1987年8月発売
東亜銀行社長・矢口大助の娘芳枝と結婚した前沢真一郎は、45歳にして常務の椅子に坐り、権勢をほしいままにしていた。が、矢口が病気で倒れ会長に退いてから、反矢口派の勢力が強まり、前沢はBクラスの丸信百貨店に追いやられてしまう。取締役とは言え、アパレル部門担当とあっては全くの畑違いで腕の揮いようがない。〈おれもずいぶん軽く見られたもんだ〉…自暴自棄になった前沢は義父の愛人・奈保子との情事に耽ったり、深酒をしたりの日々を過ごしていた。そんな前沢に、業界誌を主宰する工藤甚六が近づいてきた。ライバルの極栄デパートの不正を暴いて叩きのめし、前沢に手柄を立てさせたいというのだ。前沢は一瞬、躊躇ったが…!-紳士の仮面をつけた狼たちの陰謀!著者渾身の企業バイオレンス!
頭が痛む。また、悶え苦しむ女が浮かぶ。叫んでいる、のたうっているではないか!女は全裸で…どうしたんだ?おれは声をかけた。女の出る悪夢と頭痛、これは明確に、あることのきざしである。助けてやらねばならない。が、そのまま目覚めずに、おれは奈落の底に落ちたように意識を失った。予知夢というのだそうだ。不可思議な能力を、おれは授かったものだ。京都の、由緒正しい神官の家に伝わる、その能力が、貧しい、駆け出しの役者のおれを、つき動かす。そしておれは「死にたくなかった女たち」の、その艶かしい軌跡にのめり込んで行き、事件を解明する。-乱歩賞受賞作家が、富豪の女を脇役に、奇妙な行動で探偵役を操る、ひと味ちがった連作長編ミステリー!
吉本興業の社長、吉本高行の邸宅新築披露パーティーが開かれたその晩。出席者の人気落語家、桂文珍が金庫室の中で殺された!目撃者はいない。誰がいったい何の目的で彼を殺したのか?パーティー出席者は、のりお、紳助、阪神、巨人、いくよ、くるよ、サブロー、シロー、そして社長の高行とその娘のあやこの10名。この中に犯人がいるはずなのだが…。今は芸能界を離れ、探偵事務所を営むかつてのお笑いタレント、明石家さんまが事件解決に乗り出した。ちょっと頼りない彼を補佐するのは助手のまんちゃんこと今井次郎。さんまとまんちゃん、この二人の行く手には数々の謎やアクシデントが待ち受けていた。本当に事件を解決できるのかって?それはゲームをやってみてのお楽しみ…。
俺の名は邦夫。熱血高校に通う硬派の一匹狼…。だが、そんな俺にも親友と呼べるヤツがいる。転校生の宏だ。その宏が、ある日番長連合のヤツらに誘拐されちまった。ヤツらの要求は、俺に番長連合の傘下にくだれというものだ。…いったいヤツらの狙いは?そして宏はどこに…?
魔暦元年、地獄界の魔王・龍骨鬼が突然目覚めた。地上の統治者、月氏三兄弟の抵抗もむなしく、世界は人外魔境と化してしまう。霊刀・波動剣を手に駆けつけた月氏の末弟、風魔の目の前で、兄たちが引き裂かれる。そして三本の波動剣も地獄の神々の手に…。かろうじて逃げのびた風魔は、あふれる憎悪を復讐の念にかえた。-兄たちの仇をうち、家宝・波動剣を取りもどす!-決意も堅く、敵の牙城・狂鬼島へ向かう風魔。そこで彼を待ち受けるものは何か!
第2次大戦中に日本近海で消息を絶った米海軍潜水艦『キャンドルフィッシュ』が、30年後、ハワイ沖に突如浮上した。同艦は、30年もの長い間海底に沈んでいたとは思えないほど新しく、しかも、乗組員の死体はどこにも見あたらない!同艦に何が起きたのか?なぜ、30年を経て浮上したのか?乗組員はどこに消えたのか?これらの謎を解決すべく、米海軍は、30年前の『キャンドルフィッシュ』の航海を再現する決定を下した!
ホワイトハウスに恐るべき脅迫電話がかかってきた。自分達は核爆弾を盗み出した、指定の時間内に合衆国がヨーロッパから核兵器を引き揚げねば、その爆弾でヨーロッパの一都市を破壊するというのだ。大統領はこの危機打開の総責任者に元CIA局員のゴードンを指名、ゴードンは犯人を追ってヨーロッパへ飛ぶ。また、事態を知ったソ連は異例の協力を申し出、KGBの情報員を派遣した。刻々と迫る爆破時刻ー果たして破局は回避なるか?
イタリアからフランス、ドイツへとゴードン達は必死の追跡をつづけた。しかし、常に犯人の方が一歩先んじていた。一方、米ソ双方の上層部内ではこの非常事態をめぐって各人の野心、思惑、相手国への不信が錯綜し、両国とも徐々に軍事警戒態勢を強化、ついには核戦争勃発の時が目前に…!以前ホワイトハウスの高官だった著者がみずからの体験と最新の軍事情報を駆使して描き上げ、全米で轟々たる話題を呼んだ超大型サスペンス!
熟しきった躰の疼きに、眩暈を覚える離婚妻たち。貞淑な母としての昼間の貌を、夜の帳とともに、かなぐり捨て、行きずりの男との、爛れた交わりに、別れた夫からは得られなかった、官能の悦楽を貪りつくす。もっと、もっとーと。囁きかける女の業に身を委ねながら…。
遠賀川流域の石炭を若松港まで運んだ五平太舟。その川筋船頭たちの生きざまを主人公惣吉を中心に、激動の幕末から近代明治20年代までの歴史を背景に描いた長編力作。義理と人情、そして仕事に命を懸けた男たちの壮絶な人生がそこには展開する。
伊集院浩子が湯島から失踪した。友人の島津絵里子が、SF研の仲間に相談しようと六本木の“ソラリス”に向かう乃木坂の裏道で、空から降ってきた男が残したダイイング・メッセージの謎を追うと、ふたつの事件が表参道でクロスする…。ファッショナブルストリートに展開する、ザ・デイミステリー・イン・TOKYO!
夢か幻か、はたまた妄想の産物か…。首のない男と女が激しくからみ合ったり、マンションのエレヴェーターが化けものだったり、週末のビジネス街に血の匂いがたちこめたり…。数多くの怪談・恐怖小説を、いとも楽しげに作り続ける著者が、趣向を凝らして読者を恐怖の淵に!
ヴァージニアの険しい峡谷に住む貧しい一家の長女、ヘヴン。自らの生と引きかえに実母を失った彼女は、呪われた子として父親に疎まれ、継母にはこき使われる。貧困と蔑視に耐え懸命に生きようとするが、身勝手な大人たちのためにヘヴンを含む5人の姉弟たちは散りぢりなってしまった。両親のエゴに翻弄される子供たち、そして彼らを待ちうける数奇な運命とは?好評『屋根裏部屋の花たち』の著者が贈る大河ホラーの集大成。待望の新シリーズ第1弾!