1987年7月1日発売
湘南海岸にある古めかしい西洋館。館につきまとう過去の亡霊たちはいま青い灯をともす。自動車事故で演奏活動を断たれたヴァイオリニスト霧生冴子はこの館の主の一人娘美也のレッスンを頼まれた。破格なレッスン料、閉ざされた秘密の庭園、館の中でおこる数々の不可解な出来事。冴子の周囲は次第に暗い炎に包まれる。
南仏、地中海のフローラル島。岬の突端にある別荘で、宝石が盗まれ、女主人由衣子が殺された。前夜、友人たちを集めて28歳の誕生日を祝った彼女は、宝石デザイナーとして成功し、東京にも店を置こうとしていた矢先だった。招ばれて現場にいたミスティ・ガール紅子が事件を追う。次々と現れる意外な事実。グランプリ受賞の宝石をデザインした謎のデザイナーは…?
鎌倉時代前期、武家階級に活力ある政権を奪われた京都では、古来の政治・経済の基盤を失いかけた貴族たちは退廃的な生活にひたっていた。この風潮の中で、家柄と容色と才智にめぐまれた、久我雅忠の女がその異常な生涯を自らの手で記したのが『とはずがたり』である。14歳の春、無理に後深草院の後宮にされて一皇子を生みながら、複数の男性とも愛欲の生活を続ける大胆・奔放な生き方、体験を露骨に記述する文学史上特異な作品。
切りたった断崖から、美貌の人妻が消えてしまった!莫大な遺産相続にからむ欲と殺意。アメリカから一時帰国した彼女は誰に呼び出され、そして突き落とされたのか。死体なき殺人事件に隠された恐るべき陰謀と、鉄壁のアリバイ。意表つく大トリックと手書き地図の謎-。国鉄ダイヤ最後の事件、書下ろし本格推理!
寝台特急「富士」に乗っている男が、この殺人現場に立てるか?日向・札幌・東京で起った殺人事件の真犯人を追って、黒江壮・笹谷美緒の探偵コンビが犯人のめぐらした緻密で巧妙、大胆なトリックに挑戦し、鉄壁のアリバイを打ち崩すスリルとサスペンスあふれる本格長篇書下ろしミステリー。
東京・世田谷で白昼、弁護士夫人が絞殺された。最重要容疑者は夫・三田村行雄だったが、犯行時刻、彼は1000キロ離れた鹿児島におり、秘書からの電話を受けていたことが確認された。転送電話を使ったりはしていない。警視庁“独立捜査班”高月圭一は、三田村夫婦の過去の秘密に迫り、鉄壁のアリバイに挑むが…。
怪事件は、ひとりの画家の遺書から始まった。その内容は、6人の処女から肉体各部をとり、星座に合わせて新しい人体を合成する、というもの。画家は密室で殺された。そして1カ月後には、6人の若い女性が行方不明のあげくバラバラ死体となって…。奇想天外の構想、トリックで名探偵御手洗潔をデビューさせた、衝撃的傑作。
ユーモアと恐怖が交錯するミステリー傑作集。親友の夏美が引越したばかりのアパートで殺されてしまった。前夜泊まり込んでいた悦子は、警察の鈍い捜査にいらだち、自分で犯人捜しに乗り出した。なぜ犯人は密室の鍵を開けていったのか。表題作など、軽やかな都会派ミステリーの魅力があふれる6編を収録。
少年は人のこころを読みとることができた…。少年は空を飛ぶことができた…。少年はいくさの中で人々に勇気を与えた…。自らの死を通して、人人に「生きることの美しさ」を残して逝った少年“あいつ”は、今はあなたの心の中で生きている。著者初めての日本語による書下ろし長編ファンタジー。
ふつう鬼というと、まず地獄の赤鬼あたりを連想するんじゃないかな?ところがどっこい!物語は、雨の夕刻、六本木交差点の路上から始まるー。男は横断歩道の中ほどで、足をもつれさせるようにして倒れこんだ。すぐ横を歩いていた外人の紳士が、ひと言ふた言声をかけながら、男に手をさしのべた。「グルルルル…」すると、倒れた男は意味不明の声をあげ、外人の手をはねのけた。その次の瞬間、異様な叫びを放ったのは、男の顔を覗きこんだ外人のほうだった。-人類の破滅をもくろんだ鬼が超能力を操り、ここに復活した!
