出版社 : 行舟文化
バーンズは事件ごとに探偵のタイプを変えていくーーまるで多重人格探偵のように。フェル博士、ファイロ・ヴァンス、御手洗潔、そして、本作ではエラリー・クイーン。 ーー解説(飯城勇三さん)より 英国の小村バックワースに君臨する名門リチャーズ家は、三つの事件に揺れていた。当主マチューが若い女秘書を後妻に迎えると言い出したこと、アフガンで戦死したと思われていた長女の夫の帰還。そして神出鬼没の《白い女》の霊。「白い女は出会った者の命を奪う」という村の言い伝え通りに怪死事件が発生し、マチューが狙われる。事件の背後には妖しい女占い師の姿がーー名探偵オーウェン・バーンズが怪事件の謎を暴くシリーズ最新作! ミステリ評論家・飯城勇三氏の37頁に亘る解説もお見逃しなく! プロローグ 1 インドの思い出 2 アフリカの思い出 3 白い女 4 噴水の幽霊 5 リーシアの予言 6 天使の小道 7 並はずれた敵 8 毒草、白い女、そしてキツネ 9 二つの顔を持つ男 10 ヴィヴィアンのアリバイ 11 オランダのダイヤモンド商 12 バックワース村の裏通りで 13 暗闇の星 14 女を捜せ 15 カラスの羽根 16 難しい使命 17 マチュー卿はどこに? 18 消えた本 19 占い 20 鳥の名前 21 遺言書 22 マチュー卿の墓 23 再びスーツケースが話題に エピローグ [解説]オーウェン・バーンズ・シリーズの魅力 飯城勇三
森深い田舎の小さな村・クレヴァレイはパニックに陥っていた。夜ごと目撃される謎のマントの怪人と、幽霊騒動。甦ったと噂される女の棺を検めるために納骨堂が暴かれた時、恐慌は頂点に達した。一年半前に死んだはずの女の亡骸は、最近まで生きていたように瑞々しかったのだ。一方、ロンドンでは名探偵オーウェン・バーンズのもとに、ある老人の変死事件が持ち込まれる。彼は五年前の迷宮入り事件に関わっており、口封じに殺された可能性があるというのだ。それは、降霊術に熱中していた資産家の老女が密室で殺害された怪事件だった。ふたつの事件はやがてひとりの男、クレヴァレイの住民たちから吸血鬼だと噂されるロシアからやって来た伯爵に収束しー因習の村の謎めいた犯罪を美学探偵が解き明かす、シリーズ邦訳第5作!
官僚を殺すだけでなく、官僚組織自体を翻弄する犯罪者。倒叙ミステリとしては珍しいほど大規模な犯罪計画に圧倒された。 ーー 文芸評論家 千街晶之 硬直した社会システムへの風刺に満ちた、まったく新しい倒叙ミステリー。名刑事と天才的殺人者との息詰まる対決! ーー 作家 大倉崇裕 計画停電の夜、県検察院のトップが殺害された。周囲の監視カメラがシャットダウンする間隙を突いた犯行。唯一の目撃証言が指し示した容疑者はーー地域の人々から愛されるベテラン警官・葉援朝だった。葉には愛娘を有力政治家の息子に轢き殺されながら、示談に甘んじ揉み消しに協力させられた過去があった。被害者の検事長は、事件隠蔽の調整役のひとりだった。 葉への内偵が慎重に進められる中、新たな死者が出る。人民法院の裁判長が、自宅マンションで上階から落下した敷石材の直撃を受けたのだ。不幸な偶然が重なった事故死と思われたが、捜査責任者の高棟は現場の些細な痕跡から、力学の知識に長けた人物による計画犯罪を疑う。葉援朝の背後には、彼を伯父と慕うエリート校の物理教師の影があったーー前作『知能犯之罠』を上回る狡猾な計画犯と捜査陣の頭脳戦、その果てにある壮絶な人間ドラマに刮目せよ!
