出版社 : 筑摩書房
文豪・阿川弘之が残した昭和の極上エンタメ小説!自動車解体業=通称・ぽんこつ屋の青年と御嬢さん女子大学生が出会った。生活環境も考え方も違う二人がいつしか心惹かれてゆく。はたしてゴールやいかに?昭和30年代を舞台に交通戦争、女子大学生の急増、戦争の影など、昭和の世相や風俗を背景に、夢と希望を追い求める二人のラブストーリー!
木星に探査に向かったきり帰らぬ友人を追って火星から天空船で飛び立った青年は、彼の星で驚くべき事態に遭遇する(「空族館」)。第一短篇集『最終戦争』に、未発表作「空族館」と1960年代から70年代にかけて雑誌に掲載された単行本未収録短篇14作を増補。日本SFに多大な影響を与えた伝説的作家の想像力を堪能できる、文庫オリジナルのアンソロジー。
野々宮杏子は、三原商事の社長夫人である姉から、義弟の三原三郎との政略的な結婚を持ちかけられる。しかし、利発な彼女は恋人がいると嘘をつき、三郎と協力してこの話が実現しないよう奔走する。それぞれに別の結婚話が動き出す頃、いつの間にか二人はお互いに惹かれ合っていることに気づいてしまう…。読み始めたら止まらない、胸ときめく昭和のラブコメディ!
バーと競馬場に入りびたり、ろくに仕事もしない史上最低の私立探偵ニック・ビレーンのもとに、死んだはずの作家セリーヌを探してくれという依頼が来る。早速調査に乗り出すビレーンだが、それを皮切りに、いくつもの奇妙な事件に巻き込まれていく。死神、浮気妻、宇宙人等が入り乱れ、物語は佳境に突入する。伝説的カルト作家の遺作にして怪作探偵小説が復刊。
敗戦後の日本にやってきた“自由”という価値観は、人々の暮らしや風俗、男女の恋愛観までも一転させてしまう。それは、しっかり者の妻とぐうたら亭主の夫婦にもこれまでの仲を揺るがすような大喧嘩をもたらす…。戦後の東京を舞台にある夫婦のドタバタ劇を軽妙な語り口で描きながら、痛烈な社会風刺も込めた獅子文六のあらゆる魅力が凝縮した代表作が遂に復刊!
ハルマゲドン勃発!睾丸破壊、性別転換、猥褻目的限定遠距離干渉、瞬間死刑、カレーの辛さ調節、無差別強制自傷行為…等々の多彩な能力を持つ「魔人」を擁する「生徒会」と「番長グループ」の生き残りをかけた戦いがついにはじまったのだ。そこに無限の攻撃力と無限の防御力を持つ第三勢力『転校生』も加わって、事態はさらに混迷を深めていくー。
ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。驚いたウィリングは男の後を追ってパーティー開催中の家に乗り込むが、その目の前で殺人事件が…。被害者は死に際に「鳴く鳥がいなかった」という謎の言葉を残していた。発端の意外性と謎解きの興味、サスペンス横溢の本格ミステリ。
会社倒産で職を失った六助と千鶴子。他人に使われるのはもう懲り懲り。そこで思いついたのが、美味しいカレーライスの店。若い二人は、開業の夢を実現できるのやら?そして恋の行方は?邪魔する奴もいれば、助けてくれる人もいる。夢と希望のスパイスがたっぷり詰まった、極上エンタメ小説!食通で知られた、文豪・阿川弘之が腕を振るった傑作!
気分屋で無気力な父親が、セキコは大嫌いだった。彼がいる家にはいたくない。塾の宿題は重く、母親はうざく、妹はテキトー。1週間以上ある長い盆休みをいったいどう過ごせばいいのか。怒れる中学3年生のひと夏を描く表題作のほか、セキコの同級生いつみの物語「サバイブ」を収録。14歳の目から見た不穏な日常から、大人と子供それぞれの事情と心情が浮かび上がる。
「でもわたしは美しい死体にはなりたくない」-“美しき死”へ少女たちを塗りこめ、観賞用の素材に変えようとするこの世界のあまたの罠から逃れるために、窓の外へと飛びだした“わたし”の行く末はいかにー。ことばの力で生きのびていく少女たちのためのもうひとつの“聖書”。著者の代表作にして性と生と聖をめぐる少女小説の傑作が、あらたに書き下ろされた外伝「声のおとずれ」を伴って、いま蘇る!
未発表の珠玉作品「美しい手」「“青”を売るお店」をはじめとする名短篇15篇を厳選。男たちが商店街でくりひろげる「日の出通り商店街いきいきデー」、椰子の実を40年頭上にのせる高僧の話「ココナッツ・クラッシュ」、ロックファンならずとも感涙の「ねたのよい」、親子の情愛を描く「お父さんのバックドロップ」など笑いとホラーと抒情の傑作集!
隣国と長い戦争を続けるハルラント聖王国の最西端“西ノ庄”の少女エヤアルは5歳のとき、魔法を暴走させて災厄を招き“炎の鳥”に魔法を奪われる。8年後、徴兵吏によって砦に連行された彼女の中で不思議な力が目を覚ました。公明正大な国王ペリフェ3世、その弟で火炎神殿騎士の美丈夫カロル、謎の予言者ニバー…、エヤアルの“力”をめぐって世界に戦火をもたらす陰謀が動き出す。日本ファンタジーの旗手が壮大なスケールで描く、過酷な運命に挑む少女の物語。
20世紀イギリス文学を代表する作家ロレンスの自伝的小説。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのイギリスを舞台に、主人公ポール・モレルの生い立ちと成長が、親子、兄弟、仕事、恋愛、性、生死など人生の重要な要素と局面を中心に、喜びと悲しみの両方向から力強く生き生きと描かれている。全著作の中でも、とりわけ芸術性が高く、しかも親しみやすい傑作を、完全復元版の新訳で。ちくま文庫オリジナル。
主人公の少女、小野有子は祖母の死によって自身の出生の秘密を知り、見知らぬ土地東京で暮らすことになる。継母とその子供たちからのいじめ、手がかりの少ない実母の行方探しなど幾多の困難にぶつかるが、それでも健気に真直ぐ生きる彼女に手を差し伸べてくれる人々が現れ、運命は好転していく…。青空のように明るく希望に溢れた日本版シンデレラストーリー。
「どこかおかしいんです。ここまで正反対にできているものは、喧嘩のしようがありません」-謎めいた二人の人物に隠された秘密をめぐる「イルシュ博士の決闘」。呪われた伝説を利用した巧妙な犯罪。「ペンドラゴン一族の滅亡」など、全12篇を収録。ブラウン神父が独特の人間洞察力と鋭い閃きで、逆説に満ちたこの世界の有り方を解き明かす新訳シリーズ第二弾。