出版社 : 集英社
私立探偵・大杉良太は、新聞社で編集委員をしている残間龍之輔から、違法な武器の輸出に関係する商社について、電話で告発してきた男の尾行を依頼された。同じ頃、残間は元上司で現在はオピニオン誌「ザ・マン」編集長の田丸に呼び出され、かつて百舌と呼ばれた殺し屋に関する事件を雑誌に書いてほしいと頼まれる。大杉と残間がそれぞれ調査を続けていたある日、警察庁特別監察官の倉木美希が自宅に戻る途中何者かに襲われた。運よく大杉が駆けつけ軽傷で済んだが、美希のコートから百舌の羽根が出てくる。トップシークレットである過去の百舌事件と、ある商社の不正武器輸出。全く接点がないと思われた二つの事象が交差する時、巨悪の存在が明らかに…。
自分ではどうしようもないものに衝き動かされ、紆余曲折を繰り返してゆく…そう、ゲーテは「面白いこと」を追い続けることは幸福に決まっている、という晴れやかな直観の人です。その先の行く手には仄暗いものが待ち受けているのだとしても、失敗など気にせず、あるいは失敗さえ面白がりながら(!)走り続けてしまうゲーテの姿が本巻から浮かび上がれば、と願ってやみません。
彼岸と此岸をとりむすぶ直木賞作家の傑作小説。裕福な家を出て画家を志す青年、槇島風波。彷徨う魂を己の絵で成仏させる天才画家、穂村江雪華。闇に浮かぶ幽鬼、死してなお現世に留まる未練者。帝都に蠢く怪を追う大正怪異事件帖、第二弾。
犬との暮らしが教えてくれる。愛する気持ち、愛される気持ち。今を大切に生きることの素晴らしさ。病と闘う少女のそばに寄り添う「トイ・プードル」、絶望した男の前に現れた捨て犬「フレンチ・ブルドッグ」ほか、「ミックス」「ラブラドール・レトリーバー」「バセット・ハウンド」「フラットコーテッド・レトリーバー」書き下ろし「バーニーズ・マウンテン・ドッグー魂の伴侶ー」珠玉の短編計7編を収録。犬を愛するすべての人へ捧げる、書き下ろし巻頭詩「いつもそばにいるよ」も必見!!
自宅が差し押さえになり、両親は行方不明──途方にくれる高校生の万丈は、父が残したメッセージをもとに東銀座の古い「ガルボビル」に向かう。そこには初対面の祖母「石さん」がいて…!?
世間知らずでお嬢様育ちの女子高生巫女すずと、能天気な(しかしやればできる)神主ハルト。二人が勤める神楽坂『恋衣神社』に訪れるワケありな人々によって、再び新たな事件に巻き込まれて……!?
四つ葉坂郵便屋で働く春日浦ハル。切手と先輩の六嘉さんが大好きな彼女は、毎日楽しく働いていた。ある日、出した手紙が届いていないという告発があり!? 架空の日本が舞台の優しいミステリー!
イットは預かった荷物を届ける配達人。同伴する少女イソラと愛車のダットサンに乗り込み、旅を続けている。彼らが出会う、どこか奇妙な街や人々とは……? ちょっと不思議なロードノベル。
連続する殺人事件には共通点があった。見せしめのような殺害方法、被害者は破綻した大手消費者金融「紅鶴」の元社員。それに気付いた刑事・久保田は事件を追い始める。紅鶴に人生を破壊された男たちの復讐劇の最後にして最大のターゲットは社長一族の元専務・紅林伸夫。決着の場所は、六本木の巨大ビルで行われる映画祭。その壮絶な結末とはー!?現代社会の闇に向き合った渾身の犯罪小説。
時は安政二年十月二日、凄まじい地震が江戸を襲った。あたり一面が火事で焼け、それに乗じた無法者が横行するなか、臨時の町廻り同心・虎之助は人びとのため、事件解決に奔走する!(解説/吉野仁)
次なるターゲットは警察官!?仕事に応じて数々の名を使い分ける男と自称経営コンサルタントの四面堂遥。ひょんなことからコンビを組んだ二人は、今日もあの手この手であくどい奴らに罠を仕掛ける。不倫、偽札、骨董商売、遺法賭博と聞けば食指が動く。金になりそうな匂いのするところに世間師あり。狙った獲物は逃さない。褒めてのせて騙して稼げ!大人気“世間師”シリーズ第2弾!
