出版社 : 東京創元社
ヘスターはストーカーのシュライクに助けられ、今更トムやレンのもとに戻ることもできず、賞金稼ぎとして暮らしていた。だがレンと親しかった青年セオを偶然助けたことから、忘れたはずの過去が彼女につきまといはじめる。セオは〈グリーンストーム〉の内紛と陰謀に巻きこまれ、現将軍夫人と共に囚われの身となっていたのだ。ヘスターとセオは再びトムとレンに会うことができるのか? ガーディアン賞受賞、〈移動都市〉四部作完結。
人気俳優マークは義理の息子ケニーが書いた不条理劇の題名を知り動揺する。それは17年前、ケニーの実父が死んだ“事故”を暗示しているようだった。当時4歳だった息子が何かを知っている?マークはケニーの母で女優の妻サヴァンナの反対を押し切って劇への出演を決め、息子とともに舞台を作ることで真意を探ろうとする。過去の事件と舞台の上演が、彼らにもたらす結末とは?本邦初訳、円熟期の傑作。
愛しのオーウェンと晴れて婚約したケイティに、魔法界のマフィアと言われる謎の組織コレジウムが接触してきた。コレジウムは以前からMSIの取乗っ取りを企てており、その目論見はいったんはマーリンに挫かれたものの、彼らの息のかかった社員はいまだMSI内部に多数いるらしい。マーリンは一計を案じ、逆にスパイを送り込むことに。となれば適任なのはケイティしかいない。結婚目前で潜入捜査? 大人気シリーズ待望の第8弾。
人の記憶を取り出して他人にも理解できるように翻訳する技術が実用化された時代。その技術は特別な力を持ったインタープリタと呼ばれる人々によって実現されていた。珊瑚は優秀な若手インタープリタとして将来を嘱望され、さまざまな背景を持つ依頼人の記憶翻訳を手がけている。しかしその仕事は彼女自身のなかにある埋められない欠落と向き合うことでもあったーー第5回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる連作短編集。
【ミステリ・フロンティア100冊突破記念書き下ろし作品】 逆光を浴びながら登場したボーカルは、突如叫び声をあげ倒れた。彼は刺殺されていた。ボーカルの不可解な怪死で、ロックバンド〈赤い青〉は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが演奏中に犯したあり得ないミスは、事件と何か関係があるのか? ライブハウスのスタッフである私は、犯人は誰かを考え始める。犯人はひとり。推理によって謎はすべて解ける。大型新人が放つ感動の第一長編!
マイン川で少女の死体が発見された。年齢は14歳から16歳、長期にわたって虐待された痕があり、死因は溺死だと判明する。不可解なことに、淡水ではなく塩素水で溺れていた。刑事オリヴァーとピアは捜査を始めるが、数週間経っても身元が判明しない。さらに新たな殺人未遂事件が発生し捜査は混迷を深めていく。少しずつ明らかになる、警察組織を揺るがす凶悪犯罪とは。〈ドイツ・ミステリの女王〉が魅せる巧みなミスリード。大人気警察小説シリーズ第六弾!
そこは奇妙な学校だった。入学してくるのは、異世界へ行った、不思議の国のアリスのような少年少女ばかり。戻ってはきたものの、もう一度“不思議の国”に帰りたいと切望している彼らに、現実と折り合う術を教える学校なのだ。転入生のナンシーも、そんなひとり。ところが死者の世界に行ってきた彼女の存在に触発されたかのように、不気味な事件が。アリスたちのその後を描いた、ヒューゴー賞など三賞受賞のファンタジー3部作開幕。
あたしを殺して魔物に捧げようなんて、正気の沙汰じゃないことをしでかして入院してたアナベルが、学校に戻ってきた。もちろん夢の世界にも。夢にかけては、アナベルの実力はヘンリーも、アーサーさえも凌ぐ。もちろんアーサーとあたしたちは完全に敵同士。アナベルは、自分もアーサーの敵だから、敵の敵は味方よ、なんて共闘をもちかけてきたけど、なんか胡散臭い。本当の敵はアーサー?アナベル?それとも二人はグルなの?夢の世界を舞台に繰り広げられるロマンティック・ファンタジー完結。
アウシュビッツ絶滅収容所に着いたユダヤ人を、ガス室行きと生存させる組とに選別した医師メンゲレは、優生学に取り憑かれ、子供、特に双子たちに想像を絶する実験を重ねた。1945年のアウシュビッツ解放後に南米に逃れ、モサドの追跡を逃れて生き延び、79年ブラジルで心臓発作で死亡する。なぜ彼は生き延びることができたのか? どのような逃亡生活を送ったのか? その半生の真実と人間の本質に、淡々としかし鋭い筆致で迫った傑作小説。ルノードー賞受賞。
放課後のベイビュー高校で、5人の生徒がルール違反の罰で理科室に招集された。だが、そのなかの一人サイモンが突然苦しみだし、病院搬送後に死亡する。死因はアレルギーのアナフィラキシーショックで、警察は事件性があるとみなす。ほかの生徒は全員が彼のアレルギーを知っていたうえ、彼に秘密を握られていた。男女4人の生徒がそれぞれ一人称で順繰りに事件について語っていくが......。誰が何を隠しているのか? 必読の現代本格ミステリ!
