出版社 : 祥伝社
19歳の冴子の運命は、上京直後、親切な男に声をかけられたことから大きく変わった。性のテクニックを仕込まれる奇妙な同棲生活。やがて、男に言われるまま美容整形を受け、見違えるほどの美女に変身した冴子は、銀座の一流クラブへ送り込まれた…。意外な殺人事件に発展する「腐爛死体の場合は」をはじめ、事件の裏に蠢く男と女の愛欲を抉る傑作推理。
日本の最南端、琉球諸島の小島に美しい女子大生が訪れた直後ー。波涛悠は、釣りに出掛けた父とリゾート開発業者が、巨大な鮫に食われる悲劇を目撃し、愕然とした。なぜ2人が海中に引きずり込まれ、鮫の餌食になったのか?一滴の血の臭いでもない限り、鮫はけっして人を襲わない。やがて悠の心に一つの疑惑が芽生えた…。長編冒険小説。
ニューヨークの空港に着いた47歳の福岡竜男は、入国審査官を前に青ざめていた。カタコトの英語しか話せない彼にとって、海外赴任は拷問以外の何ものでもなかった。が、社の命令である。最低3年間は頑張ろう…。これが悲劇の始まりだった。はたして英語ノイローゼに陥り、半年で帰国した彼を待っていたのは、アメリカ人が絡んだ前代未聞の連続殺人だった…。長編本格推理小説。
都立高校2年、惣菜天ぷら屋の息子、北村章。野球部投手ではあるが、年上の証券会社OLを愛人に持ち、汗と涙の球児像とはほど遠い毎日。「青春とはセックスだ」と叫ぶノイローゼ教師、不倫の恋に懊悩する女教師など、彼を取り巻くあまりにも人間的過ぎる男、女。愛人の妊娠告白、彼を慕う女子下級生の自殺未遂、蒸発した父との再会。そして男対男の対決…。激しく流れる時の果てに彼が見たものは…。誰にでもあった、けっして美しくはなかった青春の日々を描く著者会心の一作。
郁子は、雅人からのプロポーズを受け、幸福に酔っていた。ダイヤモンドの輝き。シャンペンを抜く音。二人だけの記念すべき甘い夜である。だが、それは雅人の前に現われた麻紀の存在によって崩壊した。彼女はすべての女性が密かに渇望する奔放な愛と、純粋な愛を同時にあわせ持った堕天使のごとき女だったのである…。
日本初の海上保安庁女艇長として辣腕をふるう小麦色美人沖田澪子に、政府から緊急秘命が下った。機関砲搭載の特捜艇「しおかぜ丸」の舵を取り、海自・海保の手出しできない超極秘任務に就くことになったのだ。北はオホーツク海から遠くペルシャ湾まで、国際紛争解決のため花の生命を賭けて航海に。胸ときめく独身官僚洞内の指示のもと、部下23人を従えて、いざ危険海域へ。『夢みる婦警』シリーズに続き、ベストセラー作家が贈る本邦初『海上保安官』シリーズ第二弾。
覚醒した“蛇御子”を胎内に宿し、殺人鬼と化した美少女花房詩央里を救うべく、不死身の男葛城乱は九頭の蛇巫子に協力を求めた。一方、眠れる母優里子を蘇生させるため超能力者狩りを続ける双子の弟花房優希夫は、強大な生命力を貪る思念中毒に陥り“光明の方舟”教団の信者16人を血の儀式に捧げた。箱根山中の地下祭殿で繰り広げられる乱、詩央里、優希夫の凄絶な闘いと運命…。危険な魅力を満載した〈アーバン・ユニコーンシリーズ〉絶頂の完結編。
「姉を、助けて」新進作家霞田志郎は、ファンの女子高生水沢美智子に、失踪した姉圭子の捜索を依頼された。姉妹の父正一は、中国陶磁蒐集で知られ、悲劇の武将岳飛愛用の“上海香炉”が自慢だった。志郎が水沢家を訪れた夜、香炉の飾られた寝室で、正一の愛人で美人タレント高岡聖子が殺された。失踪と殺人。この二つの事件に関連はあるのか?志郎は妹千鶴と謎に迫るが、やがて第二の殺人が…。本格推理界期待の新鋭が贈る知的興趣あふれる問題作。
