小説むすび | 出版社 : BookWay

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約束の詩 Promised poetry約束の詩 Promised poetry

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2018年4月18日 発売

〔本文より〕  初めて会って以来一途に思い続け、一時も由布子のことが心から離れなかった…。 〈男子みんなが憧れているあの高嶺の花の由布子が、あのお姫様が、何と、この自分を本当に思っていてくれている。ああ、こんな幸せ、本当にあるのだろうか? 夢ではないだろうか?〉  足が地から浮き上がり、のぼせ上がって有頂天に…。自分のために世界がある…。もう何も怖いものは無い。何でも出来るような不思議な力が湧いてくる。…美しいヒロインを恋人に持つ映画の主人公になったような気分でもある。  どんな言葉を使っても表現し尽くせない心情。決して大袈裟ではない。  こんな満ち足りた幸せが訪れ…高揚する気分になれることも人生にはあるものなのだ…しかも教室で…授業中に…こんな気持ちになれるなんて…学校へ行くのがこれほど楽しいとは…。  晶彦は生まれて初めて、天にも舞い上がるような幸せ感に包まれた。そして、いつまでもこんな気持ちでいられたら…と、祈る思いである。  (中略)  恋うひとに 思われている 幸夢心  (中略)  駅に近付いて、晶彦はハッと一人の女子学生の姿に心を奪われ、視線が彼女を追った。その姿はうららかな陽光を浴びて、人混みとともに駅の中へと消えて行った。晶彦は視線を逸らさず、ただその場に佇んでいた。  出張のことで頭がいっぱいで、一時潜んでいた由布子の存在が、ひょっこり晶彦の心に戻って来た。あの笑顔、明るい声、仕草、そして、教室での彼女など、数々のシーンが、次々と輝き始め、あの至福のステージが蘇ってきたのである。 「どうなさったのですか」  肩を叩く優しい女性の声が聞こえた。 「いえ、何も」  そう応えたものの、同じ所に佇んだまま思いの外、時間は経過していて、目は涙で潤んでいた。最高に幸せな思い出は、最高の辛さにも変わるのである。  いつしか新幹線の窓際のシートに座っていた。晶彦は顔を窓の方を向けている。涙が溢れ出て止まらない。晶彦はまだ、あの至福のステージの中にいた。由布子は咲き始めた花のように、瑞々しいまま微笑んでいる。しかし現実の晶彦の側に、彼女はいないのだ。  髪がたや 似た後ろ影 心を突き         なお治まらぬ 鼓動…  と、まで詠んだ。しかし、後が定まらない。  悲しくて、切なくて、そして、儚く、空しい思いが入り乱れ、愛しさが止めどなく込み上げてきて、渦を巻いているのである。

恋のおばんざい The story of love in small dishes cafe恋のおばんざい The story of love in small dishes cafe

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2018年4月18日 発売

本書は『国家の存続・人生方程式』の姉妹作である。 〔本文より〕 「何年か前、私の田舎に橋だらけ、道だらけ、という具合に立派な橋や道を作りまくって。各家の前まで。そして、たまにしか利用しない山道まで舗装をした。更には、米の減反を進める中、農地の改良までして、立派なインフラを整え、あげくの果て、過疎化や耕作放棄地となるのですが、これを日本中に作って大きな借金の一つにもなっています。このようなことは予想できたはずなのに、政治家は票獲得のため、行政担当者は怠慢と言うしかありません。馬鹿を通り越しています。地方の住民は自分たちが税をあまり納めていないのに、便利さを自治体へ要求する。今でも言えることですが、国中そのような考えの人が多い。自ら行動するのでなく、してもらえる、してほしいと思っている。何か改造するとなると、総論賛成でも、自分に関係した不利益なことになると反対になる」  (中略)  校門を入ると和子は幸成の腕に抱きつくようにして歩きだした。 「少し離れてよ。あなたは綺麗だし、私にくっついていたら、それに、この派手なペアのリュックのアップリケは目に付きすぎる」 「うちはかまわないえ」 「私は学校を首になるよ」 「丁度良いんじゃない。うちのお養子はんになれば」 「しかし、性急な話だね」 「うちも、お父はんも幸成はんを気に入っているし」 「でも、すぐには決められないよ」 「うちのこと嫌い?」 「好きだよ」 「うち、デパートでお会いした時、一目惚れしたんえ」 「和子さんにはかなわないな。あなたにかかったら私もたじたじだな」 「そうよ。もう覚悟しなさい」 「養子になっても、これじゃお尻に敷かれっぱなしになるね」 「座り心地の良い座布団になっておくれやす」 「ああ、熱が出てきた」 「ふふふふ、ああ可笑しい」  和子は楽しくてたまらないのである。

幻栄幻栄

著者

杉山実

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発売日

2016年8月7日 発売

北海道の釧路から田代彩乃、九州から下条香織も同じく、東京の看護学校にやって来た。 二人は仲良しで、学業に頑張ったが、卒業と同時に彩乃は自分の顔を整形して、綺麗に成ろうとして、先輩の児玉愛子に勧められてデリヘルのバイトを始めた。 お金が貯まると整形をして病院を変わる彩乃、看護学校時代とは見違える容姿に変貌していた。 しばらくして、下条の誘いで彩乃はKTT病院に来た。 驚く香織、二人の年齢は三十歳、結婚を焦る二人の前に上場企業の御曹司加納敏也が、スキーの怪我で入院して彩乃を好きに成る。 敏也の家庭は、真面目一筋の家庭で、風俗で働いていた事が暴露されると、破談に成る彩乃は隠すが、デリヘル時代から交際が続いていた橘郁夫とは、バイトを辞めても付き合って六年が経過していた。 露見を恐れた彩乃は、郁夫と決別して敏也と結ばれるが、嫉妬に狂う香織は彩乃の過去を暴こうとする。 その香織の行動に疑問を持った旅館の仲居吉永富子と息子明夫が、知ってしまった事が過去の事件を呼び起こす。 静岡県警、佐山次郎、野平一平、美優の活躍シリーズ

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