出版社 : 筑摩書房
冴えわたる批評精神。優雅で辛辣で洗練された洞察は、また普遍的な文明批評の顔をもつ。女性だからこそ、男性だからこそ、文学として味わえる現代語訳を付す。下巻は、第一二九段「無徳なる物」から第三二五段「物暗う成りて」までを収録。
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある太宰治の短編小説集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。解説として、著名な太宰論も収録。
粋なやつ、不器用なやつ、土地っ子、よそ者…、色とりどりの人間模様が見られる東京浅草。その奥深さに、作家自らも吸い寄せられてゆくかのように書かれた連作小説全12話。SFから時代小説まで幅広い作品を残した半村良。彼が愛した昭和末年の浅草を舞台に、なさけ、酒、色恋を実際の風物を織り交ぜながら描いた人情小説の最高傑作。
宇宙軍医官の水原は火星から帰航中に謎の閃光と遭遇する。一方地球ではあらゆる電気が一斉に機能を停止する“絶電現象”が起きていた。ふたつの現象に関連を見出した水原と宇宙省の人々は調査をはじめるが、事態は「光」を操る謎の侵略者による人類への壮絶な攻撃に発展するのだった。緻密な構成と魅力的な登場人物で圧倒的な面白さを誇る、日本SFの記念碑的傑作。
南景以子、29歳、不器用。女性のお稽古事を取材するフリーライター。彼氏(交際10年)と別れたばかり。迷える彼女にもたらされる、親友の突然の転機。人生のヒントはお稽古事教室にある。太宰治賞受賞の新鋭が描く、オンナの友情、そのリアル。
人間とアンドロイドの未来をめぐる5つの思考実験。アンドロイド研究の第一人者が、最先端の研究をステップボードに大胆に想像力をはばたかせた初の小説集!
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある、プロレタリア文学のアンソロジー。教科書に準じた注と図版を付した。理解を深めるプロレタリア文学についての対談も収録。
賭博師稼業から足を洗い、農夫として質実な生活を送っていたビル・パームリーが、ギャンブル好きでお調子者の友人トニーに担ぎ出され、凄腕いかさま師たちと対決。知識と経験をいかして、ポーカー勝負のあの手この手のいかさまトリックや、思い通りの目が出るルーレット盤の秘密をあばいていくユーモア・ミステリ連作集。新訳「堕天使の冒険」を追加収録した完全版。
時は明治2年。日本人を見下すお雇い外国人リチャード・ブラントン、出自ゆえに孤独に生きる通訳の丈太郎、天才発明家“からくり儀右衛門”こと田中久重の3人は長崎伊王島で条約に定められた近代灯台の建設に取りかかる。言葉と文化の壁、牙を剥く日本の地震、予期せぬトラブル…。立ちはだかる困難を前に、男たちは貧しい漁村に光を灯すことができるのか?
避難区域に寝たきりの母と留まった「俺」が、誰一人いない町で封印された記憶をたどっていく表題作のほか、避難先の学校でフクシマの映画を作ることになる17歳の女子高校生を描く「私のいない椅子」を収録。南相馬出身の作家がはなつ、震災文学の決定版!
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある短編小説・講演・随筆を中心にした夏目漱石の作品集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。解説として「夢十夜」を読むうえで必読の名評論も収録。あわせて読むといっそう味わい深い。
美男子で合理主義の青年、宇都宮慎一は商売で店を持つことにのめり込み、その婚約者、奥村千春はバレエの道を邁進している。二人には、早くに伴侶を亡くした親がおり、ある時、親同士をくっつけてしまおうと画策するが…。一方でつかず離れずの関係を続ける慎一と千春をうらやむ周囲の人間から、仲を引き裂こうと怪文書が届き、この二人にもドタバタ劇が訪れる!
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある、戦争をテーマにした短編小説集。教科書に準じた注と図版を付した。理解を深める名評論も収録。
とある郊外の駅のキオスクに勤めるキリオは関西弁の中年男。彼は訪れるさまざまな人と、「袖すり合うも多生の縁」を持ってしまう不思議な男だ。本人にはその気が無いのに、結果としてはなぜか人生相談になり、妙に深い関わりを持つことになる。人徳か?脇が甘いのか?文庫化にあたり、『大阪ハムレット』の森下裕美がキリオを描き下ろし。意味深なひと言をじわっと投げかけてくる。連作短篇集。
運動会、合唱祭、学芸会、遠足、大切な日に限って発作が。おかげで学校にちょっと馴染めない。勉強も運動も不得意だ。こんな私でもおとなになれるかな?悩める中高生におくる青春小説。
私たちは、いろいろなところで本を開く。電車で、ベッドで、公園のベンチで、縁側で、喫茶店で、お風呂で…。なぜそこで本を読んでいるのか、何を読んでいるのか、何を感じているのか。そこには、ひとつひとつ異なる物語がある。そしてもちろん、開いた本の中にもまた別の物語があるだろう。フジモトマサルが描いた読書の風景から吉田篤弘が紡いだ物語が24。星空を眺めるごとく味わえる物語集。
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある短編を中心に編んだ、芥川龍之介の作品集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。理解を深める名評論と、付録として「羅生門」や「地獄変」のもととなった説話も収録。あわせて読むといっそう味わい深い。
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある短編を中心に編んだ、中島敦の作品集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。理解を深める名評論と、付録として「山月記」のもととなった中国の説話「人虎伝」も収録。