牛車で女を攫う吸血鬼、人を呑み込む路地、霞の中から現れる神出鬼没の切り裂き魔…一休宗純とその盲目の侍女・森のもとに持ち込まれる奇妙な怪事件の数々。応仁の乱前夜の京都を舞台に、風狂の僧・一休が魑魅魍魎の正体を暴き打ち祓う、痛快時代伝奇ロマン!
大唐帝国、二代皇帝李世民の世。僧の玄奘は、師を殺め出奔した兄・長捷の行方を捜す旅をしている。兄が先の霍邑県県令・崔〓が自殺した事件に関わっていたらしいと聞いた玄奘は、従者の波羅葉とともに当地を訪れる。崔〓は名君の誉れ高く、霍邑の民は彼が死後、地獄の判官となったと噂し、廟を立てて信仰していた。現県令の郭宰の屋敷に逗留した玄奘は、何者かによって二度にわたって命を狙われる。やがて玄奘は、自身が朝廷における仏教・道教両勢力の対立に端を発した陰謀の渦中にいることを知るー。衝撃の真相が明らかになったとき、読者は中国古典名著『西遊記』とのつながりを理解する!
正宗が通う小学校で開催される、十歳を記念して家族へ感謝を伝える「二分の一成人式」。破綻した片親家庭に育つ正宗には偽善としか思えなかった。だが、正宗は知っていた。殺人事件が起きて式典が中止になることをー(「半分オトナ」)。子が親を、親が子を愛するのは「当たり前」ですか?家族を巡る十歳たちの犯罪の物語。「親ガチャ」なんて言葉の流行る時代へ気鋭が贈る、キッズ・ノワール短篇集。
壱岐沖の孤島に、隠れ切支丹の末裔である富豪が築いた異形の館「淆亂“バベル”館」。心理学専攻の学生・夷戸ら三人は、観光のつもりが館の使用人を名乗る男たちに囚われる。館に集っていたのは、人気劇団の役者たちとゴシップ記者。この館の主は、彼らにとって因縁深い、失踪した伝説の俳優だと言うのだがー。
友人の探偵オーウェン・バーンズから、依頼人の婚約者に成りすまし名門マンスフィールド家に「呪い」の調査に行って欲しいと頼まれたアキレス・ストック。長女の婚約を巡り愛憎渦巻く屋敷に集まった面々は、みな「混沌の王」と呼ばれる存在に怯えていた。一族を呪い、聖夜のたびに一人ずつ命を奪っていく白面の怪人…それはいにしえの伝承ではなく、三年前にも当主の息子が完全な密室の中で殺されたのだという。そして「混沌の王」を呼び出し鎮めるための交霊会の夜、新たな事件が発生しーオーウェン・バーンズシリーズ第一作が待望の邦訳!
童話みたいなミステリ。瑠奈が善良な女の子で、描かれる日常があまりにも健全すぎるので、酷い事件があたかも童話のように読めてしまう。勿論これは作者の企みなんだけれど、この童話テイストが何か愛おしい。 ーー 作家 新井素子さん推薦! ミステリ作家にして評論家でもある才媛が贈る 異色のガール・ミーツ・ミステリ! ごく普通の小学生だったはずの片瀬瑠奈。ところが五年生に進級したばかりの春、彼女は老女に扮した謎の人物に連れ去られ、暗い部屋に監禁されてしまう。果たして犯人の正体とその目的は何か。そして、監禁場所はいったいどこなのか。瑠奈が連絡を取れる外部の人間は、携帯ゲームのすれ違い通信で出会った顔も知らない「フレンド」たちだけ。しかし、彼女はゲーム内でも何者かによって閉じ込められ……。「第一話 少女探偵の脱出劇」 保育園で毎日一緒に遊んでいた友達に久しぶりに会いたいと、古いはがきの消印を頼りにその引っ越し先を訪れた瑠奈。初めてのひとり旅を夏休みの自由研究にしてしまおうと意気込む瑠奈だったが、そこは出会う大人が女性ばかりの奇妙な町だった。「第二話 少女探偵の自由研究」 運動会直前の九月末、瑠奈は一年生の男の子から突如、「命を狙われている」と警告を受けた。女子トイレ内で死神が瑠奈のことを話していたという。心当たりなく困惑する瑠奈に対し、友達のくるみまで「この学校には死神がいる」と言い出して……。