出版社 : KADOKAWA
豊士の教習車には今日もさまざまな人が乗り込む。カレシに飲酒運転をさせまいと教習所に通う佳世。就職先で免許が必要な大学四年の七八。孫娘の幼稚園送迎のため69歳で免許取得を目指すしの。彼ら教習生に対し紳士的に接することを心掛ける豊士。だが、それどころではなかった。17歳の娘が妊娠したというのだ。若い男女の教習生は、ついつい娘とその相手に見えてしまう。加えて現カノジョ・万由とは徐々に疎遠に。元妻・美鈴との再会がそれを加速させる!?どうなる、ロック中年・豊士!!
昭和のお茶の間には笑いと涙がありました。茶の間の主役はテレビ、みんな揃って夢中で見ていた。ご近所さんの話で花が咲き、我が家のことのように心配する。そんな町全体が家族のような時代の、あたたかいお話。
警察官の俺に、人が殺せるのか!? 東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。十朱は警視庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが……。 『果てしなき渇き』『アウトバーン』の著者が挑む、ノンストップ・エンターテインメント!
出版界と大泉洋という二つの「ノンフィクション」を題材に書く社会派にして本格ミステリー 『罪の声』を発表し、社会派ミステリーの新たな旗手に名乗り出た、塩田武士。第七回山田風太郎賞を受賞し「本屋大賞2017」第三位に輝くなど、日に日に支持の声が高まるなかで刊行された『騙し絵の牙』は、ノンフィクションを題材としている、という点で『罪の声』と共鳴する。ひとつは、市場規模は右肩下がりで救世主到来を待つ、出版界およびエンタメ産業の現状というノンフィクション。もうひとつは、誰もが知る国民的俳優である、大泉洋の存在というノンフィクションだ。奥付には、次のようなクレジットがある。「モデル 大泉洋」。映像の世界には最初から俳優のイメージを取り入れた役を作ろう、という「当て書き」の文化がある。本書は、主人公に大泉洋を「当て書き」して執筆された、前代未聞の小説だ。 主人公は出版大手の薫風社で、カルチャー誌「トリニティ」の編集長を務める速水輝也。40代半ばの彼は、同期いわく「天性の人たらし」だ。周囲の緊張をほぐす笑顔とユーモア、コミュニケーション能力の持ち主。部下からの信頼も厚いが、苦手な上司・相沢から廃刊の可能性を突きつけられ、黒字化のための新企画を探る。芸能人の作家デビュー、大物作家の大型連載、映像化、企業タイアップ……。 編集部内の力関係を巡る抗争やきな臭い接待の現場、出版業界に関する深い議論のさなかでも、ひとたび速水が笑顔を繰り出せば硬い空気がふっとやわらぐ。ひょうひょうとした速水の語りを発端とする登場人物たちの掛け合いがいちいち楽しい。相手も面白くさせてしまう魔法の話術は、誰かに似ている。大泉洋だ。「速水=大泉」の公式は、表紙や扉ページの写真以外に、会話の中からも強烈なリアリティが溢れ出している。 しかし、速水のそれは高い確率で「つくり笑い」であることを、文中から察することができる。どこまでが演技で、どこからが素顔なのか? 速水は何故ここまで雑誌と小説とを愛し、自らが編集者であることにこだわるのか。やがて、図地反転のサプライズが発動する。「速水=大泉」に必ず、まんまと騙される。 本書を読み終えて真っ先に想起したのは、塩田のデビュー作『盤上のアルファ』。将棋の棋士と新聞記者をW主人公に据えた同作のテーマは「逆転」だ。出版界の未来に新たな可能性を投じる「企画」として抜群に高品質でありながら、デビュー作から積み上げてきたテーマや作家性が十全に発揮されている。本作を最高傑作と呼ばずして何と呼ぶか。 評者:吉田大助(「野性時代」2017年10月号)
新入社員の松尾はある晩会社で、先輩の康子がパワハラ上司の不正の証拠を探す場面に遭遇するが、なぜかそのまま片棒を担がされることになる。翌日、中野の劇場では松尾たちの会社がプロモーションする人気演出家の舞台が始まろうとしていた。その周辺で4つの事件が同時多発的に起き、勘違いとトラブルが次々発生する。バラバラだった事件のピースは、松尾と康子のおかしな行動によって繋がっていき…。
平成29年7月、千葉県船橋市の休耕地で、ブルーシートが掛けられた幼女の遺体が発見された。捜査に乗り出した船橋署の香山は、7年前に起きた<田宮事件>と遺体の状況が酷似していることに気づく。<田宮事件>では不可解な経緯から証拠が見つかり、犯人とされた男は冤罪を主張したまま刑務所内で自殺していた。やがて、捜査を進める香山の前で、ふたつの事件をつなぐ新たな証拠が見つかってーー。
女王様に忠誠を誓うイケメンわんこ騎士団たち、暴走しがちなせいで外交や内政に大トラブルが!?若干10歳の女王様が彼らの躾に奮闘する、わんわんハーレムコメデイ!!
民生委員の千加子は、「レインボーハイツ」をたびたび訪れる。その名が虚しく響く、くすんだ灰色のマンション。そこに住む、なかば育児放棄された5歳児・瑠衣を世話するためだ。他の住人たちも生活に倦み疲れ、暗い陰をまとっていたが、やがて必然のように不幸が打ち続く。その裏にちらつく小さな影は一体……日常にじわりと滲み出す闇を生々しく描く、長編ホラーミステリー。解説:千街晶之
第二次世界大戦の米軍の沖縄上陸作戦で家族すべてを失い、魂(マブイ)を落としてしまった知花煉。一時の成功を収めるも米軍のお尋ね者となり、ボリビアへと逃亡するが、そこも楽園ではなかった。移民たちに与えられた土地は未開拓で、伝染病で息絶える者もいた。沖縄からも忘れ去られてしまう中、数々の試練を乗り越え、自分を取り戻そうとする煉。一方、マブイであるもう一人の煉はチェ・ゲバラに出会い恋に落ちてしまう……。果たして煉の魂の行方は? 『テンペスト』『シャングリ・ラ』の著者が20年の構想を経て描破した最高傑作!
