出版社 : 行舟文化
〈北海道ミステリークロスマッチ〉とはーー(作家・柄刀一氏序文より) 札幌圏をそれなりの本格ミステリーの北の聖地と自認しても許されるのではないか。この地に縁を結ぶ作家たちの、それぞれの新しい作品をどんどん見られないのはもったいない。小説もマンガも問わず、さらには創作も評論も問わず、ミステリーでありさえすればジャンルを超えて横断的に作品を集合させてはどうだろう。そんな広場を創ってもいいのではないかと、意見がまとまりました。 ジャンルのクロス、作品の異種混合ぶりが化学変化を起こし、新しい刺激を生み出すかもしれません。競うことも刺激の一つであろうと、年に一回の、以下のようなコンテスト形式になりました。自作を投じた有志参加者(投票のみの参加者も含む)が選評とともに一〜三位までを選び、投票し、大賞授与作品を決定する。 この掛け声のもと、北海道圏を中心としたミステリーの旗手たちが集い、2019年〜2022年まで年一回、投稿サイト「note」に作品と投票結果がまとめられ、各年の一位作品および、順位に関係なく、推薦作も含め計九編の短編を収録の運びとなりました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎著者: 柄刀一(つかとう・はじめ) 櫻田智也 (さくらだ・ともや) 新麻聡(あらま・そう) 既晴(きせい) 千澤のり子(ちざわ・のりこ) 根本尚(ねもと・しょう) 深津十一(ふかつ・じゅういち) 松本寛大(まつもと・かんだい) 和久井清水(わくい・きよみ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 序文 柄刀一 羽衣の鬼女 根本尚 心中トゥモロー 柄刀一 巨人の国へ 新麻聡 わたしはもう死んでいる 松本寛大 復讐計画 既晴(阿部禾律/訳) ハマナス 櫻田智也 不一致 深津十一 偽作 尼ヶ紅 和久井清水 名探偵になれなくて 千澤のり子 北海道ミステリークロスマッチ結果発表(第一回〜第四回) あとがき 柄刀一
バーンズは事件ごとに探偵のタイプを変えていくーーまるで多重人格探偵のように。フェル博士、ファイロ・ヴァンス、御手洗潔、そして、本作ではエラリー・クイーン。 ーー解説(飯城勇三さん)より 英国の小村バックワースに君臨する名門リチャーズ家は、三つの事件に揺れていた。当主マチューが若い女秘書を後妻に迎えると言い出したこと、アフガンで戦死したと思われていた長女の夫の帰還。そして神出鬼没の《白い女》の霊。「白い女は出会った者の命を奪う」という村の言い伝え通りに怪死事件が発生し、マチューが狙われる。事件の背後には妖しい女占い師の姿がーー名探偵オーウェン・バーンズが怪事件の謎を暴くシリーズ最新作! ミステリ評論家・飯城勇三氏の37頁に亘る解説もお見逃しなく! プロローグ 1 インドの思い出 2 アフリカの思い出 3 白い女 4 噴水の幽霊 5 リーシアの予言 6 天使の小道 7 並はずれた敵 8 毒草、白い女、そしてキツネ 9 二つの顔を持つ男 10 ヴィヴィアンのアリバイ 11 オランダのダイヤモンド商 12 バックワース村の裏通りで 13 暗闇の星 14 女を捜せ 15 カラスの羽根 16 難しい使命 17 マチュー卿はどこに? 18 消えた本 19 占い 20 鳥の名前 21 遺言書 22 マチュー卿の墓 23 再びスーツケースが話題に エピローグ [解説]オーウェン・バーンズ・シリーズの魅力 飯城勇三
