出版社 : 河出書房新社
『チャンピオン・ライダー』『さよならと言ってくれ』などで、若者に絶大な人気の泉優二が、若き日々を過ごした東京下町を舞台に、はじめて書き下ろした自伝的な青春小説。学生運動などは何処かよその世界の話。金もない定職もない。夢と音楽だけを胸一杯に抱きしめて、バイクとともに走り抜けた、あの季節あの街あの仲間たち…。これだけは書いておきたかった!遥かな東京ダウンタウン・ストーリー。
端午の節句は武者人形に鯉のぼり。さあ、いよいよお江戸の夏。花火に映える両国の川開きに山王祭り、7月7日は七夕でそろそろ幽霊の噂が、八百八町の夜の闇を駆けめぐる頃…、懐かしい江戸の夏の風物詩にからむ怪事件・難事件に立向う半七・平次・佐七の三大捕物名人に加え若さま侍・顎十郎・ハイカラ右京・砂絵のセンセーも登場して、ますます好調。異色の捕物ミステリー・シリーズ第2弾。
清河八郎らによる浪士組の結成、近藤勇・芹沢鴨の抗争名高い池田屋の討入りから鳥羽伏見の敗走、そして箱館での土方歳三の壮絶な最期まで。鮮烈な興亡の歴史をたどる決定版集成。
ここに扱われている薔薇は、おおむね狂気と死との彩りであって、その香りは苦く、色彩はむしろ幻覚に近い。薔薇への偏愛がいざなう、神秘にみちた薔薇園の迷宮…秘密の花園では少年も私もこの世のものではなくなり、牧神や聖女は現実となる…妖しく甘美な色彩と芳香にひそむ死と幻想と耽美の世界に仕掛けられた薔薇の罠。名作『虚無への供物』の作者の、薔薇ミステリー集大成。妖しく薫る12の薔薇奇譚。
棟割り長屋で三食店屋物、絵以外は一切お構いなくで奔放自在に生きる北斎父娘。父の代筆もする娘・応為の飄々とした生きっぷりを江戸戯作者風才筆で活写し、文学に新しい風を吹きいれた文芸賞受賞作。
大江戸八百八町の老若男女が浮かれ立つ花の春は、市井にかくれ潜む悪の種子も芽生える季節…半七親分や銭形平次・むっつり右門・人形佐七・御宿かわせみのるいと東吾・音無し源に夢裡庵など、ご存知捕物名人たちの推理が冴えわたります。江戸の地誌・制度から四季折々の世相・風俗・人情までをいきいきと伝える異色のミステリー大江戸風物詩の誕生。
義和団事変の騒乱もようやくおさまりをみせた今世紀初頭の北京。婚約者の待つ異郷の地へと、メアリ・マッケンジーはイギリスからはるばる船で渡っていく。だが、中国での新婚生活は彼女にとって満足のいくものではなかった。やがて日露戦争が始まり、偶然に出会つた日本軍人栗浜伯爵に激しく魅了されたメアリは、道ならぬ恋におち、彼の子供を宿してしまう。イギリスに送還しようとする夫の手を逃れ、栗浜の用意した船で彼女は、見知らぬ国日本へと向かう…。第1次大戦、関東大震災、太平洋戦争と、しだいに軍国主義の傾向を強めていく暗い時代の日本で、たくましく自立していくスコットランド女性メアリと栗浜の禁じられた愛を描いた、イギリスの大ベストセラー。
1964年の出版以来、性と暴力の描写の苛烈さで話題を呼び、バージェスらに激賞された大ベストセラー。交通標識そのままの表題に従い、ブルックリンの街に入っていくと、そこでは退屈しのぎに兵隊が半殺しにされ、面白半分に娼婦が暴行され捨てられていく。破格のスタイルを使い、暴力と恐怖と途方もない笑いを描くことで、人間の純粋さと弱さを痛ましく漂わせた現代アメリカ文学の傑作。