池禅尼(平清盛の義母)の涙の嘆願で頼朝は命を救われた。伊豆へ流された頼朝は仏道三昧の日々に身をやつして再起の時を待つ。だが平家の権勢は衰えを知らず、苦渋にみちた十数年の歳月が流れる。彼の無聊の青春を救ったのは、伊東祐親の姫との恋、それに破れて頼った北条時政の娘政子との結婚であった。
長州藩きっての俊才として吉田大治郎(松陰)の前途は明るい。だが時代の嵐を察知する彼の目は外へ外へと向けられた。九州遊学中に出会った山鹿万介、宮部鼎蔵らの烈々たる尊皇攘夷の弁、平戸で見た数多くの黒船や異人の姿、大治郎は外圧の高まりを身に刻んで知った。彼は叫ぶ、神州の民よ、めざめよ、と。
内憂外患の激動期。松陰はついにアメリカ密航を決意した。1854年3月28日早暁、めざすは下田沖に停泊中のペリー艦隊。松陰は盟友金子重之助と共に勇んで小舟を乗りだした…。日本を憂い、自ら維新の起爆剤となって行動し、30歳で散った変革期のリーダー吉田松陰の生涯を描く。完結篇。
杉丸だけが華雅学園に通うことになったので、うららの提案で壮行会をやることになった。香織さんも加わって、それはにぎやかなこと。帰り道、送ってくれた朱海さんを、またまた意識してしまう。「愛するって、戦うことよ」という杉丸のことばが思い出される。高校のクラスメイト、かわった人たちばかり。中学の時に世話になったツル先生に呼ばれた。波瀾にとんだ高校生活の幕開けになりそう。
それは春、猫のシーズンたけなわのころだった。陽気に誘われて、つい散歩に出たおいら(タマ)は、公園で知見らぬ白猫と出会った。犬のようにデカイそのメス猫は、恥ずかしそうに「チビといいますの」と自己紹介した。話をきいてみると、最近、越してきたばかりの飼い猫で、迷子になってしまったらしい。そのチビが、「おそばにいても、よろしいですか?」と、おいらに身をすりよせてきた!
美女丸んちで眠りっぱなしだったあたし(マリナ)が、ふと目を覚ますと、そこはなんと棺桶の中っ!あせりまくったあたしだったが、気を静めてよく見回すと、棺桶ではなく美しい輿に寝かされて運ばれていたのよ!輿を担いでる人たちも、前後につき従う人たちも、古代ローマの服を着た外人さんたち。おまけに、まわりの景色や建物は、ローマ帝国そのまま。いったい、ここはどこなのっ!
ぼくの露子がアメリカ留学から帰ってきて、やつ(彰彦)のうさぎが駆けおちから戻ってきて、そしてもう一度、暑い夏がやってきた。そんなある日、ぼくたちはテレビのニュースで偶然、蒸発した吉田ふみ子さん(田沢さんの姉であり、まみちゃんの母である人だ)を見てしまった。うさぎの清美ちゃん、露子、ぼくの三人は、まみちゃんを連れて、大阪までふみ子さんを探しに行くことになった…。
伸次さんに会いたいなァ。プロポーズはいつかしら…なんて、のんびり夢想していたあたし(留那)は、TVのニュースにぶっとんだ。“火星人が独立宣言。月まで占領”だなんて!!伸次さんは今、月に出張中。人並はずれたおっちょこちょいの彼、無事でいるのかしら?矢もたてもたまらず心配になったあたしは、伸次さんのハデハデ模様のギターをしょって、パパとふたり、月へ行くシャトルに乗った!