出版社 : 祥伝社
侍火消にして府下十傑に数えられる鳥越新之助。新庄の麒麟児と謳われた“ぼろ鳶組”頭取並は、闇に堕ちたのか?豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配された新之助は、一家の娘を人質に逃走を続け、火盗改、江戸の全火消の包囲を次々と打ち破っていく。一方、幕府の命で動きを封じられたぼろ鳶組頭取松永源吾は、仲間のため、己のため、決意を胸に立ち上がる。書下ろし長編時代小説。
大名旗本から切腹の介錯を請け負って糊口を凌ぐ居合道場の道場主狩谷桑兵衛は、介錯した若党の仲間が再び商家に押し入って盗みと殺しを働いた件で、御目付筋より探索を依頼される。凄惨な殺しの跡で目にしたのは、一瞬で喉を掻き斬られた傷口だった。桑兵衛は、いずれ秘剣・鬼哭の剣を継ぐ嫡男の唐十郎とともに、物悲しい笛の音が鳴るという剣の遣い手を追う。野晒唐十郎の若き日と生前の父の指南を描く、新シリーズ!書下ろし長編時代小説。
十三歳になった吉法師は元服した。師沢彦宗恩は長寿で天下を手にするという意味を込め、織田三郎信長と名付ける。さらに、美濃の蝮斎藤利政の娘帰蝶を信長の正室に迎え、着々と尾張統一の足場を固めていく。一方、信長は初めて手にした鉄砲に夢中になり、一万人を擁する鉄砲隊設立の準備を極秘裡に始める。そんな中、今川義元の軍師、太原崇孚雪斎死去の噂が…。驚愕の歴史大河第二弾。
松坂に雌伏し、憎しみの刃を研ぎ澄ます廣澤和之進。その切っ先が狙う宿敵ー江戸の浮世絵師宗次に否応なく政争の渦が襲い掛かる。謎の刺客は、母と敬する長屋の住人チヨの娘吾子をも脅かした。さらに四代様(家綱)容態急変の報に接し登城すると、思いもよらぬ事態に発展、さしもの宗次も慄然とする。最愛の女美雪、そして己を慕う「妹」のため、宗次は迎撃の剣を握る!長編時代小説。
ノワールな青春ってどうよ? 大学卒業後2年勤めた企業を辞めて警視庁に奉職。 元高校球児の新米巡査・坂下浩介、27歳、今日もヤバすぎる街・歌舞伎町を警邏中ーー “もしもまた、新宿のどこかで俺を見かけることがあっても、決して声をかけないでくれ" “やつはヤクザで、おまえは警官なんだ。おまえは警官を辞めれば済むが、やつらにはそんな逃げ道はないんだよ" ゴールデン街や区役所通りが近い、ここ《花園裏交番》は、配置人員と酒がらみのトラブルの多さから「裏ジャンボ交番」と呼ばれている。新米巡査・坂下浩介は、重森班長の下、ヤクザになったかつての恩師やビッグ・ママと恐れられる新宿署捜査一課の美人警部補に揉まれながら、欲望に忠実に生きる人間たちに対峙するーー。
上流域での豪雨で荒川の決壊が懸念される真夏の金曜日、千葉と埼玉で竜巻が発生、変電所を襲った。結果、二十三区を含む広範な地域が停電、JRや地下鉄は運休を決め、帰宅困難者が街に溢れることに。止まない雨に刻一刻と洪水の危険性が高まる中、首相と政策顧問団は党の公約に拘り、準備していた防災計画を場当たり的に変更していく。やがて荒川が決壊、墨田区などが水没。顧問団は危機管理監らに責任を被せる形で更迭し保身に走り始める。そしてその悪魔の矛先はついに、たった一人残された内閣府の防災担当企画官・文月祐美に向かう!命懸けで持ち場を死守する人々を守る、もう一つの闘いの行方は!?
北町奉行所定町廻り同心・渋井鬼三次の息子・良一郎が幼馴染みの小春と失踪した。書き置きから大坂への欠け落ちが疑われた。腕利きの文六親分の下ッ引をつとめる良一郎が何故?“鬼しぶ”と綽名される友の心中を察した市兵衛は、若き日、算盤を学んだ大坂へ。二人の捜索中、市兵衛は良一郎が探っていた、大坂に本店を持つ騙りの噂が絶えない両替商を見つける…。
座敷牢暮らしももうすぐ三年になろうかという、本所の無頼旗本・勝小吉。最近は悪友の早川又四郎にすら愛想を尽かされている。のちに勝海舟となる息子の麟太郎の笑顔に時には反省もするが、ぶっかけ飯しか食わない男や切腹する犬などの怪事件を聞くや、事件解決の手柄を独り占めしようと…抜群の推理力と笑えるほどの駄目さ加減が心をほぐす痛快時代推理小説。
年が明けて文政六年、北紺屋町の料理屋“はないちもんめ”で「怪談噺の会」が催された。爽やかな二枚目で弁も立つ戯作者による季節外れの人魚の怪談は、店の大女将お紋、美人女将お市、見習い娘お花が供する温かな料理の甲斐もあって盛況のうちに終わる。しかし数日後、両国で揚がった心中と思しき男女の水死体には右腕がなく、件の怪談を彷彿させた…。
闇夜に煌めく白き刃ー隠密廻り同心結城龍三郎の家を黒い影が襲う!辛くも四人の賊を退けたが、残された直刀から、忍びの者による襲撃と睨む。若い女性の神隠し事件で、目白の寺を探り始めた矢先のことだった。なぜ龍三郎の命を狙うのか?神隠しとの関わりは?龍三郎は探索を進めるが、恋女房のお藤を人質にとられ…。幕府を牛耳る巨悪と対峙する!
