞受賞作!家事代行歴3ヶ月・津麦の新しい勤務先は、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家。一歩家の中に入ると、そこには「洗濯物の海」が広がっていた──。仕事や家事、そして育児……何かを頑張りすぎているあなたへ贈る物語。読めば、心がふわりと明るくなる。期待のデビュー作!