1986年3月発売
夢十夜 他二篇夢十夜 他二篇
漱石には小品とよばれる一群の短篇がある。小品とはいうがその存在は大きく、戦後の漱石論は『夢十夜』の読み直しから始まったとさえ言われる。ここには荒涼たる孤独に生きた漱石の最暗部が濃密に形象化されている。
女の一生 一部女の一生 一部
長崎の商家へ奉公に出てきた浦上の農家の娘キク。活発で切れながの眼の美しい少女が想いを寄せた清吉は、信仰を禁じられていた基督教の信者だった…。激動の嵐が吹きあれる幕末から明治の長崎を舞台に、切支丹弾圧の史実にそいながら、信仰のために流刑になった若者にひたむきな想いを寄せる女の短くも清らかな一生を描き、キリスト教と日本の風土とのかかわりを鋭く追求する。
細川ガラシャ夫人 上細川ガラシャ夫人 上
明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、16になった時、織田信長の命令で細川忠興のもとに嫁ぐこととなった。女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めて行く…。実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人。その清らかにして熾烈な悲劇の生涯を浮き彫りにした著者初の歴史小説。
動物好きに捧げる殺人読本動物好きに捧げる殺人読本
犬、猫、駱駝、象、鼬、…。彼らが人を殺してしまったのには、やはりそこにいたるまでの事情というものがあったのです。最新式の養鶏場を舞台に悲劇と狂気が描かれる「総決算の日」、滑稽にしてブラックな、少年の日の物語「ハムスター対ウェブスター」など、13種類の動物たちの物語を収録。毒とユーモアの組み合わせが、ハイスミスならではの独特の妙味を生み出す傑作短編集。
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