出版社 : 河出書房新社
「ブルームの日」の大穴馬券や12章の「発犬伝」など、ジョイスが仕掛けた謎を精緻に読み解き、正解の翻訳を追究した著者の航跡を集大成。だれも気づかなかった細部や、未完部分の翻訳も含め、ダブリンの一日を小説に描きこんだ『ユリシーズ』全体像に迫る最良の設計図。この一冊で『ユリシーズ』が断然面白くなる!!
短篇と短篇が出会うことでそこに光が瞬き、どこからともなく思いがけない世界が浮かび上がって見えてくるー川上弘美「河童玉」、泉鏡花「外科室」など魅惑の短篇十六篇と小川洋子の解説エッセイが奏でる極上のアンソロジー。
死顔にはその仏の一生の歴史がかたまってるわけやなー死者の顔が持つ威厳と迫力に魅力され、葬儀博の実現に懸ける男・ガンめん。マスコミを巻き込み葬儀のレジャー産業化に狂奔する男・ジャッカン。戦後の大阪を舞台に、とむらい師たちの愚行と奮闘、笑いと悲しみを通じて「生」の根源を描く表題作のほか、初期野坂昭如を代表する短篇を収録。
60年安保闘争下の京都ー刑事・落合は強盗容疑者・村瀬を単独で調べ始める。特攻隊員として国家のために死を決意しながら生き残った刑事と、八年前の戦後激動期に革命の尖兵として火炎瓶闘争から殺人にもかかわった容疑者。執拗に容疑者の過去を探る刑事の胸に、いつしか奇妙な共感が…ミステリアスな展開のなかに、民衆・個人と権力、“罪と罰”の根源を問う著者の代表的大作。
リストラ直前の中年男、駆け出しのシナリオライター、離婚目前のキャリアウーマン、本命になれない30歳のOL-。一生懸命生きているけど、ちょっと不器用な人たちに起こる、小さな奇跡が連鎖して…感動の連作小説。
悲劇的な親子の再会を通して時代に翻弄される人間の苦しみを描いた『ハイファに戻って』、密入国を試みる男たちの凄惨な末路を描く『太陽の男たち』ほか、世界文学史上に不滅の光を放つ名作7篇を収録。若くして爆殺された伝説の作家による、パレスチナ問題の苛酷な真実に迫る衝撃の作品群。
長編アニメーション映画「犬王」、制作決定! (2021年公開予定) 監督:湯浅政明 脚本:野木亜紀子 キャラクター原案:松本大洋 アニメーション制作:サイエンスSARU
巡業サーカスを営む団長の父と献身的な母、天才アザラシ少年の兄、美しいシャム双子の姉、特別な力をもつ弟。愛しき“奇天烈カーニバル”は国中を騒がせ、やがて崩壊のときが来る…いまから、わが家の物語を語ろう。偏愛される伝説の名作。
人々のために祈れー「お前も、沖縄にこないか?」-世界を放浪していた有馬は、かつて世界的新興教団のブレーンだった男・田島に誘われ、沖縄の精神病院で働くことになる。医院長の霧山は元全学連のリーダーで、沖縄返還前後からシャーマン教団の乙姫さまとともに戦争で傷つき心を病んだ人々の治療を続けている。ある日、乙姫さまのもとへ「GRANDMOTHERS COUNSEL」を名乗る集団から、沖縄の「平和への祭典」開催を相談する手紙が届くのだが…。有馬、霧山、乙姫さま、島ハーフの七海とアタル、戦争PTSDを抱える患者のジェーン、宇宙ステーションで働くジムー祝祭の日、洞窟の中でグランマザーたちが祈りとともに世界の悲劇を語り出す時、彼らの運命の歯車は動き出す。私たちは、永遠の戦争の子どもだー善と悪を超えた、“終わらぬ悲劇の連鎖”と“生命の輝き”を描く傑作。
若き天才女性ヴァイオリニストの凱旋コンサート会場からこつ然と消えた、時価数十億の伝説の名器。突如容疑者と化した1800人の観衆。場内の不満が最高潮に達したとき、チャイコフスキーのあのメロディがー真犯人は?そして犯人が用いた、驚くべき犯行手口とは!?書下ろし表題作はじめ、全ページに美しい旋律が鳴り響く、珠玉の3篇。
「一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?」女の後をつける男、罪の快楽、苦しみを交換する人々、妖怪の村に迷い込んだ男、首つりロープのたれる部屋で飛び跳ねる三つのボール、無情な決断を迫られる軍人、小説のために、身近な女性の死を完全に忘れ原稿を書き上げてしまった作家ー。いま世界中で翻訳される作家の、多彩な魅力が溢れ出す13の「生」の物語。
東京・丸の内の路上に停車中の自動車内に、謎の首切断死体が発見されたー。広大な屋敷に蠢くがま蛙、久恋の女秘書、怪奇な幽霊、いわくの美女、蟇屋敷主人…。探偵作家と刑事は横浜、鎌倉、埼玉奥地、大阪へと犯人を追う。大胆なトリック、秀逸なプロット、気宇壮大なスケール。スリリングに展開する甲賀三郎の最高傑作、初の文庫化!KAWADEノスタルジック探偵・怪奇・幻想シリーズ。
女性は人類に入らないとされていた十九世紀半ばのヨーロッパで、虐げられた女性と労働者の連帯を求めて闘った革命家フローラ・トリスタン。芸術の再生を夢見て、家庭を捨てヨーロッパを捨ててひとり逆境に身をおいた。フローラの孫ゴーギャン。自由への道を求めつづけた二人の反逆者の波瀾の生涯を、異なる時空をみごとにつなぎながら壮大な物語として描いたノーベル賞作家の傑作。
数々の殺人を犯しながらも逃げ切ってきた自由人、トム・リプリー。悠々自適の生活を送る彼の前に、億万長者の家出息子フランクが現れる。少年は父親殺しの罪を犯していた。トムは自分を慕う少年とともにベルリンへと旅立つが、その地で誘拐事件に巻きこまれる…男と少年の奇妙な絆を美しく描き切る、リプリー第四の物語。改訳新版。
王、商人、僧侶、騎士、貧者、貞淑な人妻に奔放な貴婦人。多彩な人物たちが繰り広げる物語を語り続けたこの宴、そろそろお開きかと存じます…世界文学史上不滅の古典、全訳決定版、完結。
香りとともに、甘やかに立ち上るあの人との時間と記憶。シャネル、ゲラン、クリード、トム・フォード、クロエー実在の香水から喚起された36の情景を描くショートストーリー集。