「第三話 少女探偵の運動会」 スマホ専用のアプリゲームのイベントのため、真冬の朝の公園に繰り出した瑠奈は、その近くにゲーマーを招き寄せるように旗が立てられた祠のあることに気づく。一方、祠のすぐ側に建つ古いアパートの一室で女性の凍死体が発見された。しかも、その部屋にいた不審な女性の姿を、瑠奈の兄が写真に収めていたという。「第四話 少女探偵と凍死体」 春夏秋冬、季節が巡るごとに巻き起こる事件を通じて、少女は一歩ずつ成長していくーー。 春 第一話 少女探偵の脱出劇 夏 第二話 少女探偵の自由研究 秋 第三話 少女探偵の運動会 冬 第四話 少女探偵と凍死体 エピローグ
ようこそ、名探偵と不可能犯罪の王国へ! 空飛ぶ鳥人、衆人環視下で消えた落語家、一角獣のツノに貫かれた死体……「行き過ぎた技巧派」芦辺拓が生み出した綺羅星の如き名探偵たちが、読むものを奇想とケレンに満ちた「探偵小説」の世界に誘なう。渾身の自選傑作集! 森江春策をはじめ、平田鶴子、自治警特捜、曇斎先生、名探偵Z……芦辺ワールドの「集大成」にして「最強入門書」をお届けいたします! 特典として、芦辺先生 ×「えのころ工房」さんによる書き下ろし名探偵図鑑「『芦辺探偵事務所』所員名簿」も収録。 ことし2020年は、芦辺拓先生のアニバーサリーイヤー。 『殺人喜劇の13人』から30年を迎え、著書70冊、101点に達する記念すべき年を祝して、芦辺ワールドを彩ってきた「名探偵」たちの代表的短編を作者自ら選出。 さらに書き下ろしと「初蔵出し」未発表原稿を加えた「探偵小説30年記念作品集」が登場! 「芦辺探偵事務所」所員名簿 《素人探偵・森江春策》殺人喜劇の鳥人伝説 《自治警特捜・支倉チーム》死体の冷めないうちに 《モダン・シティシリーズ/平田鶴子&宇留木昌介》消えた円団治 《曇斎先生事件帳/橋本宗吉》木乃伊とウニコール 《名探偵Z/乙名探偵》ご当地の殺人 《レジナルド・ナイジェルソープ》レジナルド・ナイジェルソープの冒険 《滝儀一警部補》アリバイの盗聴 《幻想探偵・花筐城太郎》探偵と怪人のいるホテル 《ノンシリーズ怪奇》輪廻りゆくもの 《少年探偵・七星スバル》怪人対少年探偵 《愛知県警・坪井警部》アリバイのある毒(ラジオドラマ) 《歌舞伎作者・並木五瓶》並木謎浪華からくり -正三と若き日の五瓶ー 《ネオ少年探偵》からくり島の秘宝 スタンドアローンな探偵たち シリーズ別作品リスト
「探偵のなかの探偵オーウェン・バーンズが、お力添えにまいりました」密室で生きたまま焼かれた灯台守。衆人環視下で、虚空から現れた矢で体を射抜かれた貴族。-「世界七不思議」になぞらえた予告殺人の捜査に乗り出したオーウェン・バーンズは、「犯人を知っている」との報せを受ける。ある令嬢を巡る恋敵であった二人の青年が、互いに相手こそが犯人だと名指ししたのだ。令嬢は彼らにこう言ったという。「わたしを愛しているなら人を殺してみせて。美しい連続殺人を」。不可能犯罪の巨匠が贈る、荘厳なる“殺人芸術”!
一九一一年の冬、雪に閉ざされた森の中で、実業家ヴィクトリア・サンダースの死体が発見された。容疑者は、ヴィクトリアの招きで山荘「レヴン・ロッジ」に集まっていた面々。動機はいくらでも考えられたが、一つ大きな謎があった。現場は完全な「雪の密室」だったのだ。一九九一年の初夏、スランプに陥った劇作家アンドレは、自身の創作の原点といえるほどの影響を受けながら、タイトルすら忘れてしまったホラー映画をもう一度観たいと欲していた。映画を巡る記憶を蘇らせるべく、アンドレは映画マニアの哲学者モローを訪ね、彼の精神分析を通じて少年時代に立ち返っていく…。魅惑的な小道具を通じて、八十年の時を隔てた「過去」と「現在」が奇妙に呼応する!アルテ・ミステリの新境地!