僕の会社は悪徳商法のブラック企業!? 退職を決意し詐欺の証拠集めに奔走し、会社とは違う“ある場所”で日々繰り広げられるバトル。表題作ほか短篇一篇を収録した新芥川賞作家の話題作。(解説/古市憲寿)
後漢末、霊帝の時代。宦官たちは帝をほしいままに操り、天下は麻のごとく乱れていた。疲弊した民衆の一部は黄巾賊となって全国に蜂起。大軍を率いて首都洛陽に入った董卓が軍政の覇権を握ると、たちまち暴政の嵐が吹く。「乱世がくるぞ」若き曹操は身ぶるいしながら思ったー“乱世の英雄”曹操を中心に、群雄たちが繰り広げる壮大な歴史ロマン。文字が大きく読みやすい新版、全5巻刊行開始!
暴君董卓が誅殺され、長安を脱出して洛陽に還幸した献帝を迎えたのは、十万の精兵を率いる曹操だった。帝を擁した曹操は、為政者として絶大な権力を握り、他の群雄から一歩抜きん出た。膝下には勇将・賢臣が集い、いよいよ天下を狙い中原の制覇を目ざす秋が来た。しかし、もう一人の英雄劉備が、雄飛の時を待っていた。終生の宿敵となる両雄の戦いは、いま静かに始まろうとしているー。
真冬のバルセロナ。若い女性が地下鉄に飛び込んだ。彼女の携帯電話には不可解なメッセージと、木に吊るされた3匹の犬の死体の写真が…。カタルーニャ州警察警部エクトル・サルガドは、女性の勤める会社では、他にも自殺者がいることに気づく。相次ぐ自殺の裏にあるおぞましい真相とは?一方、産休中のレイラ・カストロ刑事は失踪したエクトルの元妻を捜すが…。好評のバルセロナ・ミステリー第2弾。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第5回配本、第8巻『歪んだ時間』は、タイムスリップを中心に、時間の歪みをテーマにしたSFとファンタジーを14編収録! ●編集委員 逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 SF、そしてファンタジーの巻である。 タイムマシン、タイムスリップ、コールドスリープ。 これが「時間」を歪める三種の神器であろうが、タイムスリップのみが現在の読者にも受け入れられているようだ。 掌短編の中には「なぜこの作品が時間テーマなのであろうか?」と思われるであろう作品も含まれている。 我慢して読んでいただきたい。 最後まで読めばわかります。 【長編】 浅田次郎「地下鉄に乗って」 山田正紀「竜の眠る浜辺」 【短編】 芥川龍之介「魔術」 北杜夫「買物」 安部公房「鉛の卵」 式貴士「カンタン刑」 小松左京「哲学者の小径」 筒井康隆「万延元年のラグビー」 清水義範「また逢う日まで」 半村良「およね平吉時穴道行」 【掌編】 吉行淳之介「扉のむこう」 原田宗典「時間が逆行する砂時計」 矢野徹「ぼくの名は・・・・・・」 星新一「夢の未来へ」
どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにない(『虫歯とピアニスト』)。同期との昇進レースに敗れ、53歳にして気分は隠居である(『正雄の秋』)。16歳になったのを機に、初めて実の父親に会いにいく(『アンナの十二月』)。母が急逝。憔悴した父のため実家暮らしを再開するが(『手紙に乗せて』)。産休中なのに、隣の謎めいた夫婦が気になって仕方がない(『妊婦と隣人』)。妻が今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出して(『妻と選挙』)。どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編。
芸術家や職人がさまざまな店を出す集落『エデン』。祖父が遺した雑貨店『エトワール』をオープンさせた遼は、挨拶しそびれていた占い師・おんバァさん宅に行こうとするが、不思議な双子と出会い…?