常識外れのマル暴刑事と極道の、プライドを賭けた戦い。作家、マスコミほか多くの賞賛を集めた、圧巻の警察小説。 緻密な構成、卓抜したリアリティ、予期せぬ結末。いやあ、おもしろい。正統派ハードボイルドに圧倒された。 ーー黒川博行氏(作家) 日本ミステリ史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説だ。 ーー茶木則雄氏(書評家) 昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていくーー。
〈狼〉たちとの死闘の終結に安堵する間もなく、スザンナが忌まわしい水晶球とともに行方をくらませた。彼女の第四の人格ミーアは妖魔の子を身ごもっているが、そのことと関連しているのか?
ミーアの奇異な振る舞いと、おなかにいる子どもへの異様な執着。彼女の真の目的はいったい何なのか?仲間たちから引き離されたスザンナは、孤独な戦いを強いられていた。彼女の行方を必死で追う、ジェイクとキャラハン神父は、恐るべき敵と対決するはめになる。一方、ローランドとエディは1977年のメイン州で、すべての謎を解くべく、ある作家のもとを訪ねていたー。先が読めない展開に、驚愕と絶望が待ち受ける衝撃作。
鳥羽伏見の戦いに勝利した後、西郷隆盛に課せられた最大の使命。それは混乱を平和的におさめ、日本を一刻も早く立て直すことだった。西郷隆盛は勝海舟と会談を持ち、江戸城を無血開城へと導くがーー!?
「帰ったら、2人で旅行しよう」 突然、東京の兄さんからきた連絡。 2人きりでどこに行けば? と悩む僕、正太郎に、 櫻子さんがきっぱり言った。 「足寄(あしょろ)と網走(あばしり)だ」。 どうやら見たい骨関係の展示があるらしい。 かくして兄さんと櫻子さん、僕という不思議な組み合わせで、 秋の北海道旅行が始まって……。(「ケルヌンノスの妙薬」) 旅の途中で明かされる、正太郎の秘めた想い。 一方、友人の鴻上百合子には、宿敵・花房の影が忍び寄り……。 ここから読んでも面白い、 話題騒然のキャラミステリ決定版!
当主と大学生、二足のわらじで奮闘する花穎のもとに届いた晩餐会の招待状。赤目とともに訪れたその会場で、招待客の一人が倒れる事件が発生! 真相究明に乗り出す花穎に対して、執事の衣更月はーー!?
新設の失踪人特捜部に配属されたベテラン女性刑事ルイース・リック。問題刑事アイクと組まされ、アウンスー湖ほとりの森の中で転落死した女性の身元を調べはじめる。だが、その女性は30年前に知的障害者施設“エリーセロン療護園”で死亡した少女が成長した姿だった。やがて第二の事件が起こる。事件を追うルイースは、封印したはずの自分自身の過去と向き合わなければならなくなるが、北欧ミステリの女王、最高傑作。
黄昏の薄闇に包まれた街に、ぼんやりと提灯の灯が浮かぶ。通りは煉瓦や木造の建物で明治か大正時代のレトロな雰囲気。家々からは異形の影が現れる。ここは華舞鬼町、新宿とはちがうもう一つのカブキチョウだ。大学生の那由多(なゆた)は東京神田の万世橋で、祖父の形見のカメラを盗まれてしまう。しかも、しゃべるカワウソに。二足歩行で建物の隙間に逃げ込んだカワウソを思わず追いかけた那由多、しかしビルの隙間から抜けたそこは、さっきまでいた神田の街並みではなかった……。異形に襲われそうになったところを、粋な羽織を被った青年、狭間堂(はざまどう)に救われる。「ようこそ、おばけの街、『華舞鬼町』へ。華舞鬼町総元締めの狭間堂は、きみを歓迎するよ」一体、その正体は? 第一話 那由多と華舞鬼町 第二話 那由多と十二階 第三話 那由多と祖父のカメラ 余話 狭間堂と隣町の……
アルバイトに励む死神が出会ったのは、綺麗に死にたいと言う嘘つきな少年、物語の中で自殺した小説家、世界を「良い人」で埋め尽くす計画を立てた青年、それから年老いた誇り高き道化師。四つの魂の物語。
マスク乙女の、不器用なる反逆的青春小説、ここに誕生! ■ろくでもなく愛おしい主人公の決断に、きっと誰かが救われる。--住野よる氏 ■薄暗い青春の片隅でうごうごしているとき、我々はみんなマスクをつけている。--森見登美彦氏(解説より) 人生、マスクが必需品。 自称「口裂け女」ことくにさきみさとは、札幌在住の22歳フリーター。 他人とはマスクを隔てた最低限の関わりで生きてきたが、諸事情により、避けてきた人々と向き合う決意をした。 自己陶酔先輩の相手をし、ひきこもりの元親友を説得し……やっかい事に巻き込まれ四苦八苦する口裂けだが、周囲の評価は確実に変化していきーー? 衝撃の結末とある「勇気」に痺れる、反逆の青春小説! 第6回野性時代フロンティア文学賞受賞作。