名探偵バーンズ × 吸血鬼伝説。 不可能犯罪ミステリのファンが望むものが、この1冊にみっしり詰まっている。 ーー作家 有栖川有栖 森深い田舎の小さな村・クレヴァレイはパニックに陥っていた。夜ごと目撃される謎のマントの怪人と、幽霊騒動。甦ったと噂される女の棺を検めるために納骨堂が暴かれた時、恐慌は頂点に達した。一年半前に死んだはずの女の亡骸は、最近まで生きていたように瑞々しかったのだ。 一方、ロンドンでは名探偵オーウェン・バーンズのもとに、ある老人の変死事件が持ち込まれる。彼は五年前の迷宮入り事件に関わっており、口封じに殺された可能性があるというのだ。それは、降霊術に熱中していた資産家の老女が密室で殺害された怪事件だった。 ふたつの事件はやがてひとりの男、クレヴァレイの住民たちから吸血鬼だと噂されるロシアからやって来た伯爵に収束しーー因習の村の謎めいた犯罪を美学探偵が解き明かす、シリーズ邦訳第5作! 1 結んだ細紐 2 マイケル・ドノヴァン神父 3 ヴァイオレット・ストラリング談義 4 死者たちの王国で 5 ユーカリの匂い 6 割れたボトル 7 助けを呼ぶ声 8 雨の晩 9 ミス・ジェイン・クリフ 10 鏡 11 二つの銀の弾丸 12 モード・シーモア 13 森のロマンス 14 テレンス・ヒル 15 呪われた池 16 嵐の夜 17 ラドヴィック伯爵 18 廊下の人影 19 糸車の話 20 大失態 21 吸血鬼 22 赤いスカーフ 23 旧知 24 ペテン師 25 カラスのいる麦畑 26 ドラキュラ談義再び 27 吸血鬼ハンター 28 ナロードニア・ヴォリア 29 ラドヴィックの釈明 30 月明かりの池 31 大いなるイワン 32 去り行くアン 33 オーウェンのひらめき 34 馬鹿騒ぎの一夜 35 ヴァイオレット・ストラリング殺し 36 消えたエレナ 37 布切れ 38 群衆の怒り 39 アキレスの冒険 40 サプライズゲスト 41 絞首台の影 42 女の直感 エピローグ
官僚を殺すだけでなく、官僚組織自体を翻弄する犯罪者。倒叙ミステリとしては珍しいほど大規模な犯罪計画に圧倒された。 ーー 文芸評論家 千街晶之 硬直した社会システムへの風刺に満ちた、まったく新しい倒叙ミステリー。名刑事と天才的殺人者との息詰まる対決! ーー 作家 大倉崇裕 計画停電の夜、県検察院のトップが殺害された。周囲の監視カメラがシャットダウンする間隙を突いた犯行。唯一の目撃証言が指し示した容疑者はーー地域の人々から愛されるベテラン警官・葉援朝だった。葉には愛娘を有力政治家の息子に轢き殺されながら、示談に甘んじ揉み消しに協力させられた過去があった。被害者の検事長は、事件隠蔽の調整役のひとりだった。 葉への内偵が慎重に進められる中、新たな死者が出る。人民法院の裁判長が、自宅マンションで上階から落下した敷石材の直撃を受けたのだ。不幸な偶然が重なった事故死と思われたが、捜査責任者の高棟は現場の些細な痕跡から、力学の知識に長けた人物による計画犯罪を疑う。葉援朝の背後には、彼を伯父と慕うエリート校の物理教師の影があったーー前作『知能犯之罠』を上回る狡猾な計画犯と捜査陣の頭脳戦、その果てにある壮絶な人間ドラマに刮目せよ!
