出版社 : 朝日新聞出版
きのね(上)きのね(上)
せつない嫉妬のほむらに身を灼く光乃。辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
きのね(下)きのね(下)
たったひとりで主の子を産んだ光乃。一生かげの人間でいいんです。歌舞伎界不世出の名優、十一代目・松川玄十郎との宿縁に、つつましくも激しく燃え、やがて妻となった60年の忍耐の生涯。
ちいろば先生物語ちいろば先生物語
「エルサレムに入城するイエスさまを乗せた、小さな子ろばのようになりたい。〈主の用なり〉と言われたら、たとえ自分に力が無くとも、どこへでも出かけて行こう」-敗戦後の激動の満州から帰国した多感な青年・榎本保郎は、挫折を試練にかえて立ち直り、神の道への献身をこのように決意する。京都世光教会を創立し、今治教会を経て、アシュラム運動の発展のために全身全霊を捧げた、熱血牧師の52年の生涯。
黄色い髪黄色い髪
「自分が学校から脱落するのではなく、自分から学校にさよならする」と決めた14歳の少女夏実。「ほかの子がちゃんと行ける学校へ、行けないような子に育ててしまった」と自らを責める母の史子。肉親、隣人・教師たちはそれぞれの立場から、この母娘を見守る。無機質なシステムと化した学校をめぐる問題を、現代を生きるすべての人々に関わるものとしてとらえた社会派小説。