出版社 : 産業編集センター
母への深く激しい怒りと憎しみから、気づいたときには食べることをやめていた。すべてが、どうでもよかったのだ。 私を救い上げてくれたのは、西丹沢の厳しくも美しい自然と、確かな手応えをもたらす土だった。 精一杯にならなければ生きていけない農的暮らしは素晴らしかった。 そんな中でもいつも、母のことが重く引っかかっていた。一生このまま、母を憎んだまま、私は生きていくのか……。 苦しみの果てに彼女が見いだした一筋の光とは。 第三回「暮らしの小説大賞」受賞作。
国家最高位にあり、蜂蜜に封じ込まれた“時”を読む能力を持つ、利き蜜師の物語。 豊かな花場を持つ村・カガミノ。 蜂蜜の専門家であり術師である利き蜜師・仙道の平穏な日々は、 村に迷い込んだ一匹の銀蜂に気づいたことで一変する。 東の地で悪しき風が吹き始めている……。 仙道は幼い弟子・まゆを連れてカガミノを出るが……。 迫力のスケールで描かれる傑作ファンタジー。第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞受賞作。 序章 利き蜜師 一章 楽園の雫 二章 再会の時 三章 過去への扉 四章 金の守り蜂 五章 丘の上の学園 六章 金色の蜜の糸 七章 時を渡るもの 八章 そして、帰る場所 終章 春の月の夜に
眞子(8歳)とかず(86歳)はひ孫と曾祖母で大の仲良しだった。 ひいばあちゃんと手紙交換をしたい眞子は手紙を書くが、何日待っても返事はこなくて。 手紙交換によって明らかにされるひいばあちゃんの秘密とは……。 優しさと純粋さに心打たれる傑作長編小説。
22歳の美也子は津軽塗職人の父と、デイトレーダーをしているオネエの弟との三人暮らし。母は、貧乏暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かして出て行った。美也子はスーパーのレジ係の傍ら、家業の津軽塗を手伝っていたが、元来の内向的な性格と極度の人見知りに加え、クレーマーに苛まれてとうとうスーパーを辞める。しばらくの間、充実した無職ライフを謳歌していたが、やがて津軽塗の世界に本格的に入ることを決めた。50回ほども塗りと研ぎを繰り返す津軽塗。一人でこつこつと行う手仕事は美也子の性に合っていて、その毎日に張りを与え始める。父のもとで下積みをしながら、美也子は少しずつ腕を上げていき、弟の勧めで、オランダで開催される工芸品展に打って出ることに。第1回暮らしの小説大賞受賞作!
3年間で100万ポンド稼いだ者だけに全ての遺産を譲る…。前代未聞の遺言により、熾烈な金儲けレースを始めた息子たち。だが事態は思わぬ方向へと展開してゆく。
莫大な遺産は一体誰の手に?骨肉の愛憎とむきだしの闘争の末、彼らがたどり着いた終着点は?欲望うずまく現代社会で、人間の真の幸せとは何か、を問いかける感動の後編。