1987年12月発売
ザニーが初めて人を殺したのは6歳のときだった。自宅に疎開していた4歳の坊やを池に沈めたのだ。続いてパン屋のおじさんを焼殺ー。だが、だれもザニーの犯行とは思ってもみなかった。彼女があまりにもあっけらかんとしていたからだった。薄々事情を察した両親は、ザニーを修道院の寄宿学校へ入れたのだが、そこでもまた…。英国の気鋭女流が、美少女の心の奥底に潜む魔性をえぐり出す、悪夢のような異常犯罪小説登場!
あそこを元気にしてくれたら、望みをかなえてやるーという会社社長の治療に励むソープランド嬢由香は、短大卒1年目のOL志願。男性を回復させるべく献身的な愛撫とテクニックを駆使する健気さがやがて悦びを分かち合って…(「カメレオンのように」)。女子大生、ソープランド嬢、OL、人妻がさまざまに体験する淫らな冒険と快楽の時を大胆に描く官能傑作集。
自由奔放な美人家庭教師の豊潤な肢体と淫靡な愛撫に俊夫の躯は震え、いつしか彼を狂おしくも美しい兄嫁・亜矢子への凌辱の衝動へと駆りたてる。義弟に火照った柔襞を犯され貞淑と悦楽の狭間で悶え苦しむ兄嫁。禁断の行為は、いつはてるともなく続けられるー。
この小説の設定と状況は事実に基づいている。アイルランドとケント州に対するナポレオンの同時進攻計画は、“その手紙が粉失したか盗まれたとわかるまでは”進行していたが、わかったとたんに放棄されたという。正体不明のジャスティス艦長そっくりの人物が、見事に任務を果たしたのである。
正体不明の「司令者」から奇妙な仕事を引き受けた男の探索行とその間の恋愛劇を通し、徒労感に苛まれる日常を生きる人間の孤独と空虚からの脱出の希望と絶望を描き、現代文学の新たな地平を拓く、本格長篇。
雲井教宗主、雲井燕子が祈祷場で悶絶死していた。死因は破傷風だった。伝来の“三十三観音絵巻”が盗まれ“平賀源内”の4文字が記された野球の観戦券が残されていた。謎の事件に思いあぐねた常滑刑事は、犯罪心理学者、雲取平吾を訪ねた。事件の鍵は秩父にあると睨んだ平吾の推理は、源内の野望と死、そして江戸蘭学へ思わぬ光を照射した。
『砂の本』は1975年に刊行された、ボルヘスの4冊目の小説集である。収められた13の作品は、一口に短篇小説というものの、そのなかでも長短さまざまあり、いずれの場合にも、ホルヘ・ルイス・ボルヘスならではといった刻印が、あざやかに読みとれる。
日本のヤクザのドン・古屋組組長を一人の男が襲った。〈ショーが終わって3分ぐらい経ったと思います。カウンターから立ち上がって、古屋組一行のテーブルに近づいたと思うと、いきなり拳銃を撃ったんです。バンバンと続けざまに2発でした〉17歳のとき、傷害致死で浪速少年院へ。18歳で末松組に入り、対立暴力団の若頭を秘密裡に絞殺。23歳のとき、親とも慕う組長を殺られ、その骨を食い復讐を誓った“天女”の刺青をした極道内海忠。ヤクザ社会に衝撃的“伝説”を残して散った男。3年をかけた丹念な取材をもとに、その悪に彩られた25年の生涯を描く異色の傑作犯罪小説!