出版社 : 東京創元社
名探偵アティカス・ピュント・シリーズ最新刊『カササギ殺人事件』の原稿を結末部分まで読み進めた編集者のわたしは激怒する。こんなに腹立たしいことってある? 著者は何を考えているの? 著者に連絡がとれずに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想だにしない事態だったーー。現代ミステリの最高峰が贈る、すべてのミステリファンへの最高のプレゼント! 夢中になって読むこと間違いなし、これがミステリの面白さの原点!
ペンリック19歳、婚約者を迎えに行く途中、病で倒れている老女の最後を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女が持っていた魔が、あろうことかペンリックに乗り移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。ペンリックは魔を制御し、庶子神神殿の神殿魔術師になるべく訓練を始めるが……。ヒューゴー賞など四賞受賞の〈五神教〉シリーズ最新作登場。
人骨騒ぎにケリをつけ、当初の計画どおり静かに暮らそうとした秘密工作員フォーチュンの決意を、一本の電話が打ち砕く。ハリウッドに行ったミスコン女王パンジーが町に戻ってきたのだ。元ミスコン女王という偽の経歴のせいで敵視されたフォーチュンは、町民の前でパンジーと大衝突をしてしまう。その翌日、パンジーが殺され、容疑者筆頭になったフォーチュンと婦人会コンビは、疑いを晴らすため動きだし……再び大騒動を巻き起こす!
高校生活も残りわずかとなった三年生の秋。姉への依存症を克服し新たな目標へと邁進する中葉悠介と、名探偵という能力をひた隠しにしながらも充実した生活を送る蜜柑花子。彼らを巡る四つの事件を、犯人(?)側の視点で描く。それぞれの出来事が繋がり、思わぬ事態が展開していく怒涛の二日間の最後に、蜜柑はどんな景色を見るのか?爽やかな読み味が魅力のシリーズ第二弾。
ラドチ圏から遠く離れた小星系国家。有力政治家の娘イングレイは後継者争いでの大逆転を狙い、政敵の子を流刑地から脱走させる。だが引き渡されたのはガラルと名乗る別人だった。進退窮まった彼女は、ガラルになりすましをさせるという賭けに出るが、それは次々と予想外の事態を招き、ついには異種族をも巻きこむ大問題に……ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞など全世界13冠制覇の《叛逆航路》ユニバース、待望の新作登場!
悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍に追いつめられたエンスたちは、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越しながら、星読みのトゥーラ、もと排月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコ、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、1500年前にかけられた呪いを解く方法を探す。そこで浮かんだのはオルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。好評シリーズ第2弾。
ガラス製造社の研究員セシリアは、新規の事業取引先として、不動産王ヒューに関わることになる。ヒューは高層ビル最上階の邸宅にて、秘蔵の鳥「硝子鳥」など希少動物を多く飼っていると噂されていた。ある晩、セシリアは同僚たち三人と拉致され、目覚めると外が見えない特殊なガラス張りの迷宮に閉じ込められたことに気づく。「お前たちの罪を知っている」というヒューの言葉に怯える中、突然ガラスが透明になり、研究員の一人が殺されたことが判明する。傍には、どこからか紛れ込んだ「硝子鳥」が鳴き声を響かせていた……。隠れる場所がないガラス張りの迷宮で、犯人はどこへ消えたのか? 鮎川哲也賞受賞作家が贈る、『ジェリーフィッシュ』『ブルーローズ』に続く、本格ミステリシリーズ第3弾!
期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査を始めた裏染天馬は、ダイイングメッセージの意味を解き明かせるのか? ロジカルな推理、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染シリーズ〉第4弾。解説=佐々木敦
第5回創元SF短編賞受賞 天才科学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされる「ぼく」。大学4年生だった夏に日本で行われた「あの実験」から3年、「ぼく」はまたしても姉に呼び出された。向かった先は、ラグランジュポイントL2に浮かぶ、姉の勤務する国際研究施設。姉はそこで、宇宙論に関するある途轍もない実験を秘密裏に進めていた。第5回創元SF短編賞受賞作に始まる新時代のハードSF中編連作。
半七、銭形平次、顎十郎らが江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちが新たな犯罪と戦うため、いま集結する。
時は明治。銀座は南紺屋町に「静修館」という古いけれど居心地の良い下宿屋がある。若者が多く住むこの下宿屋を取り仕切る大家は、料理をはじめ家事万端を見事にこなす梨木桃介だ。その働きぶりの前では、小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、居住まいを正して下宿している。しかし静修館にはなにかと謎が持ち込まれ、「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に湧水は奔走する羽目になるのだった。連作短編集。
1944年9月。英国補助航空部隊の女性飛行士ローズは、戦闘機を輸送する途中でナチスに捕まり、ラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら過酷な労働に従事するローズが、収容所で出会った仲間と生き延び、地獄を脱出するための意外な方策とはーー。数々の日記や手紙で構成された先の見えない展開と結末が胸を抉る。少女たちの友情と闘いを描く、『コードネーム・ヴェリティ』を超える傑作!
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれ、事前調査のためネパールに向かう。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を送ろうとしていた太刀洗だったが、王宮では国王をはじめとする王族殺害事件が勃発。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。『さよなら妖精』の出来事から十年のときを経て、太刀洗万智は異邦でふたたび大事件に遭遇する。
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか?すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵がー俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
昭和12年(1937年)、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家への夢へ邁進している那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。5月末まで開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いて欲しいというのだ。華やかな博覧会の最中、一行が巻き込まれた殺人事件。名古屋にいたはずの女性の足が、遠く離れた銀座で発見されたーー! 名古屋、東京間に仕掛けられた一大トリックに、那珂少年はどんな推理を巡らせるのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風味で描く著者最新長編。
夫を事故で喪ったアリスは、亡夫の書斎でミス・ラッシュという知らない女性の名が書かれた封筒を見つける。そこへ息子のマルコムが、美女を伴い帰宅した。美女の名前はラッシュ……女性が去ったのち、封筒も消えていた。彼女は何者で、息子に近づいた目的、夫の死との関連は? アリスの疑惑と緊張が深まるなか、ついに殺人が……。迫真のサスペンスにして名探偵による謎解きミステリでもある、ウィリング博士もの最後の未訳長編。
これは、イギリスで絶滅してしまった熊に捧げる、大人のための寓話です。電灯もオイル・ランプもなかった時代、夜中に森を徘徊する悪魔だと恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べたせいで、故人の罪を引き受けてしまった「罪食い熊」。サーカスが流行した時代、人間の服を着て綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。19世紀、ロンドンの下水道に閉じ込められ、町の汚物や溜まった雨水を川まで流す労役につかされていた「下水熊」。-ブッカー賞最終候補作家が、皮肉とユーモアを交えて独特の筆致で描く8つの奇妙な熊の物語。
〈黒後家蜘蛛の会〉のお楽しみーーそれは知性あふれる6名の会員たちによる丁々発止の会話、毎回のゲストが提供する謎かけの数々、そしてその難問を見事に解決する給仕ヘンリーの名推理である。偉大なる黄金パターンを何度でも楽しめる、殿堂入りの連作短編集。第3巻にはアメリカ大統領にまつわるトリビアから火星や日蝕の様相まで、多岐にわたる分野に材を得た全12編を収録。“ディナーのあとで謎解きを”心ゆくまで堪能せよ!