出版社 : 朝日新聞出版
凶器不明の殺人、異国での不思議な出会い、少年の謎めいた言葉の真相、自殺者の不可解な死の理由、人間心理を巧みに突くストーカー事件、妊婦の街で起きたドタバタ失綜騒動など…人気作家8人がおくる、多彩な作品を収録した名探偵アンソロジー文庫化。
東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」-。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとはー。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
デジタルデータのみを破壊する「情報震」が地球上で頻発している。原因はおろか震源地すら特定できない。あらゆる情報が崩壊し、機能を失った大都市からは人の影が消えた。偵察のためトウキョウに進駐した日本情報軍機動観測隊は、想定外の「敵」と出会う…。
嵯浪藩・西野家の一人娘・紀江は小太刀の名手。かつての想い人を忘れられぬまま妻、母となり葛藤を抱えつつも穏やかな日々を送っていた。しかしある朝思いがけずー。過酷な運命を生きる女性が示す一つの夫婦の形を美しい四季と共に描いた傑作時代小説。
連載当時は誰も注目していなかった日露戦争。その経緯を紐解くことで、作家は“日本人の精神性”を描き出そうとした。だが、歴史になる前の出来事を書く苦しみを味わうことになる。それを乗り越え「事実」を踏まえた「小説」を生み出そうとした、独自の工夫と試みに迫る。
物語が日露戦争終戦後に差し掛かった際に、正確な情報を与えなかった政府、冷静に事実を調べようとしなかった新聞や、学者、政治家、情報に踊らされた国民たちを、作家は冷徹に描き出し、「魔の季節」への出発点だと記した。40代を費やして執筆された作品の執筆秘話。
ただただ、画面に映りたい。公共の電波に乗りたい。誰にも知られず目立ちたい。普通に生きてきた平凡なサラリーマン倉本恭一(43)に突如めばえたこの衝動、ここから途方もない冒険が、始まる。著者初の新聞連載、10年ぶりの長篇小説!!
開発業者として現れた中学時代の同級生と、抗うこともないままに肉体関係をもってしまった沙知。自宅裏の森を伐採する宅地造成工事の告知を機に、彼女の家族は一変する。反対運動にのめり込む義父母。いつしか夫も見知らぬ顔を覗かせるなか、その男は沙知への要求をエスカレートさせていく。日常にひそむ正常と異常の空隙。そこから現れる異様な光景を端正な筆致でとらえたアモラルな傑作長篇小説。
劇団を主宰する大輔と無性愛者の瑞穂夫婦は、母親の育児放棄のため児童養護施設で生活する10歳のひなたを週末だけ預かっている。そもそも里親をはじめたきっかけは、天才演劇少女のひなたを、少し変わった人材派遣業にスカウトするためだったが…。
美容整形をしたストーカー男の遺体第一発見者となった甲斐享が、杉下右京と共にその死に隠された卑劣な悪事を暴く「顔」、捜査一課が老人殺害事件で捜査の応援に駆け付ける中、休暇中の特命係が意外な形で活躍する「待ちぼうけ」、人質と引き換えに、“証人保護プログラム”で守られた闇社会の大物の三男を捜し出すよう特命係が命じられる「プロテクト」など6篇を収録。
満州から引き揚げ、刑事となった羽生誠一。昭和23年1月、椎名町の銀行で発生した毒物を使った強盗事件に遭遇し、歴史の闇に葬り去られようとしていた恐るべき事実に向かい始めるが…。戦後最大の謎「帝銀事件」をモチーフにした衝撃の警察小説!
“貴族祭”の行われるダルマラス村に巨大石棺を無事に届けたことで、Dたちの仕事は終わったはずだった。しかし、石棺の中にいるのがローランジュ公爵夫人だと知った村長が、祭りが終わるまでDに村に残るように依頼する。そして祭りの当日、貴族用の墓所に運び込まれた石棺が騒ぎはじめ、見張りの村人がバタバタと倒れる事態に村長は、Dに助けを求める。しかし、それは公爵夫人がDをおびき出すための罠だったー!?
右京は休暇中のロンドンで、殺人事件の捜査に協力することになる。被害者宅の防犯カメラには、そこから150キロ離れたバーミンガムでマジックショーを繰り広げていたはずの奇術師の姿が映っていた。しかも、彼はステージ上で殺人予告を行い、殺害時刻には短刀を片手にテレポートを行ったという。右京は不可能犯罪の真相を追うが…。
八十上学園の高校生・佐々木いちろは、放課後にこっくりさんをしていたが、ある質問をしたことで校舎から出られなくなる。閉じ込められたのは、いちろ、幼馴染のとおこ、妖しい先輩・清丸のほか4人。“階段のブリッジ女”“校長室のゾンビ犬”…黄昏刻の学校に巣食う恐怖の七不思議といちろは戦うことになるが!?関連動画再生数累計1,000万超!!人気フリーホラーゲームノベル化!
「第一回晴雲ラブンガク大賞」を受賞して、華々しく文壇にデビューした恋愛小説家・夢宮宇多。その勢いを買われてか、恋愛小説のようにロマンティックな体験談を持つ女性を実際に訪ねて話を聞く、というネットテレビ番組のホスト役の仕事が入ってくる。担当編集・井上月子の説得で仕事を受けることとなったのだが、そこで出会った女性は、まさに現代のシンデレラのようなエピソードを持つ女性であった。しかし、夢宮宇多は話を聞くうちにエピソードの隠された真実に気づいていく…。その一方で、夢宮宇多の受賞作は亡くなった彼の幼馴染みが書いたのではないか、という疑惑が浮上し、物語は意外な展開を見せはじめるがー。アガサ・クリスティー賞受賞の鬼才が放つ、連作恋愛ミステリ!!