反政府ゲリラ新人民軍と軍部が対立するルソン島北部で、商社角紅が計画する海洋リゾートを視察中の日本大使と社長が誘拐された。ゲリラに加わる元赤軍兵士の伝えた要求は、計画の即刻中止と1億ドル。角紅は現地を牛耳る比陸軍のイリガン少将に、独自の捜索を依頼。一方、“テロリストとは交渉せず”の方針を打ち出した日本政府首脳は、苦悩の末、外務省領事作戦部〈F2〉所属の制圧攻撃機〈ブルドッグ〉に出動を命じた。密かに情報収集を始めた飛鳥機長は、リゾート計画の難航が、なぜか伏せられていることを掴むが…。台風吹き荒ぶ南海に待ち受ける死と謀略。最強兵器〈ブルドッグ〉と生命知らずの乗組員たちの活躍を描く、白熱の冒険アクション第2弾。
〈お・ま・え・を・こ・ろ・ちゅ〉奇妙な電話を受けた直後、悪徳不動産屋猪野直哉は、何者かに惨殺された。捜査を開始した“死神”の異名を持つ刑事冷泉は、かつて猪野が仲間3人と数多の悪業を働き、そのうち2人が相次いで変死していた事実を掴んだ。やがて残る1人、暴力団組長島田へも〈こ・ろ・ちゅ〉の予告電話が。犯行はこの4人組への復讐だと推理した冷泉は、彼らに嬲られ失踪した遺伝子学者香川を追ううち、島根の山中で、人か獣か判別不能の巨大な足跡を発見したが、直後、屈強な男たちに取り囲まれた。はたして冷泉の運命は?謎の巨足の正体とは…。空前の着想と圧倒的迫力で堂々「黒豹小説賞」を受賞した超弩級新人のサスペンス巨編ここに登場。
「奴らをこの手で撃ち殺す」-その一念で警視庁を辞した切れ者の元警部山城は、密かに裏社会の悪党20名からなる賞金稼ぎを編成した。賞金は6億。同じ目的の元女刑事荒川由里が、証券会社支店長から貢がせた金である。標的は山城の誇りをズタズタにした悪の天才狼たち。ここに総資金20億と山城の全智全能をかけた極秘追撃作戦が開始された。一方、ハリウッド・スターの名を犯罪コードネームにした狼たちは、北海道富良野で束の間の平和にひたっていた。だが暴力団旭道会が動き出し、さらに、潜伏先を察知した山城の包囲網が狭められ、狼たちに死が迫りつつあった…。迫力、面白さを満載して贈る人気シリーズ第3弾。
悪の天才狼たちは、道警と自衛隊までをも巻き込んだ山城によって、完璧な包囲網を敷かれ絶対絶命の危機を迎えていた。圧倒的人員と武器で狼たちの抹殺がいままさに開始されようとしたとき、抜け駆けを図った賞金稼ぎによって計画は水泡に帰し、熾烈な銃撃戦の幕が切って下ろされた。四面楚歌の中、狼たちは一度脱出に成功するが、修羅と化した山城はアジトを提供した夫婦を人質に取り、その生命と引き換えに無条件降伏を迫った…。万策尽きた狼たちの反撃と脱出はなるか?雄大な大雪山を舞台に繰り広げられる白熱のバイオレンス・サスペンス。異才が渾身の力を込めて放つ傑作ここに誕生。
元和元年(1615)、大坂夏の陣前夜、徳川家康暗殺を企てた男がいた。将軍家茶道師範・古田織部-大名であり,千利休亡き後,織部焼や多窓形式の茶室建築に代表される、日本人離れした独創性で一世を風靡した一流茶人が、なぜ72歳の老境に達し、そのような暴挙に出たのか?事変後、古田家のみならず織部焼までも歴史から抹殺された事実は何を意味するのか?現代の殺人に端を発し、やがて400年前の謎が解き明かされる…。広範緻密な資料を下敷きに大胆な推理で新分野に挑む、実力派の歴史推理傑作。