犯人と探偵役である市公安局所長との二視点で描く倒叙物の中国ミステリ。 中国を舞台にしていながら「官僚連続殺人」という設定にやられた! 何よりもリーダビリティに優れており、犯人VS探偵の決着の付け方も上手い! ーー作家 三津田信三さん推薦! ◎累計20億PV、中国で社会現象となった大ヒットサスペンスドラマ「推理之王」三部作(『バーニング・アイス 無証之罪』『バッド・キッズ 隠秘之罪』『ロング・ナイト 沈黙的真相』)の原作者・紫金陳の原点! ◎人気作家が東野圭吾『容疑者Xの献身』に挑んだ意欲作! 中国ミステリ作家・紫金陳『官僚謀殺』シリーズ 邦訳第一弾『知能犯之罠』 ・本格×社会派 両立する傑作! ・全てを欺く犯人の罠!! 真の狙いとは?! ・現在中国の社会システムをあざ笑う「殺人トリック」の数々 ・戦慄の官僚連続殺人を描いたミステリ ・生き生きと描かれた警察官僚の行動や思考から、中国独特の犯罪捜査や解決方法が見えてくる。 ◎あらすじ 「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」--殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状"が残されていた。警察幹部が殺害され、拳銃が奪われる大事件。しかし、当初は誇大妄想的な衝動犯の犯行とみなされ、解決は容易と思われていた。だが、捜査が進むにつれ犯人は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界、そして防犯カメラネットワーク「天網」の盲点すら熟知して周到な計画を練り上げていたことが明らかになる。そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。 暗礁に乗り上げた捜査を立て直すべく、指揮官の高棟は学生時代の旧友・徐策に協力を乞う。徐は数理論理学の天才と称され、アメリカに渡って心理学に転身、論理的思考のエキスパートとして成功したバンカーだ。 「友達のためだと思って、事件を分析してみてくれないか?」 だが、高棟は知らなかった。徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。 そして高棟は、現代中国の社会システムそのものを嘲笑うかのような、恐るべき徐策の「殺人トリック」に直面することとなる……。 実際の事件に着想を得た、官僚連続殺人事件をリアルかつスリリングに描く、「官僚謀殺」シリーズ第一弾! 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 終章 訳者あとがきーー 防犯カメラが鳥瞰する中国社会
各年末ミステリランキングにランクインした傑作! ・『2019本格ミステリ・ベスト10』 第2位 ・『このミステリーがすごい!2019年版』 第6位 ・「週刊文春ミステリーベスト10 2018」 第8位 ・カバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるもの(日本語版だけ、日本の皆様だけのために)。 ・作品に出た怪事件のもとになったのは、アルテ氏自身の実体験。氏本人が撮った、その体験をした場所の写真をスケッチ風にした絵を本書の最後に収録。 ・ミステリ作家・芦辺拓氏による解説を収録。 ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなるーー単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む! 1 旧友 2 人間狩り 3 不思議な消滅 4 昔の事件 5 地獄の怪物 6 失われた裏通りを求めて 7 ミス・シルヴィア・ベイカー 8 ピサの斜塔 9 ジェレミー・スチール司祭 10 見知らぬ男の足跡を追って 11 マイケル・ジャンセン 12 メイドストーン 13 エヴァートン男爵 14 ライオン 15 テムズ川の死体 16 チェッカーの試合 17 悪魔の刻印 18 裏通りの夜 19 オーウェン・バーンズの実験 20 ヒーサー・エヴァートン夫人 21 奇怪な待ち合わせ 22 待機 23 十字の印 219 24 つるはしを奮って 25 告白 26 追いつめる 27 エピローグ 解説 芦?辺拓 「八年ぶりのポール・アルテ、新シリーズ開幕」