一休シリーズ五年ぶりの新刊! 応仁の乱前夜の京の都には、魑魅魍魎が跋扈していた。牛車で女を攫う吸血鬼、人を呑み込む路地、霞の中から現れる神出鬼没の切り裂き魔、過去と現在をつなぐ古井戸ーーご存じ風狂の僧・一休宗純のもとに持ち込まれる、奇妙な怪事件の数々。一休は霊視能力を持つ盲目の侍女の森とともに、都を、人を、国を祟る怪異の正体を暴き打ち払う。怪奇小説の異才・朝松健が贈る、痛快時代伝奇ロマン! 序幕 一休葛籠 かはほり検校 魔経海 白巾 たそかれの宿 人食い小路 殺生鉤の春霞 迷い風 むまたま暮色 しろがね浄土 井戸底の星空 魔仏来迎 口寄せの夜 外法経 終幕 朽木の花
日本推理作家協会賞・本格ミステリ大賞ダブル受賞記念 緊急出版決定! 《森江法律事務所》にかかってきた敏腕女性検事・菊園綾子からの電話は、花村カオルという札付きのワルが身辺をかぎ回っているようだから気をつけろと警告するものだった。その数分後、コート姿の怪しい人物が《森江法律事務所》に入ってゆき、直後に死体で発見される。果たして、森江春策の事務所でいったい何が起きたのか? 一風変わった犯人当てである表題作をはじめ、森江春策がヘンリー・メリヴェール卿と共演する「密室法廷」や神津恭介、星影龍三とともに密室について語り合う「架空座談会」、鉄人28号の物語世界へと読者をいざなう「寝台特急あさかぜ鉄人事件」、舞台劇の脚本として書き下ろされた「探偵が来なけりゃ始まらないーー森江春策、嵐の孤島へ行く」など、日本一地味な探偵・森江春策が活躍する十三編の異色な事件簿! 「年譜・森江春策事件簿〔第二版〕」も特別収録! さらに数量限定で玉川重機画伯による扉絵のポストカードを1枚進呈いたします! 《開幕前のご挨拶ーー森江春策誕生記》 森江春策の災難 告げ口時計 うぬぼれた物真似鳥 七回殺された猫の冒険 読者よ欺かれておくれ 《幕間がわりのあとがき1》 真・裁判員法廷ーー森江春策と振り返る大阪第一号 密室法廷ーーヘンリー・メリヴェール卿対森江春策 架空座談会 神津恭介×星影龍三×森江春策、密室ミステリ進化論を語る 七人の探偵には向かない事件 《幕間がわりのあとがき2》 寝台特急あさかぜ鉄人事件 ヴェルデンツ大公国の密室 解凍された密室 ポール・アルテ氏に捧ぐ 《幕間がわりのあとがき3》 探偵が来なけりゃ始まらないーー森江春策、嵐の孤島へ行く 《終幕後のご挨拶ーー森江春策上演記》 年譜・森江春策事件簿〔第二版〕 作成・村川真一
唐の時代を舞台にスケールアップした乱歩の娯楽長編を読むような面白さ! この驚天動地の恐るべき動機は、まさに僕の好みでした! ーー 作家 三津田信三さん推薦! 一族の内紛に勝利して大唐の二代皇帝に即位した李世民の治世、貞観三年の春。 霍邑県を訪ねた旅の僧・玄奘と従者の波羅葉は、県令郭宰の屋敷の女中から「県令夫人を祟る悪鬼を祓ってほしい」と申し出られる。しかし、対面した夫人が玄奘を一目見て発したのは、今すぐ霍邑から立ち去れという謎めいた警告だった。 その夜、郭宰の歓待を受けた玄奘は、師を殺め出奔した兄・長捷の足取りを追うために霍邑を来訪したことを明かす。前県令の崔珏が自殺した事件に兄が関わっているかもしれないと告げる玄奘に、郭宰はこの地の人々が、崔珏がその死後に地獄の判官となったと噂し、彼を祀った「判官廟」は霊験あらたかであると崇拝されていると教える。 逗留中、玄奘は二度にわたって殺されかける。襲われた理由も分からぬまま、醜聞を避けるため郭家を出、名刹・興唐寺に移った玄奘たちは判官廟に足を向けるが、そこで怪現象に襲われ三たび命を狙われるーー 楔子一 楔子二 第一章 唐朝の僧、天竺人の逃亡奴隷 第二章 ノコギリの歯、閨房のこと 第三章 大麻、曼陀羅 第四章 興唐寺、判官廟 第五章 三度目の暗殺 第六章 逢引する女、誘惑する僧侶 第七章 死んで、生き返る 第八章 魏道士、杜刺史 第九章 座籠、地下道 第十章 天竺人の正体、老僧の秘密 第十一章 三十丈の地下で 第十二章 訴えごとは冥界までつきまとう 第十三章 君とは何者ぞ? 臣とは何者ぞ? 第十四章 画策する者、参与する者、主催する者 第十五章 魂は冥界に入り、魄は忘川を渡る 第十六章 鬼門関、閻王殿、泥犁獄 第十七章 紅塵は終わりを迎え、生死を絶つ 第十八章 謀僧の手腕、帝王のもくろみ 第十九章 自ら嗟く 此の地 吾が土に非ず 尾声 付録 人物、地理史料 訳者あとがき