北町奉行所に勤める戸田惣左衛門は、若き日より「八丁堀の鷹」とも称されるやり手の同心である。長屋の一室で扼殺されていたお貞。夕餉を準備中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の皆は桜見物に出かけており……「花狂い」。吉原で急に用心棒を頼まれた惣左衞門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衞門によってある種の密室だったはずなのだが……「願い笹」など、惣左衛門とその息子・清之介を主人公に描く四編を収録する。『屍人荘の殺人』と競った、滋味溢れる時代ミステリ。
わたし、海砂真史には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校に入って以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼ー鳥飼歩は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。青春ミステリの新たな書き手の登場に、選考委員が満場一致で推した第28回鮎川哲也賞受賞作。
廃墟の塔が林立する“塔の森”。孤児たちは、塔に棲む魔鳥が盗んできたものを集めて暮らしていた。あるとき彼らのもとに、魔鳥に盗まれた宝石を取り戻して欲しいという男タスランがやってくる。孤児のひとりアイシャが宝石を見つけたものの魔鳥の攻撃で塔から墜落、気がついた時には宝石は彼女の胸に嵌まっていた。宝石をえぐり出すわけにもいかず、アイシャはタスランと一緒に旅にでることに……。〈不思議駄菓子屋銭天堂〉〈妖怪の子預かります〉などで大人気の著者が放つ、『青の王』に続くシリーズ第二弾。
まずは美食と談論、そして推理合戦。この様式美を長年守ってきた〈黒後家蜘蛛の会〉の集まりは、ときにささやかな例外に遭遇することもある。シリーズで唯一、女性が謎を持ちこむ「よきサマリア人」や、突然押しかけてきた若い客人の悩みを解決する「飛入り」など、変わり種エピソードが収められた第4巻でも、ヘンリーの給仕と推理の神業ぶりはいささかも揺るがない。12編の小粋なミステリを、いつでもどこでもお楽しみください。
クローンとして蘇った彼らが最初に目にしたのは、自らの死体だったーー。恒星間移民船内で唯一目覚めていた乗組員6人が全員他殺される。蘇った彼らは、地球出発後25年間の記憶を消されていた。しかも船のAIも改竄され、再復活は不可能に。全員が他人に明かせない秘密を抱える彼らは真相を求め、自分さえも疑いつつ、クローニングと記憶操作技術を巡る過去を探り始めるが……ヒューゴー賞、ネビュラ賞候補の新鋭SF!
虚空を突き進む恒星間移民船内で起こった殺人事件。新たなクローン化が不可能となり、死んだら二度と復活できない緊迫した状況で、次第に明らかになってゆく乗組員たちの過去。それはクローニングと記憶操作を用いた生命延長技術を巡る、数世紀におよぶ人間とクローンの対立の歴史でもあった。はたして彼らは真犯人と真相を突き止め、目的の惑星にたどり着くことができるのか? 予測不能の展開は驚愕のラストへ!
1944年、ユダヤ人の13歳の双子、パールとスターシャは、アウシュヴィッツに送られ、優生学研究に取り憑かれた、アウシュヴィッツの〈死の天使》と呼ばれた医師・ヨーゼフ・メンゲレが集めた多くの双子たちとともに《メンゲレの動物園》と呼ばれる施設に入れられる。双子に異様な興味を抱く医師の実験体となった二人が少女の目で見た恐るべき世界を叙情的な筆致で描いた、それでいて力強い物語。生命の尊さ、人間の言葉の力を描いた本書は今こそ、読まれてしかるべき一冊。
これは、もうすぐ21世紀がやってくる、というころに起きた、愛すべき子どもたちの闘いの物語です。--不可能状況から煙のように消え去ってみせる子どもたちと、そのトリックの解明に挑む大人の知恵比べ。単なる家出と思われた子どもたちの連続失踪事件は、次第に地域全体を巻き込む大事件となっていった! いま最も将来を嘱望される俊英が新境地を切り拓く、渾身の傑作長編。ミステリ・フロンティア100冊刊行記念特別書き下ろし、遂に刊行!
1942年、イギリスの特別作戦執行部の工作員であるわたし、マギー・ホープは、戦局の行方を左右する重大な情報を持っているはずの工作員を救うため、ドイツ占領下のパリに潜入した。滞在先のホテル・リッツで高名なデザイナーのココ・シャネルと知り合うマギー。一瞬たりとも気を抜けない日々のなか、イギリスの工作員ネットワークに亀裂が生じる! ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの人気シリーズ、最新刊!