夜の海で船火事が発生した。炎はたちまち広がり、千石船を呑み込んだ。助かった者はなく、相州屋の元寄子・庄造もその船に乗っていた。しかし、火事には不審な点が。庄造と祝言を挙げる予定だったお栄の様子もおかしい。探索に乗り出した忠吾郎らだったが、そこには普請奉行・財津弾之丞の影がちらつき…。驚愕の顛末、そして船火事に絡む大きな陰謀とはー?
廻り髪結いの新次郎は切れ長の目だがきつい印象はない。細面で鼻筋が通り、眉も弓なりの優男風だ。人気の女形に似ているらしい。得意先の薬種屋・竹屋を訪ねると、主人は小町番付で娘のお鈴が東の小結になったのを無邪気に喜んでいた。ところが、お鈴は何者かに襲われ顔に傷を負ってしまう。番付が囚の凶行と考えた新次郎が真相を探るや、想像を超えた悪行が…。
美濃の僧沢彦宗恩は那古野城の平手政秀の招きで尾張を訪ねた。政秀は織田弾正忠家三代に仕える家老で、当主信秀の子吉法師の傅役でもある。吉法師は神童との声もあったが癇癖が強すぎたため、沢彦に師を懇願したのだ。彼の聡明さに触れた沢彦は依頼を受ける。だが、沢彦は臨済宗妙心寺派の最高位をつとめた美濃の宝である。乱世の最中、様々な嫌疑をかけられ…。
陸進不動産の金庫から七百万円が忽然と消えた。責任を問われ、経理課の酒巻伸次と御木本平吉が解雇される。金を盗むことができたのは、酒巻含め経理課の六人のみ。納得いかない酒巻は真犯人を突き止めるべく、巧妙な罠を仕掛けるがー(「白い悲鳴」)。事件の陰に潜む哀しい人間模様を描いた四篇を収録。殺人、愛憎、裏切り、復讐…意表を突くどんでん返しのミステリー集。
「この子を熊本まで連れて行って」元高校教師の“片原修一”のもとに、突然現れたド派手なキャバ嬢・由希と小学生のあすか。熊本にはあすかの母で修一のかつての教え子・凛子が入院しているという。北海道から車であすかを送り届けることにした修一。だが、彼には重大な秘密があった。さらに彼らを追う人物も現れ…。熊本まで二千キロ。前途多難な旅の行方は?
警察署内で闇金融を営み、上司その他を顎で使い、「悪女」の尊称を奉られているのが、中央南署の組対係黒須路子である。彼女は同期の藤堂らと、賭博現場のマンション急襲に成功。やくざを多数逮捕するとともに、麻薬などを差し押さえる。だが、その帰途、押収品を載せた輸送車が車ごと奪われた。戦利品のなかにとてつもない“地雷”があったのだ。命を狙われた路子の運命は?
傷痕は二つ、鮮やかな玄人の手口ー。鉄砲洲で遊び人らしき二人が殺された。下手人と思しき宗匠頭巾の男は、茶問屋が過って川で溺死した件でも目撃されていた。そんな折、風烈廻り与力青柳剣一郎は、凄腕の殺し屋に命を狙われる旗本次男の護衛を頼まれた。殺害を頼むほど恨まれた心当たりを問うが、次男は黙して語らず…。すると、探索を進める剣一郎に襲撃の刃が!
北町奉行所臨時廻り同心の鷲津軍兵衛と加曾利孫四郎らは、押込み一味の塒に踏み込むも、最も凶暴な男を逃してしまう。己の失態で男を捕り逃がしたと落ち込む下っ引の福次郎は、煮売り酒屋に立ち寄り、お光という年上の酌婦と出会う。互いの素性を知らずに惹かれ合うふたりー。だが、そんなふたりに暗い影が迫る!軍兵衛と福次郎はお光を取り巻く闇と対峙する。
“聖なる夜、銀世界のリゾートに日本初のカジノがオープン”のはずが、絢爛豪華な開所式の最中に巨大地震が発生、雪崩で世界のVIPを含む一万五千人が孤立した。壊滅した施設から主賓の首相がヘリで逃亡(?)する中、立ち上がったのは、部下の泉田準一郎と共に居合わせた警視庁の薬師寺涼子警視。停電に余震、変死体にカジノ強盗まで現れるも辛うじてパニックを回避する。だがそこへ、謎の“白い怪物”の大群が押し寄せて…!?「ドラキュラもよけて通る」と謳われるお涼、雪国のトバク場で、オールナイトの灼熱バトル!