巧緻に組みあげられた経糸と緯糸のなかで、 子供たちは日常と非日常を行き来する。 ーー 作家 竹本健治 正宗が通う小学校で開催される、十歳を記念して家族へ感謝を伝える「二分の一成人式」。破綻した片親家庭に育つ正宗には偽善としか思えなかった。だが、正宗は知っていた。殺人事件が起きて式典が中止になることをーー(「半分オトナ」) 子が親を、親が子を愛するのは「当たり前」ですか? 家族を巡るしたたかな十歳たちの犯罪の物語。「親ガチャ」なんて言葉の流行る時代へ気鋭が贈る、キッズ・ノワール短篇集。 十歳って、大人が思うよりも大人だ。 ・口紅 ・初恋探し ・ドミノ倒しホワイダニット ・少女探偵の習い事 ・逆ABCバーガーの謎 ヒール編/クラウン編 ・黒いすずらん ・愛しの我が子 ・頂上まで七分間 ・半分オトナ ・解説=諸岡卓真
目羅博士でも真相は見抜けまい。 大乱歩が読んだら、どれだけ喜んだことだろう。 ーー春日武彦(精神科医)推薦! 心理学を専攻する大学院生の夷戸と彼の先輩の根津、ふたりの行きつけの喫茶店のマスターの美菜は三人で壱岐に旅行にやってきた。 根津の提案でボートを借り、かつて隠れキリシタンの島民が大量死したという曰くある島「弔月島(ちょうげつとう)」の見物に出かける三人。島にはキリシタンの末裔である富豪が築いた奇妙な館・淆亂館(ばべるかん)が残っていた。 上陸した三人は、「館の使用人」を名乗る獰猛な男たちに拉致され、館に軟禁される。そこにいたのは、有名な劇団のメンバーたちとゴシップ記者。淆亂館の主は、彼ら全員と因縁のある、十年前に失踪した「伝説の俳優」なのだと言うが…… 謎の黒衣の男が跋扈し、次々と起こる謎めいた殺人。作者渾身のシリーズ第三作は、異常なロジックと奇矯なトリックが炸裂する傑作変格ミステリ! プロロオグ 渚にて 一 暗鬱なる島へ 二 淆亂館の主人 三 消失と出現と 四 因辺留濃への道行 五 宴の精神病理学的考察 六 悪夢と悪魔 七 会議は踊る、されど進まず 八 了解操作が始まる、すべてが終わる 九 宗教的な、余りに宗教的な エピロオグ 弔い月の下にて
呪われた一族、屋敷、怪人、降霊会、雪の密室、変人探偵とワトソン役。「フランスの新本格作家」アルテ氏が好きなものだけを詰め込んだ、同好の士への最高の贈り物。本作で、美学者探偵オーウェン・バーンズがますます好きになりました。彼の言動や推理から目が離せません。そして、最後の一行の鮮やかさに脱帽! ーー 作家 大山誠一郎さん推薦! ●オーウェン・バーンズシリーズ第一作が待望の邦訳! 夜、白い仮面を目にし、鈴の音を耳にしたら用心せよーー 芸術家を目指す青年アキレス・ストックは、ロンドンで友人になった自称・名探偵オーウェン・バーンズから厄介な頼みを押しつけられる。自分の代役として、名門マンスフィールド家にまつわる呪いの調査をしてほしいというのだ。それも、依頼人の婚約者に成りすまして。 長女の婚約を巡って愛憎渦巻くマンスフィールド家に集まるのは、やり手の貿易商とその腹心の部下、美しき夢遊病患者に高名な霊媒師……と、一癖も二癖もある面々。そして彼らは一様に、毎年の聖夜に現れて一族の誰かの命を奪うという白面の亡霊「混沌の王」の影に怯えていた。それはいにしえの伝承でなく、三年前のクリスマスにも当主の息子エドウィンが、完全な密室の中で殺されたのだという。 そして「混沌の王」を呼び出し鎮めるための交霊会が開かれた夜、新たな殺人事件が発生しーー過去と現在の二つの「雪密室殺人」が交差する、奇想と幻影の不可能犯罪ミステリ! ※短編小冊子「怪狼フェンリル」付き。 1 死の鈴 2 奇妙な任務 3 雪のなかの人影 4 明かりが消えて 5 白い仮面 6 雪のなかの散歩 7 混沌の王 8 ドアがあいて…… 9 霊よ、ここにいるのか? 10 オーウェンの指示 11 不可能犯罪 12 最終準備 13 赤いクリスマス 14 翼のはえた死神 15 ウェデキンド警部の捜査 16 アリアドネの糸 17 次はハリーが 18 湖の幽霊 19 足は語る 20 オーウェンの謎解き 21 触らぬ神にたたりなし 22 芸術の星のもとに エピローグ
