小説むすび | 出版社 : 海越出版社

雨季のビーチで起こった再生の物語。そのとき、憂鬱な気分と徒労感だけが僕の心にあった。期待の新人作家による書き下ろしノベル。

最上の音を求め幕末は維新へ流れていったか。天賦の耳をもつ加賀藩士が、尺八と愛妻を添い、長い旅の末にたどりついた圧倒的境地。

卓越した政治・経済理論を持ち時の将軍・吉宗をしのぐ庶民の人気を集めた尾張七代藩主徳川宗春の痛快人生を描く。

物語は主にマネーファ（野生の美しい人妻）とデニス（天才青年詩人）との嵐の如き恋をめぐって展開されているが、そこには、熱愛する妻の冷たい態度に日夜苦悩を続けるマネーファの夫アリム、その弟で義姉にひそかな愛情をよせるムスタファ、鋭い知恵と粗暴なユーモア性に富む忘れがたい存在のセヴェリヤン爺さんはじめヴォルガを中心に、農耕と漁獲を生業とする純朴な村人たち他、１９３０年代ソビエト社会の各階層を代表する人物が網羅された多彩な人生絵巻をくりひろげている。

衝撃の新人デビュー。この世のメランコリーを鎮めるセックスと暴力。生きながら死んで死にながら生きよ。『男娼』のアルバイトで自由を喫する学習塾講師の夜と昼の放浪譜。

痛快純文学。青春の快楽と男女の嘘を手練鮮やかに描く。テレホンクラブで出会った萌子、学習塾の恵子、年上の真弓さん、『男娼』買いの京子たちとの秘められた交歓世界。

力作の完結編。男女の交わりを軸に現代の恥部、社会構造に鋭く迫る。死の季節と、突然の失職。逼迫した山根が、塾の副館長を揺さぶる。至上の時よ、流れろ。

和洋折衷式神門建設の翳で次々起こる謀殺事件-。廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた幕末、明治初頭にあって、古い時代の終焉を見送る人々に残る美しい魂と、殺陣、謎解きスリルを描く。

性と、暴力と、陰謀に満ち溢れた言葉の中で俺たちは生きている。震撼をよぶ、あたらしい文学の出現。新進気鋭の書き下ろし作品。表題他、「花束」収録。

誰だってこんな恋に巡り合って、大人になるの。名古屋を走る地下鉄・東山線を舞台にした彼と彼女の物語。

諸国に名を轟かせる桑名・斎藤道場の四天王。幕末という名の時にのみ込まれ、翻弄される四剣士と女の生き様を描く。書き下ろし長編小説。

凋落・明の援軍要請を受けた江戸幕府は鎖国令の中、苦肉の策として浪人数百人を鄭成功に差し向けることに-。日中混血の英雄がサムライとともにいよいよオランダから台湾を奪取。「朱帆」に続く、鄭成功一代記の後半生。

時代の変遷に翻弄される姉と弟。哀しいまでの姉弟愛と絆に哭く。書き下ろし長編小説。

著者が体験した“二重人格の日々”を綴ったおどろくべき手記。一通の手紙で知った「もう一人の私」、知らない間に次々起こる奇妙な出来事。

ぼくを呼ぶ声がきこえるだろ？軽やかで、せつない新世代の心情を描いた青春文学の傑作誕生。最後の夏休み、ぼくはライオンを助け出すために、ＧＦの五月を伴い、真夜中の動物園に忍び込んだ…。ニューエイジの心情を描く意欲的長編。

ロエベデザイナーを目指す夏美、２５歳-。大好きな取引先担当者・速水４４歳と歩くスペインの街並…。でも、“私、新しい生き方を見つけた”

浪華の偏窟な読本作家・上田秋成と、弁舌流暢、結いまげも伊達な本居宣長の大問答。論争の行方はいかに。書き下ろし文芸大作。

汝は汝を知る人のために死ねるか？「国の大事」として太子の命を受けた荊軻の苦悩、皇帝暗殺への道すじを周到な心理描写でたどる書下ろし長編小説。