出版社 : 集英社
探偵・浅生、32歳、元商社マン。時として、身体を張って調査をすることもある。時々部屋に泊まりに来る女。彼女は浅生が街に詩を書いている、と言う。どこか心に洞を抱え、心の飢餓感を扱いかねている。そんな人々を放置できないだけなのだ。暴力と叙情を内に秘め、緊迫した文体で綴る。都会に生きる男と女の心の皸を直視するハードボイルドの名編。浅生シリーズ第2作。
男から与えられる愛では満たされないことに気づいてしまった女、婚約者がいながら別の男に惹かれてゆく女、平穏な結婚生活の中でひと夏の記憶を辿る女…。ささやかだけど穏やかな幸福に包まれていても、どこか満たされない。心の奥底にひりつくような渇きを抱えて生きる女の日常に小さなさざ波をたてるのは、それもやはり“愛”。よせては返す波にも似て、果てなき海にまどう九つの愛のかたち。
会津の戦塵がおさまり、武士の世が終焉を迎えた頃、少年は武術に生きる決意を固めた。触れるだけで相手を投げ飛ばす奇跡の武術、大東流合気柔術の中興の祖・武田惣角の波瀾の青春。(解説・夢枕 獏)
自由で平和な理想郷を築く気宇壮大ロマン!カラ・キタイ(西遼)を建てた耶律大石の驚愕の秘史と、暗殺教団の長老ハサン・サッバーフにウマル・ハイヤームの謎。主人公・陶羽が体験するマニ教の奥義「桃源郷」発見の旅。新世紀を飾る名作と三国志から始まる「曹操-魏の曹一族」を併録。国家を超越、世界主義を択る。
闇に谺する異能者たちの宴。すべては、月が知っている!夜ごとに謎めく怪事件、めくるめくサイファイ・ホラーの万華鏡。あの『二重螺旋の悪魔』から8年、鬼才が仕掛ける初の中短編集。
「世界にただこのことを忘れさせないために、生き残りたいと願った…」強制収容所の最高司令官の“館”の道化師として生きのびた4人の男達の運命。淡々と、シンプルに、しかしながら深く、衝撃的な恐ろしい歴史的事実が暴かれてゆく。「人間は皆この地上での神の宮廷道化師にすぎないのか?」復讐のための長い彷徨は、この問に「否!」と確信する宇宙的な美しい答に辿り着く。人間性への信頼を回復する哲学的歴史ドラマ。
我らがプリズンホテルに冬がきた。雪深い宿にやってくるのは今宵も事情ありなお客人。五千人殺しの鬼婦長、天才アルピニスト、切羽詰まった編集者……。雪に涙がしみわたる。(解説・雨宮塔子)
失踪した男の捜索を依頼された上海生れの浦上隆志。男の行方を追ううち、浦上は日中戦争の裏面を探る運命に迷いこむ。激動の歴史に隠された出自の謎を識る感動の長編快作。多感な青春を描く著者自伝的作品「青雲の軸」を併録。
ハンター試験の最中に、姿を消したキルア。「きっと、つれもどしてみせる…!」ゴンは、クラピカ、レオリオとともに、キルアの故郷、ククルーマウンテンに向かう。暗殺一家に生まれたキルアを、ゴンは救い出すことができるのか。そして、ゴンたちとは別の目的で、キルアの家、悪名高きゾルディック家に侵入した者たちがいたー。オリジナル・キャラも出現して、ますます目が離せないシリーズ第3弾。
ケルトもサクソンも、デーン、ユダヤ、ノルマン人も総登場!テムズ河に2000年を生き継いだ10組のファミリーが、親から子へ孫へ…時代時代の歴史をそれぞれの浮沈を賭けて生きる。
著者は、ロンドン2000年の時の流れと人の営みを、多数の博物館スタッフの協力により時代考証を精緻に固め、10組のファミリーの長い長い栄枯盛衰の物語として描き切る。魅力あふれる大感動巨編。
弁護士見習いの可南子は、奇妙な依頼を受ける。依頼人・塔子の父・榎本修吾が愛した女たちをたずね歩くというものである。8人の女たちは、それぞれが独自の修吾との過去を持っていた。一人の男をめぐる様々な愛の形を知ることは、いつしか可南子をも変え…修吾を一番愛した女は誰なのか?可南子が出会った、思いもよらない真実とは?プライドという名のもとに、女の心理を描き出す連作長編ミステリー。
住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…文庫書下ろしミステリー! (解説・清水義範)