童話みたいなミステリ。瑠奈が善良な女の子で、描かれる日常があまりにも健全すぎるので、酷い事件があたかも童話のように読めてしまう。勿論これは作者の企みなんだけれど、この童話テイストが何か愛おしい。 ーー 作家 新井素子さん推薦! ミステリ作家にして評論家でもある才媛が贈る 異色のガール・ミーツ・ミステリ! ごく普通の小学生だったはずの片瀬瑠奈。ところが五年生に進級したばかりの春、彼女は老女に扮した謎の人物に連れ去られ、暗い部屋に監禁されてしまう。果たして犯人の正体とその目的は何か。そして、監禁場所はいったいどこなのか。瑠奈が連絡を取れる外部の人間は、携帯ゲームのすれ違い通信で出会った顔も知らない「フレンド」たちだけ。しかし、彼女はゲーム内でも何者かによって閉じ込められ……。「第一話 少女探偵の脱出劇」 保育園で毎日一緒に遊んでいた友達に久しぶりに会いたいと、古いはがきの消印を頼りにその引っ越し先を訪れた瑠奈。初めてのひとり旅を夏休みの自由研究にしてしまおうと意気込む瑠奈だったが、そこは出会う大人が女性ばかりの奇妙な町だった。「第二話 少女探偵の自由研究」 運動会直前の九月末、瑠奈は一年生の男の子から突如、「命を狙われている」と警告を受けた。女子トイレ内で死神が瑠奈のことを話していたという。心当たりなく困惑する瑠奈に対し、友達のくるみまで「この学校には死神がいる」と言い出して……。「第三話 少女探偵の運動会」 スマホ専用のアプリゲームのイベントのため、真冬の朝の公園に繰り出した瑠奈は、その近くにゲーマーを招き寄せるように旗が立てられた祠のあることに気づく。一方、祠のすぐ側に建つ古いアパートの一室で女性の凍死体が発見された。しかも、その部屋にいた不審な女性の姿を、瑠奈の兄が写真に収めていたという。「第四話 少女探偵と凍死体」 春夏秋冬、季節が巡るごとに巻き起こる事件を通じて、少女は一歩ずつ成長していくーー。 春 第一話 少女探偵の脱出劇 夏 第二話 少女探偵の自由研究 秋 第三話 少女探偵の運動会 冬 第四話 少女探偵と凍死体 エピローグ
ようこそ、名探偵と不可能犯罪の王国へ! 空飛ぶ鳥人、衆人環視下で消えた落語家、一角獣のツノに貫かれた死体……「行き過ぎた技巧派」芦辺拓が生み出した綺羅星の如き名探偵たちが、読むものを奇想とケレンに満ちた「探偵小説」の世界に誘なう。渾身の自選傑作集! 森江春策をはじめ、平田鶴子、自治警特捜、曇斎先生、名探偵Z……芦辺ワールドの「集大成」にして「最強入門書」をお届けいたします! 特典として、芦辺先生 ×「えのころ工房」さんによる書き下ろし名探偵図鑑「『芦辺探偵事務所』所員名簿」も収録。 ことし2020年は、芦辺拓先生のアニバーサリーイヤー。 『殺人喜劇の13人』から30年を迎え、著書70冊、101点に達する記念すべき年を祝して、芦辺ワールドを彩ってきた「名探偵」たちの代表的短編を作者自ら選出。 さらに書き下ろしと「初蔵出し」未発表原稿を加えた「探偵小説30年記念作品集」が登場! 「芦辺探偵事務所」所員名簿 《素人探偵・森江春策》殺人喜劇の鳥人伝説 《自治警特捜・支倉チーム》死体の冷めないうちに 《モダン・シティシリーズ/平田鶴子&宇留木昌介》消えた円団治 《曇斎先生事件帳/橋本宗吉》木乃伊とウニコール 《名探偵Z/乙名探偵》ご当地の殺人 《レジナルド・ナイジェルソープ》レジナルド・ナイジェルソープの冒険 《滝儀一警部補》アリバイの盗聴 《幻想探偵・花筐城太郎》探偵と怪人のいるホテル 《ノンシリーズ怪奇》輪廻りゆくもの 《少年探偵・七星スバル》怪人対少年探偵 《愛知県警・坪井警部》アリバイのある毒(ラジオドラマ) 《歌舞伎作者・並木五瓶》並木謎浪華からくり -正三と若き日の五瓶ー 《ネオ少年探偵》からくり島の秘宝 スタンドアローンな探偵たち シリーズ別作品リスト
