1967年発売
風濤風濤
日本征服の野望を持つ元の世祖フビライは、隣国の高麗に多数の兵と船と食料の調達を命じた。高麗を完全に自己の版図におさめ、その犠牲において日本を侵攻するというのがフビライの考えであった。高麗は全土が元の兵站基地と化し、国民は疲弊の極に達する…。大国元の苛斂誅求に苦しむ弱小国高麗の悲惨な運命を辿り、“元寇”を高麗・元の側の歴史に即して描く。
ドリアン・グレイの画像ドリアン・グレイの画像
美貌の青年ドリアンが人知れず罪を犯してもどった夜、彼の肖像画は奇怪にも口許に残忍な微笑を浮べていた。快楽にふけり醜さを加えてゆく彼の魂そのままに、肖像は次第に醜悪になってゆく。-美貌と若さを保ちつづける肉体の恐ろしい姿に変貌する魂との対比を主題に、ワイルド(1854-1900)がその人生観・芸術観・道徳観をもりこんだ代表作。
トニオ・クレーゲル ヴェニスに死すトニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
精神と肉体、芸術と生活の相対立する二つの力の間を彷徨しつつ、そのどちらにも完全に屈服することなく創作活動を続けていた初期のマンの代表作2編。憂鬱で思索型の一面と、優美で感性的な一面をもつ青年を主人公に、孤立ゆえの苦悩とそれに耐えつつ芸術性をたよりに生をささえてゆく姿を描いた『トニオ・クレーゲル』、死に魅惑されて没落する初老の芸術家の悲劇『ヴェニスに死す』。
ロビンソン・クルーソー 上ロビンソン・クルーソー 上
絶海の孤島に漂着したロビンソンは合理的な行動と敬神の念を武器に、独り営々として生活を切りひらいてゆく。この物語がいまも魅力的であるのは、単にその主人公がイギリス18世紀の人間像を見事に形象化したものとなっているばかりでなく、現代に生きるわれわれ自身の人間性のもっとも中核的なものにもかたく結びついているからである。
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