小説むすび | 出版社 : AmazingAdventure

出版社 : AmazingAdventure

地上のオディティ Oddity on the ground地上のオディティ Oddity on the ground

発売日

2025年6月30日 発売

昭和というひとつの時代の終わりを過ごした思春期の世代には時代に関わるような経験と呼べるものは何もなかった。殺伐とした東京での学生生活における閉塞感に捕らわれながらも、「ぼく」は本と70年代のロックと映画を通じて、心の拠り所を探り続けていた。ここに登場する『ブレードランナー』のレプリカントや『2001年宇宙の旅』のHAL、そして『ミツバチのささやき』といったメアリー・シェリー原作の『フランケンシュタイン』の血脈は近代の自我と、「ぼく」の心の在りかを問うものとして描かれている。風呂も電話もない東京での貧しい下宿生活。苦い思い出として過ぎ去ろうとしていた初恋の少女との再会。大学の演劇サークルで公演を予定していた『罪と罰』のラスコーリニコフとソーニャの物語を通じて実らせた恋だったが、やがて厳粛な現実のしがらみが二人の心を襲う。夏目漱石をはじめとする近代の文学が持つ人間の宿命に導かれるように、追放同然の大学の卒業後も「ぼく」は意味を見いだせない競争社会に身を投げ出してゆく。デヴィッド・ボウイの曲の「ぼくにできることは何もない」という言葉には自分を守り通した固有の時間がこめられており、誰に咎められることもない強さの証しとして引用されている。実際に、デヴィッド・ボウイはこの「スペース・オディティ」をきっかけに世界にはばたき、その後の音楽シーンもリードする存在になっていった。

ザ・ブレット・イン・マイ・ライフ The Bullet In My Lifeザ・ブレット・イン・マイ・ライフ The Bullet In My Life

発売日

2025年1月10日 発売

ビートルズを愛する嘗てのエリートは日雇い土工になっていた。何が彼をうらぶらせたのか? 執拗にヤクザから追われる訳は何か? 冒頭で穴掘りに対する男の忌避感が意味ありげに語られ、現在のシーンと回想のシーンが交差し、謎が謎を呼ぶ展開に。 そんな中、言葉を話す不思議な猫が登場! このようなキャラクターは童話やファンタジーでは見かけることもあるが、ハードボイルドでは類を見ない設定だ。猫は何のために現れたのか? ヤクザから逃げてきた女との逃避行の果てに彼が辿り着いたのは? 物語はオールディーズの名曲と共に進み、衝撃のラストシーンで、全ての謎が解き明かされる。ビートルズ現役時代を知る最後の世代、瞬那浩人、渾身のピカレスクロマン! 『この小説はビートルズへのオマージュと言えます。ビートルズを知らない方々も、本文に出てくる曲名を見て、どんな曲だろうかとビートルズに興味を持ってもらえるきっかけになります。 主人公が生活の中でビートルズの曲を思い出したり、ビートルズの曲に例えたりしているように、ビートルズの曲は、人々の人生のある瞬間を切り取った曲が多く、人の心に強く訴えかける力を持ってます。 猫の登場と、共に過ごす生活の描写で、猫好きの心も一気に掴み、どんどん読み進んでいけます。表紙を見ただけで猫好きはキュンとするでしょう。丸尾由美子「ビートルズ友の会」推薦』

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