出版社 : 講談社
奇妙でユーモア溢れるアメリカ旅行記「走れトマホーク」。身辺私小説仕立ての「埋まる谷間」「ソウタと犬と」。中国の怪異小説家に材を取る「聊斎私異」など多彩な題材と設定で構成されながら、一貫する微妙な諧調ーー漂泊者の哀しみ、えたいの知れない空白感。短篇の名手の円熟した手腕が光る読売文学賞受賞作。表題作を含む9篇を収録。
一条寺文麿往くところ、巷は戦場と化す。今回は京都。古都は風前の灯だ。…尾花建設の令嬢マリが京都を根城とする暴力組織『新鮮組』に誘拐された。観光会館入札にからむトラブルだ。最愛の女性を奪還すべく過激に封鎖された京都に乗りこむ文麿。待ちうける罠、予想外の恋。ノンストップロマン第3弾。
連続殺人の舞台は、吊橋を渡った断崖に建つ洞洛館だった。その橋が落ち、館そのものが密室になる。大垣洋司が大学の夏休みを利用して洞洛館を訪れた時、すでに仕掛けは緻密に張りめぐらされていた…。壮大にユーモラスに精巧に構築された「新本格探偵小説」ここに誕生。
国際情報小説の旗手・中村敦夫の力作第二弾。バリ島開発の利権をねらう日本商社は、故スカルノ大統領夫人を利用して、右翼の重鎮・工藤の担ぎ出しを計る。インドネシアの現代史に深い関わりを持つ工藤を迎え撃つ、イスラム過激派集団。秘密情報機関ドッギーズの日本拠点員・堂田将司が激発する事件を追う。
一流ホテルの社長が誘拐され、結局、奇妙な場所で救出された。その後、犯人から「ホテルの営業を停止せねば、飲食物に毒物を入れる」との脅迫がくる。さらにホテルでのメイド転落死事件も発覚。社長から特命捜査を依頼された畑中は、メイドの死の謎を探るうち、得体の知れぬ巨大な圧力を感じ、闘志を燃やす。
花の都はパリ大学の精神医学教室に留学した少壮精神科医。そこに待ちうける多事多難、青春喜劇の数々。-個性豊かな留学生仲間との交遊、アラビア王家の血筋をひくスペイン娘との恋。陰鬱な北フランスの冬。そして、盗難、自動車事故。自伝ふうユーモア小説“頭医者シリーズ”3部作完結編。
今から、およそ100年前、北アメリカのウィスコンシン州にある「大きな森」の中の丸太で作った小さな家に、小さな女の子が住んでいた。その女の子の名は、ローラ。姉のメアリーと、妹のキャリーの三人姉妹。不屈の精神をもった父さんと優しい母さんのいるインガルス一家だ。アメリカの開拓者の生活を生き生きと描いた「大草原の小さな家」物語の第1作。
ローラの一家は、ある日、小さな家の家財全部を馬車につんで、大きな森をあとにした。父さんが、新しい土地で暮らしてみる決心をしたのだった。目ざすは、西部の大草原、インディアンの国。旅が始まってすぐ、ローラたちは、流れのはげしい川の中で、犬のジャックを見失ったー。きびしい自然を相手にたたかうインガルス一家の物語の第2作。
美人医師の華麗な闘いを描く、愛と献身のシリーズ第3弾。ガンに冒された幼い女の子がある菓子に示す異常な執着に、外科医津山慶子は異常を覚え、失踪した幼女の両親の行方を追う。山間の僻地小烏村で慶子が目にした恐ろしい事実とは、そして病院内部に巣くう医療の敵とは何か。強烈アクション長編。
東京に向かう新幹線の車中で、弁護士が怪死、アタッシェケースが消失した。同じ頃、香港では日本人美術商が死んで、奇妙な暗号を残していた。二つの事件は意外な展開をみせ、1200年も前の鑑真和上渡来のナゾに関連してゆく。これを解くため香港の名探偵陳展望が動員され、日本になってきた!得意の分野に実力発揮した会心長編。
かつて文化人類学の学究だった志度正平は、あるできごとをきっかけに民間の破壊工作員となった。ニューヨークで白人の娼婦ロッサナと自堕落な同棲生活を送っていた志度のもとに新しい依頼があった。アメリカ巨大鉱業会社から、ペルーの山岳ゲリラの首領抹殺の仕事がきたのだ。志度は首都リマに向かった。
ペルーの首都リマに到着した志度正平は、自分に酷似した日系の革命家ツトム・オオシタになりすまし、二人のインディオと共にゲリラの進発地チャカラコ渓谷に向け出発した。4千メートルを超すアンデスの山々を越えていくつかの戦闘に耐え、ゲリラの進発地に潜入した志度を過酷な運命が待ち受けていた。
屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカーー脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは……。 屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカーー脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは……。谷崎賞受賞。