出版社 : 河出書房新社
桜咲く4月、晴れて高校入学…。だけどさっそく志望大学の選択、受験のための勉強スケジュール。それでも高校生活はそれだけではない。…女生徒との出逢い、初恋、両親との葛藤、登校拒否、将来への悩み、社会への目覚め、早すぎる絶望、そして反抗…。人生へのスタートラインにならびながら、不安の迷路をさまよう少年少女の群像を、芥川賞作家が愛惜をこめて描き出す評判の自伝的青春小説。
冬の午後にさす一条の斜めの光-。大伽藍にひびく重厚なしらべのように光が胸をふたぐ。孤高の詩人エミリー・ディキンスンをモデルにデュラスがつづる、愛することと書くこと、そしてしのびよる死をめぐる物語。最愛の息子への“遺書”とも思えるデュラスの最新ロマン。
本書は映画「ビバ・ラ・ビ」をノベライズしたものである。「ビバ・ラ・ビ」はひとつのミステリーであり、夢である。「ビバ・ラ・ビ」のスペースは晩秋から冬にかけてのパリとその郊外、タイムは私たちの生きている今…。スペースとタイムの設定はあくまで日常の域-しかし、この作品全体の印象はきわめて夢幻的だ。
シカゴの一匹狼、私立探偵ポール・パインは、ある名家の老女主人に呼びつけられた。娘が脅迫されているのでカタをつけてくれというのだ。事情を詳しく説明もせず、高飛車にいう老女に、パインは一度は断わる。だが翌日の夜、前任者の探偵ジェルコの妻から電話がかかってきて…。ハメット=チャンドラーの遺産を継承し、熱狂的なファンをもつエヴァンスが綿密なプロットと味わい深い文体で綴る、正統派ハードボイルドの傑作。ポール・パインの栄光シリーズ完結篇。
パーマー、ナブラチロワ、ボルグ、プロスト等のスーパースターが活躍するスポーツ界をモデルに、華やかな舞台の裏にうずまく愛憎、欲望、頽廃を大胆に描きながら、スポーツにビジネスを持ちこんだ偉大な男の生涯を活写して、大きな話題を呼んだ、迫真の大型ノンフィクション・ノヴェル。
ロシアはアシュウィールドにとって禁じられた国だった。彼は以前、情報機関に属していたからだった。そんな彼がある日、元の同僚から1か月レニングラードに行かないかと誘いを受けた。語学研修コースに参加するだけでいいというのだが…。偉大なロシア文学と革命の地である、古都レニングラードの夏を舞台にくりひろげられる異色のスパイ・ミステリー。「プルトー・クライム賞」受賞作。
イギリスはホームズを生んだ国だけあって、シャーロッキアンも数多く、そうそうたるメンバーが顔をそろえている。たとえば本書に登場する、「熊のプーサン」のA・A・ミルン、推理作家のドロシー・セイヤーズ、ディクスン・カーなどもそうだ。彼らはホームズ物語と作者ドイルをめぐって蘊蓄を傾け、多彩な話題をくりひろげる。本書はその有名なエッセイを集めた古典的なアンソロジーである。
ロサンゼルスの私立探偵ジェイコブ・アッシュはシルヴィアという挙動不審な女性の依頼で、彼女のフィアンセ、ホフマンの素子調査に乗りだす。彼は埋立て地の技師なのだが、政治家とも親しいらしい。また特殊な趣味も持っていることがわかる。ある日シルヴィアが車にはねられる…。ハメット=チャンドラーの伝統を引き継ぎながらも独自の手法で現代を描きつづけているユニークなハードボイルド作家、アーサー・ライアンズの傑作。
「被告を無期懲役の刑に処する」-無実の殺人罪を問われた25歳のやくざパピヨンは、このとき脱獄を心に誓った。脱獄して、自分を罪に落とし入れたやつらに復讐するのだ…。仏領ギアナの流刑地に送られたパピヨンは、寝ても覚めても脱走を考えた。その機会は意外に早くおとずれた。流刑地に来て37日目に、彼は仲間2人とともに、小さなカヌーで、自由を求めて海にのりだした…。
11ヵ月にわたる逃亡生活はみじめにも終りを告げ、パピヨンはふたたび仏領ギアナの徒刑場に送られた。脱走罪による2年の重禁錮刑。孤島に設けられた、牢獄のなかのもう一つの牢獄、〈人食い牢〉と呼ばれ恐れられている苛酷な独房。パピヨンは耐え、2年後出所する。脱走への意欲はいささかも衰えていない。だが4ヵ月かかって準備した次の脱走計画は未遂に終り、またもや重禁錮監獄に…。
パピヨン、35歳。度重なる挫折の後、かつてのドレフュスの流刑地、悪魔島に送られた彼は、9回目の脱走を試みる。ココ椰子の実をつめた袋に身を托して、海にとびこむのだ。7つ目ごとに押し寄せる大波が引いていくとき、この袋を沖合はるかまで運んでくれる。あとは潮と風まかせ。数日間の漂流で、大陸沿岸のどこかにたどりつけるだろう。一か八かの賭けに見えたが、彼には成算があった。
数奇な運命をたどった春日局。家光を巡る大奥の女たちの抗争の中で美しく生きた四代将軍家綱の生母お楽の方。2人の華やかな生涯を描く歴史ドラマ!’89年NHK大河ドラマの主役たち。