出版社 : 河出書房新社
心を持つ「スマートロボット2」が発売された。遊び暮らしていた大学生の也太は、しっかり者のスマロボ「シロ」を使って想いを寄せる都奈の気を引こうとする。ところが都奈の弟・和毅が事件に巻き込まれ、也太の中で何かが変わり始めた。二人は絶望する姉弟を救えるのか。機械の心がみんなの気持ちを変えていく感動の物語。
先生は人間からすればゴミクズですがミミズやミジンコからすれば神さまのような存在ですーひとりの小癪な若者の挑発が、絶海の孤島で死すら乗りこえ、超然の高みに達したはずの「余」を破滅の旅へと誘う。辿り着いた沖縄の荒野で再び死に直面し、いつしかボーカルとしてバンドに参加。これは神/悪魔の意志なのか?人間存在そのものと世界の深淵に迫る、『どつぼ超然』に続く傑作長篇。
時は動乱と呪法邪法に満ちた室町時代。赤松満祐が将軍義教を暗殺して挙兵し、満祐の側室野分がもう一人の側室玉琴を惨殺した夜から、死者生者入り乱れ運命が動き出す。南朝の血を引く少年阿麻丸は神器奪還の戦いに巻き込まれ、玉琴の怨念は活傀儡と化して野分と娘・桜姫に迫る!著者畢生の傑作伝奇小説。
阿麻丸と桜姫は京に近江に流転、野分は長い眠りにつき、玉琴の遺児清玄は立川流修法のために桜姫の髑髏を求める。一同が離合集散する中、後南朝の二人の宮と神器を狙う赤松の遺臣により、吉野の御所に戦火が上がる。応仁の大乱の足音が迫る時代を舞台に絢爛に繰り広げられる夢幻綺譚、いよいよ終幕へ。
学徒出陣の生き残りであり、エリート技術者となった「私」は地方都市企業の労働組合を率い、地域連合組織を作ろうとしている。一方で、妻子ある家庭人でありながら不毛な愛を続けていた。その運動が緊迫し、女が妊娠するなかで、「危険な破滅への意志が蘇」るー五〇年前の高度経済成長と「政治の時代」のなか、「私」の回顧という形で志の可能性を深く問いつめた高橋文学の金字塔!
反社会、テロ、スキャンダル、ユートピアの恐怖と魅惑など、猥褻罪に問われた「サド裁判」当時に書かれた時評含みのエッセイ集。すでに一部の注目を集めはじめていた弱冠三十三歳の気鋭の評論家として、その真髄を示す評論集。時代は安保闘争直後の騒然とした雰囲気に包まれていた。後年とは異なり、時代と対峙する緊張をはらんだ批評が、随所に現れる。
ピアリスがぼくのような目にあってませんように。決して決して、ぼくのような目にあってませんように。“ユーロ カルカーシュの予言者”より。願いに力があるのなら、あたしは一番にこのことを願おう。いつか、ユーロに会えますように。“ピアリス「9×7」”より。萩尾望都のSF世界。
かつて兄だったキョウスケが勝手に私の人生へと戻って来た。立派な「あかんたれ」になってーどこにいても、ただ生きてさえいてくれればいいー家族や親友や恋人より大切な「運命」の物語。
妻子が列車事故に遭遇した。敏腕編集者の悟は仕事のことしか頭になく、奇跡的に生還した息子を義理の両親に引き取らせようとする。ところが亡き妻の友人・春子の登場で悟の中で何かが変わり始めた。彼女は何者なのか。そして事故現場から見つかった結婚指輪に妻が託した想いとは?ヒットメーカーが切り拓く愛と絆の感動大作に、スピンオフ「その後の物語」を新規収録した完全版!
震災後、恋人とうまく付き合えなくなったみゆき。父と二人で、仮設住宅に暮らす彼女は、週末、高速バスで上京し、デリヘルのバイトを始める。福島と東京、市役所職員とデリヘル嬢ー二つの間を往き来する彼女の、生きるための闘いを描く感動作。話題の映画監督が、自身の故郷を舞台に書いた初小説を、映画化!
乱歩、澁澤龍彦も絶讃した、本邦三大ミステリのひとつ『黒死館殺人事件』の小栗虫太郎、もう一方の代表作。九州某所に幽閉された謎の鉄仮面とは何者か?私立探偵・法水麟太郎は死の商人・瀬高十八郎の魔の手から彼を救い出せるのか。帝都を襲ったペストの陰の陰謀に挑む、ペダンチックな冒険伝奇探偵小説。KAWADEノスタルジック探偵・怪奇・幻想シリーズ。
クラーラは、不思議な予知能力をもっていた。ある日、緑の髪をたなびかせ人魚のように美しい姉のローサが毒殺され、その屍が密かに解剖されるのを目の当たりにし、以来九年間口を閉ざしてしまうー発表されるやまたたくまに世界的評価を得た、幻想と現実を自在に行き交う桁外れの物語。ガルシア=マルケス『百年の孤独』と並ぶ、ラテンアメリカ文学の傑作。
精霊たちが見守る館で始まった一族の物語は、やがて身分違いの恋に引き裂かれるクラーラの娘ブランカ、そして恐怖政治下に生きる孫娘アルバへと引き継がれてゆくー三世代にわたる女たちの運命は、血塗られた歴史で頂点をむかえる。一九七三年チリ、軍事クーデターで暗殺されたアジェンデ大統領の姪が、軍事政権による迫害のもと描き上げたデビュー作。
箱館戦争で敗残兵となり、深手を負った元幕府遊撃隊士の奥平八郎太は、実の兄・喜一郎と膝を撃たれ重傷の本多佐吉とともに、蝦夷地の深い森へと落ち延びる。犬死しても意味はないと、兄を一人逃がした八郎太であったが、残された瀕死の二人を待っていたものは人外の脅威だった。意識を失っていた八郎太が、再び目を覚ましたとき、そこにあったのは口元から顎にかけて真っ赤に血で染めた漆黒の大ヒグマであったー