1961年発売
小説日本芸譚小説日本芸譚
日本美術史に燦然と輝く芸術家十人が、血の通った人間として甦るー。新進気鋭の快慶の評判に心乱される運慶。命を懸けて、秀吉と対峙する千利休。将軍義教に憎まれ、虐げられる世阿弥。将軍家、公卿、富商の間を巧みに渡り歩く光悦。栄華を極めながらも、滲み出る不安、嫉妬、苛立ち、そして虚しさー美を追い求める者たちが煩悩に囚われる禍々しい姿を描く、異色の歴史短編小説十編。
挽歌挽歌
北海道の霧の街に生いたち、ロマンにあこがれる兵藤怜子は、知り合った中年建築家桂木の落着きと、かすかな陰影に好奇心を抱く。美貌の桂木夫人と未知の青年との密会を、偶然目撃した彼女は、急速に夫妻の心の深みにふみこんでゆく。阿寒の温泉で二夜を過し、出張した彼を追って札幌に会いにゆく怜子、そして悲劇的な破局ー若さのもつ脆さ、奔放さ、残酷さを見事に描いた傑作。
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