出版社 : 河出書房新社
陰謀と裏切、戦乱と飢饉、ペストと狂気-スペイン軍支配の下、あらゆる邪悪のはびこる17世紀北イタリアを舞台に、若い恋人たちの織りなすスリリングな愛の物語。卓抜な描写力と絶妙な語り口で、時代の風俗、社会、人間を生き生きとよみがえらせ、小説を読む醍醐味を満喫させてくれる大河ロマン。
西郷隆盛と大久保利通の宿命の対決ー。近代日本の行方を決定づけた西南戦争の蜂起は、しかしあまりに無造作であった。大西郷を慕い集まった私学校生徒たちや維新以来の幕僚・桐野利秋らの奮闘を、鹿児島県令・大山綱良の悲劇を軸に描く「私学校潰滅」から、その志を継いで決起する頭山満らの「波荒し玄洋社」まで、男たちのロマンを伝える雄渾な西南戦争叙事詩。あの『人生劇場』の著者の快作。
ブルゴーニュ生れの私生児、「キキ」ことアリス・プラン。12歳でパリに出た彼女はやがてキスリングのモデルとなり、一夜にしてパリのセックス・シンボルとなる。フジタ、ピカソらエコール・ド・パリの画家たちは競ってキキを描き、愛人マン・レイ、ブラッサイは、その独特の美を写真に写し、ツァラ、デュシャンらシュルレアリストたちは、彼女の奔放さを愛しつづけた。「モンパルナスの女王」と謳われ、栄光の道を歩みながらも、キャバレーで歌い踊る、無邪気な少女でありつづけたキキ-。彼女の純粋さゆえの栄光と悲惨の生涯に、モデルでジャーナリストの新鋭モルガールが迫る、初の本格的伝記ロマン。
「純な魂が降臨したんだよ。魂の存在を誰も信じないこの時代に…」老人はニューヨークで出会った自分そっくりの青年“天使”について語った。ポー風の物語にはじまり、ルイジアナの美しい屋敷に住む一家の崩壊がゴシック的につづられるかと思えば、SF童話風に核シェルターでの一家族の残虐行為が“長靴”によって話されていく…。注目のアメリカの新人マグラアが、超自然物から精神分析までを巧みに使い、ゴシック小説を現代によみがえらせたエレガントで不気味な短篇集。米英でベストセラー。
数奇なる運命を辿った父、バーナードと日本人の妻、ケイの長男として京都に生まれた工学者タローが、波乱万丈の人生の中で垣間見た様々な人間模様、心象風景を、時には暖かな目で、時には痛烈な批評を加えて展開する異色のノンフィクション小説。
エロスにはじまり死に終わる生の根源を幻想的光景のなかに鮮烈に描きだすマンディアルグ文学の極致。淫らで猥雑な行為も妖しい官能、高度のエロティシズムとして昇華する。孤高の作家マンディアルグのエロティシズム小説集。
『一握の砂』をかかえて、青春は北へ旅立った。苦汁にみちた炭鉱での少年期、そして上京後の挫折を記憶に甦らせながら…。石川啄木の軌跡に現代の青春を重ね、透明な詩情と緊密な思索が交響する青春文学の不滅の名作。
連合赤軍事件(1972)-かつて全国の学園を席券した全共闘時代の末期、ある驚くべき事件が起こった。あれから十数年、青春の熱はさめ世紀末と呼ばれる時代に、新たな銃声が響く…。セスジも凍る、オモシロ恐怖のワンダーランド。
連合赤軍事件(1972)-かつて全国の学園を席券した全共闘時代の末期、ある驚くべき事件が起こった。あれから十数年、青春の熱はさめ世紀末と呼ばれる時代に、新たな銃声が響く…。セスジも凍る、オモシロ恐怖のワンダーランド。
美しくて、危うくて、透明な少年。人をひきつける妖精、フェアリーボーイ。まさ子は少年が好き、でも少年はまさ子の弟…。妖精のような少年に恋をした多感な少女のナイーブな心の成長物語。