出版社 : 至誠堂
チェサピーク湾は「新世界」の揺籃。この地に生きる6家族の400年の営みを描いたミッチナーの長編歴史小説(全4巻)。ある日突然、平和に暮らすインディアンの地に白人入植者があらわれた。「旧世界」の食いつめ者、あばずれたちと、信仰のために故郷を棄て、永住の地を新大陸に求めて大西洋を渡ってきた人たちである。希望と絶望が交錯する「新世界」の黎明。
ロズ・ハワードはアメリカの英文学新進女性助教授。かねてからイギリスの詩人で造園家としても名を馳せたレディ・ビオラに憧れていた。ビオラの死後発見された手紙と日記の整理編集を依頼され、天にも昇る気分でイギリスに渡ったのだが…。
1945年4月30日、ヒトラーは自殺し、ナチス・ドイツは崩壊。数日後、デーニッツの命を受けて一隻のUボートがひそかにブレーマハーフェンを出ていく。謎の男と積荷を載せて。1990年夏、クレタ海。嵐がすぎた海をただよっている小舟に、漁師の死体があった。その手が握っていたのは騎士十字勲章。死体の陰に隠れていたのは、見まがいようもなく、金塊。3ヵ月後のエーゲ海。トルコ領の離れ小島の重罪犯監獄で、元イギリス海兵隊コマンド隊員マイケル・ローガンが呻吟している。麻薬組織の罠にかかり、20年の長期刑をくらったのだ。その日は重労働の屋外作業。突然、沖合から高速艇が突進してきて、ウェット・スーツの男がさけんだ。“早くこい、ローガン。ハリーだ!”男は昔の密輸仲間のハリー・ドナバンだった。行方不明のUボートをさがしている、金塊を積んでいるはずだ、宝さがしに手を貸せ、と言う。
クイン・パーカー・シリーズ第2作。サンフランシスコに住むクインはセラピストという名の無職。というのも、事故による“六桁”の補償金を株に投資して大儲けしたから。家族は猫のローラとインコのオスカー。つまり独身である。親友のハンク・ウィルキーは独演が宿願の売れないコメディアン。問題は家計と芸道の両立。そのハンクに弁護士から書類がとどいた。学生時代の尊敬する友人が死に、ジャマイカ島の浜辺の家とすばらしい景観の十五エーカの土地を遺贈するという。時価五十万ドル。その日暮らしのハンクには胆をつぶすような金額であり、夢のような話だ。さっそく弁護士に電話すると、麻薬取引きのこじれによる射殺が死因という。驚いたハンクは頼りになる友人クインに同行をたのみ、結局二人はカリブ海に飛ぶ。ところが現地についてみると、二人の周辺には不気味な影がただよい、夢は悪夢と化していくのだった。
主人公のハバカク・パートンの祖父は熱心な清教徒で、ジャマイカ島東部のモラント湾地域に入植して砂糖黍農園を拓いたのだった。パートンは農園の中の広くて白い家で何不自由なく育った。不幸は突然おとずれる。10歳の時コレラが流行し、祖父、父、兄を一時に奪われたのである。村の教会の世話役だった男が、いかにも信心深い男やもめが敬虔な未亡人に話すのにふさわしい言葉を聖書を引用して悔やみを言いにきた。3年後、世間知らずの母はこの男と再婚した。しかし、この男の狙いは最初から農園をわが物とすることで、13歳のパートンはバルバドス島の農園に年季奉公にだされた。パートンが水夫となってバルバドス島を抜けだし、何年かのちジャマイカ島にたどりついた時、母は死に、自分は失踪人とされ、妹2人は家から一歩もだされず小間使い同然とされていた。ヤケになり、泥酔しては喧嘩し、ついに人を殺して海軍に逃げこんだパートンを拾ってくれたのは、負けず嫌いで腕っ節が強いのを見こんだ現地謀報部のキャメロンだった。
すべての帆を揚げて走りに走り、ファビアンはついにニューオーリンズにたどりついた。この地の司令官パターソンは、階級は下だが思慮深く、現地の事情に精通していた。信頼できる男だ、ファビアンはこの男と協力してイギリス軍を要撃しようと思った。力強い味方がもう一人いた。いとこのギデオンである。一方つらい役目もあった-。
1812年10月25日、ディケーター艦長の指揮する合衆国フリゲート艦ユナイテッド・ステーツ号はイギリスのフリゲート艦マシドニアン号を激戦の末、捕獲した。その功績でファビアン・マーカム1席将校はブリッグ艦の将校艦長に昇進する。イクスペリメント号艦長ファビアンにあたえられた命令は大西洋岸をセント・ローレンス湾まで巡航し、敵の私掠船を捕獲あるいは破壊してアメリカ商船を保護せよというものであった。その作戦に従事していたある日、イクスペリメント号はバナナの皮などのごみが数海里の幅に広がって流れていくのにぶつかった。大船団がとおった跡だ。ファビアンは追跡を決意する。