出版社 : 河出書房新社
世紀末ウィーンの華、グスタフ・マーラーの妻アルマ。「絶対的ニンフ」と言われた彼女は、音楽・文学・建築・美術とあらゆる分野の芸術家たちを魅惑し、彼らの創造力を刺激しつづけた。天才音楽家マーラー、バウハウスの創設者グロピウス、劇作家・詩人のヴェルフェル、画聖クリムト、そして表現主義を代表する画家ココシュカ-彼らはアルマが存在したゆえに、その才能をみごとに開花させる。だが多くの芸術家の愛をほしいままにした彼女が、本当に求めていたものは、何か?フランスの元文化大臣、著名な女性ジャーリストのジルーが鮮烈に描く、美神アルマの苦悩と実像。
フランス大革命に19年先立つ1770年、美しく愛らしいオーストリアの王女が、わずか14歳でフランス王太子に嫁いだ。待ち受ける運命の罠を知る筈もなく…。ヴェルサイユの薔薇と咲き誇り、奔放に王国に君臨したマリー・アントワネットをめぐる宮廷の陰謀、夫ルイ16世との秘話、数々のスキャンダル、真実の恋人フェルゼン伯の登場…。しかし王制打倒を叫ぶ革命の波は既にうち寄せていた。
1789年7月14日、蜂起した市民はバスチーユ監獄を解放、ヴェルサイユに向けて行進をはじめた。そして、それは栄華をきわめたマリー・アントワネットの没落の始まりだった。フェルゼン伯や友人の、必死の救出作戦もむなしく…。わずか38歳で断頭台に散った悲劇の王妃の波瀾の生涯を受惜こめて描きながら、フランス大革命の光と影の真相に迫る、歴史伝記文学の巨匠の世界的な代表傑作。
プルースト、ワイルド、ミュシャ…。あらゆる芸術家を魅了した大女優サラ・ベルナール。彼女は「神秘の窓」と謳われたひとみと「黄金の声」で、「フェードル」から「椿姫」まであらゆる役をこなし、世紀末からベル・エポックまで長期にわたり、世界的な名声を欲しいままにした。人並みはずれた豪奢な生活、そして恋愛遍歴-スキャンダラスな伝説を身にまとい、不幸なき栄光の道をひたすら走りつづけた彼女の本当の素顔とは?サラの華麗な生涯にサガンの熱い夢を託した、架空の往復書簡による伝記ロマン。
若き血に燃ゆる青春の日々に、いつしか忍び寄る戦争の影…。ふるき良き三田の丘や銀座の風俗を、愛惜をこめて描く表題作のほかに人間性の意外な謎を推理する7篇をおさめる、ミステリー界の巨匠の最新傑作集。
橋のまんなかに立ち、川面にむかってタクトを振っていた叔父-。あの人は、たしかに、〈天のある人〉だった。見なれた、なにげない風景のなかから、人間の奥深い世界がほのみえてくる…。“ことばの錬金術師”池内紀、はじめての小説集。
夢と現実、太古と現代の境いを超えて、幽冥の宇宙をただよいさ迷う女と男…。寄る返ない悲しみを抱えながら、いまを生きる女の半生の性を「古事記」「老子」の世界を通して、生きとし生けるものの根源的な寂寥に重ね映す著者の代表作。
ロサンジェルスにやってきた、流れ者のジェリー・ケルズは、ある組織のボスに呼ばれ、賭博船の用心棒になってくれと頼まれる…。“不況と混乱の時代”、“ギャング・エイジ”と呼ばれる30年代のロサンジェルスで、政界とつながる組織の陰謀にまきこまれる主人公は、したたかにハードに、反撃にでる。チャンドラーが“超ハードボイルド”と評し、ビル・プロンジーニやジョー・ゴアズも“『裏切りの街』はまさにハードボイルドだ”と絶賛した極めつきの名作。ポール・ケイン唯一の長篇。
国際サスペンス小説の一級品!レニングラードからヘルシンキへ向かっていた国際列車グリーン・トレインは、国境付近で突然停止を命じられた…運命のいたずらで国際紛争の渦中に放りこまれた人間の行動と心理を巧みに描いて絶賛を博した、国際サスペンス小説の傑作。待望の邦訳。