『2021本格ミステリ・ベスト10』 第3位! ・「オーウェン・バーンズ」シリーズ第3弾は 連続・予告・不可能・見立て殺人! ・「探偵のなかの探偵、オーウェン・バーンズがお力添えに参りました」 殺人を芸術と嘯く美学者探偵が挑むのは、「世界七不思議」見立て殺人! ・【特別寄稿】時を越えた名探偵の共闘! 刊行を記念した芦辺拓氏によるトリビュート短編『解凍された密室』収録 ある灯台守は荒波に閉ざされ、密室と化した灯台で生きたまま焼かれた。 --「アレクサンドリア大灯台」 ある貴族は衆人環視下で、虚空から放たれたとしか思えない「女神の矢」に射抜かれた。 --「エフェソスのアルテミス宮殿」 警察に「世界七不思議」に見立てた犯行予告を送りつけ、次々とそれを成し遂げる謎の連続殺人鬼。捜査に乗り出した美学者探偵・オーウェン・バーンズのもとに、「私は犯人を知っている」との報せが届く。ある令嬢を巡っての恋敵であるふたりの青年が、互いを犯人だと名指ししたのだ。 令嬢はパーティの席上で、彼らに言い放ったという。「わたしを愛しているなら人を殺してみせて。美しき連続殺人を」。 不可能犯罪の巨匠ポール・アルテが贈る、絢爛たる「殺人芸術」! 刊行を記念した芦辺拓氏によるトリビュート短編「解凍された密室」も収録。 ※短編小冊子「粘土の顔の男」付き。 第一部 イカロス 第二部 ネテル 第三部 アトン エピローグ 解凍された密室ーーポール・アルテ氏に捧ぐ(芦辺拓 特別寄稿)
・日本先行発売! ポール・アルテ五年ぶりの新作! ・わが国の本格ミステリ愛好家は、世界中どこよりも早く読める! ・傑作『あやかしの裏通り』に続いての、「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズ第二弾。 ・『2020本格ミステリ・ベスト10』 第5位 一九一一年の冬ーー霧深い森にそびえる山荘「レヴン・ロッジ」。貿易会社の辣腕社長ヴィクトリアが招いたのは、いずれも一癖も二癖もある男女。ヴィクトリアの弟・ダレン、アーティストから転身した副社長アンドリュー・ヨハンソン夫妻、アンドリューの秘書のシェリル。アンドリューはシェリルとの浮気に溺れ、妻のアリスはとうにそれに気づいている。ダレンは金と女にだらしない男で、山荘で出会ったシェリルにも気がある様子……そんな顔ぶれが揃った朝、森の中で死体が発見される。現場は完全な「雪の密室」だった。 一九九一年の初夏ーー劇作家アンドレは、子供の頃に観たサスペンス映画を探していた。スランプに陥っていたアンドレは妻のセリアの助言もあって、自身の創作の原点といえるほどの影響を受けながら、タイトルすら忘れてしまったその映画にもう一度向き合おうとしたのだ。隣人の勧めで、アンドレは映画マニアの哲学者モローを訪ね、彼の精神分析を通じて少年時代に立ち返っていく……。 金の懐中時計、磔刑像、そして“存在しない戯曲"『黄衣の王』--魅惑的な小道具を通じて、80年の時を隔てた「過去」と「現在」が奇妙に呼応する、アルテ・ミステリの新境地! プロローグ 1 蜘蛛の巣 2 金時計 3 オリエントのイヴ 4 らせん階段 5 磔刑像 6 未知の色 7 黄衣の王 8 奇妙なまなざし 9 アリスとアンドリュー 10 リタの家で 11 ダレン 12 姿なき殺人者 13 チャンドラとシェリル 14 古い採石場 15 星々 16 星雲 17 カウボーイの話 18 モロー博士の訪問 19 鉄のアリバイ 20 再びブルターニュへ 21 出発 22 風車小屋 23 最後のチャンス 24 説明 25 リヴァプール 26 逃走 27 完璧な計画 エピローグ 訳者あとがき -- アルテ『金時計』
