1960年12月発売
永すぎた春永すぎた春
T大法学部の学生宝部郁雄と、大学前の古本屋の娘木田百子は、家柄の違いを乗り越えてようやく婚約した。一年三カ月後の郁雄の卒業まで結婚を待つというのが、たったひとつの条件だった。二人は晴れて公認の仲になったが、以前の秘かな恋愛の幸福感に比べると、何かしらもの足りなく思われ始めた…。永すぎた婚約期間中の二人の危機を、独特の巧みな逆説とウィットで洒脱に描く。
英仏海峡の謎英仏海峡の謎
英仏海峡をフランスへ向かう定期連絡船。バカンス客で満員のチチスター号の進路を横切って漂流する一隻の小型遊覧ヨットがあった。そのハッチには頭を撃たれた男の死体、船室にはさらに別の男の死体が。どちらも死んで一時間ほどしかたっていないばかりか、ふたり以外にヨットの中には誰もいなかった! 海の上の密室で起こった証券会社社長と副社長の死の謎を追うフレンチ警部。
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