犯人と探偵役である市公安局所長との二視点で描く倒叙物の中国ミステリ。 中国を舞台にしていながら「官僚連続殺人」という設定にやられた! 何よりもリーダビリティに優れており、犯人VS探偵の決着の付け方も上手い! ーー作家 三津田信三さん推薦! ◎累計20億PV、中国で社会現象となった大ヒットサスペンスドラマ「推理之王」三部作(『バーニング・アイス 無証之罪』『バッド・キッズ 隠秘之罪』『ロング・ナイト 沈黙的真相』)の原作者・紫金陳の原点! ◎人気作家が東野圭吾『容疑者Xの献身』に挑んだ意欲作! 中国ミステリ作家・紫金陳『官僚謀殺』シリーズ 邦訳第一弾『知能犯之罠』 ・本格×社会派 両立する傑作! ・全てを欺く犯人の罠!! 真の狙いとは?! ・現在中国の社会システムをあざ笑う「殺人トリック」の数々 ・戦慄の官僚連続殺人を描いたミステリ ・生き生きと描かれた警察官僚の行動や思考から、中国独特の犯罪捜査や解決方法が見えてくる。 ◎あらすじ 「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」--殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状"が残されていた。警察幹部が殺害され、拳銃が奪われる大事件。しかし、当初は誇大妄想的な衝動犯の犯行とみなされ、解決は容易と思われていた。だが、捜査が進むにつれ犯人は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界、そして防犯カメラネットワーク「天網」の盲点すら熟知して周到な計画を練り上げていたことが明らかになる。そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。 暗礁に乗り上げた捜査を立て直すべく、指揮官の高棟は学生時代の旧友・徐策に協力を乞う。徐は数理論理学の天才と称され、アメリカに渡って心理学に転身、論理的思考のエキスパートとして成功したバンカーだ。 「友達のためだと思って、事件を分析してみてくれないか?」 だが、高棟は知らなかった。徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。 そして高棟は、現代中国の社会システムそのものを嘲笑うかのような、恐るべき徐策の「殺人トリック」に直面することとなる……。 実際の事件に着想を得た、官僚連続殺人事件をリアルかつスリリングに描く、「官僚謀殺」シリーズ第一弾! 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 終章 訳者あとがきーー 防犯カメラが鳥瞰する中国社会
各年末ミステリランキングにランクインした傑作! ・『2019本格ミステリ・ベスト10』 第2位 ・『このミステリーがすごい!2019年版』 第6位 ・「週刊文春ミステリーベスト10 2018」 第8位 ・カバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるもの(日本語版だけ、日本の皆様だけのために)。 ・作品に出た怪事件のもとになったのは、アルテ氏自身の実体験。氏本人が撮った、その体験をした場所の写真をスケッチ風にした絵を本書の最後に収録。 ・ミステリ作家・芦辺拓氏による解説を収録。 ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなるーー単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む! 1 旧友 2 人間狩り 3 不思議な消滅 4 昔の事件 5 地獄の怪物 6 失われた裏通りを求めて 7 ミス・シルヴィア・ベイカー 8 ピサの斜塔 9 ジェレミー・スチール司祭 10 見知らぬ男の足跡を追って 11 マイケル・ジャンセン 12 メイドストーン 13 エヴァートン男爵 14 ライオン 15 テムズ川の死体 16 チェッカーの試合 17 悪魔の刻印 18 裏通りの夜 19 オーウェン・バーンズの実験 20 ヒーサー・エヴァートン夫人 21 奇怪な待ち合わせ 22 待機 23 十字の印 219 24 つるはしを奮って 25 告白 26 追いつめる 27 エピローグ 解説 芦?辺拓 「八年ぶりのポール・アルテ、新シリーズ開幕」